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野菜と魚!相乗効果で栄養がパワーアップする「フードシナジー」で「コスパ×栄養バランス」を考えた食卓を

『万城シーズニングパートナーズ』による「魚と野菜 フードシナジーシンポジウム2024」が開催され、今注目されている、食べ合わせにより栄養がパワーアップする「フードシナジー」として、魚と野菜の効果的な組み合わせが紹介されました。

料理家・食育インストラクターの和田明日香さん、管理栄養士の赤石定典さんらが登壇し、「フードシナジー」についてさまざまなお話を繰り広げました。

今回は管理栄養士の赤石定典さんに、子育て世代にぜひ参考にしてほしい、魚と野菜のフードシナジーについて聞きました。

管理栄養士に聞く、子育て世代向けのフードシナジー

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赤石さんはレシピ本『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』(東京慈恵会医科大学附属病院栄養部監修)のプロジェクトリーダーも務めました。

「フードシナジー」というのは、食材の組み合わせによる相乗効果でより栄養価が高くなる相性の良い食べ合わせのこと。東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 管理栄養士の赤石定典さんに、子育て世代に向けたフードシナジーの実践方法を伺いました。

「ニンジンに含まれるβカロテンという栄養素は、油がないとβカロテン吸収率は1割未満ですが、油と一緒に調理することによって10倍ほど吸収率が増えます。このような食材同士の食べ合わせによる相乗効果を『フードシナジー』と呼んでいます。

食材の組み合わせだけでなく、調理法も含めて『フードシナジー』とするなら、食材から得られる栄養素、その栄養素から得られる健康効果は全て網羅できると考えています。

例えば、腸内環境改善であれば、発酵食品+食物繊維(発酵性食物繊維)、シミ対策ならビタミンA・C・E+ファイトケミカル(ポリフェノール)など、組み合わせは無限です。ただし、バランスの良い食事でないとその効果は半減以下になるとも考えています」(以下「」内、赤石さん)

「フードシナジー」で野菜をたくさん食べさせたいと思いつつも、野菜が苦手なお子さんもいます。野菜を無理なく食べさせるにはどうしたらよいのでしょうか。

「野菜嫌いの子どもの特徴をしっかりと把握することが大切です。『フードシナジー』も大切ですが、まずは野菜を食べてもらうことから進めていきましょう」

 【例1・野菜はハンバーグに入れてもカレーでも食べられない】

かなり手こずるレベルですが、野菜収穫など自ら野菜に触れることで野菜嫌いを克服できる場合があります。

【例2・ハンバーグなど細かくきざんで肉などに練りこんでいれば食べられる】

好きな料理に細かくした野菜を少しずつ追加していくことで、野菜が食べられるようになります。

【例3・カレーやシチュー、チャーハンなら食べられる】

好きな料理なら野菜も食べられるので、例2と例3は、たんぱく質+使える野菜で料理が決まれば、その組み合わせでの「フードシナジー」を考えることができます。

魚と野菜を活用した「フードシナジー」レシピ

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【(主食)バター醬油香る鮭とアスパラのピラフ】

アスパラギン酸(アスパラガス)とアルギニン酸(鮭)のフードシナジーメニュー。

「主食であり、主菜も兼ねている点が良いと感じます。アスパラも入っている為、白米(炭水化物)+鮭(たんぱく質)+野菜と1品でバランスが良い料理です。

鮭に含まれるω(オメガ)-3の脂肪酸もご飯に溶け込むため、無駄なく摂取できるのもポイントの一つです。

理想は、紅鮭を使えれば、アスタキサンチンの抗酸力をさらに活かすことができます。可能ならば白米を麦ごはんまたは雑穀米に変更し、トマトやパプリカを追加することで1食当たりの栄養素はおおむね摂取できます」(赤石さん)

【(主菜)たらと豆腐の生姜ねぎ塩香り蒸し】

植物性たんぱく質と動物性たんぱく質、それぞれが持つ栄養成分の効果が一度に得られる「Wたんぱく」メニュー。

「魚の動物性たんぱく質と豆腐の植物性たんぱく質の両方がしっかりと摂れるのが魅力です。プラス野菜も入っているため、副食としてのポテンシャルは高いです。こちらも前述のピラフ同様に魚の種類や野菜の種類を替えることでエネルギー量を調整したり、ビタミン、ミネラルを付加することができます」

【(副菜)イカとブロッコリーのバジルオイルソース和え】

イカの動物性たんぱく質+ブロッコリーの食物繊維に加え、様々な効果が期待できる秀逸メニュー!

「様々な栄養素を含んでいるにもかかわらず副菜であるのが良いです。食生活で大事なことは、1にも2にもバランスの良い食事内容と考えています。しかしいくらバランスの良い食事でも、似たような主菜では飽きがきますが、副菜がこのメニューのようにポテンシャルの高いものでしたら主菜は好きなものが選べるのも◎です。

フードシナジー』としては、ブロッコリーは、食物繊維(便秘改善、腸内環境の改善)や ビタミンC(肌効果)を含み、たんぱく質も多く含むためWたんぱくの効果も期待できます。

加えて、抗酸化力(ビタミンACE、スルフォラファン)、疲労感軽減(タウリン)、腸内環境改善(食物繊維)といった効果も期待できる優良な一品でしょう」

和田明日香さんが話していたように、「フードシナジー」と難しく考えず、野菜、魚、お肉とバランスの良い食事を心がけるのが「キモ」と言えそうです。物価高が続く昨今、食費も悩みの種ですが、スーパーで一番多く陳列されている旬の食材を中心に考えるのが栄養的にもコスパ的にもお得かもしれません。

 

取材・文/阿部純子 撮影/田中麻以(小学館)

【取材協力】

万城シーズニングパートナーズ(BSP

キユーピー

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