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「豚肉」の栄養を活かす食べ方は?献立のヒントになる豚肉の基礎知識【管理栄養士監修】

カレー、とんかつ、角煮、炒め物など、いろいろな調理法で楽しめる豚肉。毎日のように食卓に登場するという人も多いのではないでしょうか。豚肉といえばビタミンBが思い浮かびますが、そのほかにはどんな栄養が含まれるか知っていますか? その栄養上の特徴を知っていれば、献立を考える際にも参考になりそう! 管理栄養士がじっくり解説します。

豚肉にはどんな栄養が含まれる?

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まずは、代表としてばら肉の栄養情報について見ていきましょう。

豚ばら肉100gあたりに含まれる栄養素

・エネルギー:366kcal
・たんぱく質:14.4g
・脂質:35.4g
・鉄:0.6mg
・亜鉛:1.8mg
・ビタミンB1:0.51mg
・ビタミンB2:0.13mg
・ビタミンB6:0.22mg
▼必須アミノ酸BCAA
・バリン:730mg
・ロイシン:1100mg
・イソロイシン:630mg

※文部科学省「食品標準成分表2020年版(八訂)」より、豚ばら肉(大型種肉/バラ/脂身つき/生)の数値を使用しています。

ビタミンB群と一緒にたんぱく質が摂れる

豚肉はたんぱく質が豊富です。たんぱく質は体内で合成と分解を繰り返しながら、身体の組織を作る役割があります。「たんぱく質=筋肉」というイメージもあるかもしれませんが、筋肉のほかにも骨、臓器、皮膚、髪の毛など、たんぱく質はさまざまな組織を作っているんですよ。

たんぱく質の代謝を助けるのは、ビタミンB群です。ビタミンB群のなかでも、ビタミンB6の働きはたんぱく質の代謝に欠かせません。たんぱく質の摂取量が増えると、ビタミンB6の必要量も増えるため、どちらもバランスよく摂ることが大切です。

豚肉は代謝を助けるビタミンB群が豊富!

豚肉はビタミンB群を豊富に含みます。ビタミンB群は主に代謝に関わる栄養素です。ビタミンB1が豊富な食材として知られる豚肉。実際、豚肉は牛肉と比較しても桁違い(部位によっては約10倍になることも)のビタミンB1が含まれているんです!

ビタミンB1は糖質の代謝を助ける働きがあり、主食であるご飯、パン、麺などの糖質をスムーズに利用するために役立ちます。さらに、脳のエネルギー源は糖質のため、脳が正常に働くためにも欠かせない存在です。

ビタミンB2は、三大栄養素である、たんぱく質・脂質・炭水化物の代謝に関わっています。ターンオーバーを促すため、「美肌ビタミン」ともいわれ、美容を意識する方にもおすすめですよ。

ビタミンB6は、たんぱく質の代謝を助ける働きがあります。豚肉に含まれる豊富なたんぱく質を効率よく利用するためにも役立ちます。

筋力アップしたい人は注目!必須アミノ酸BCAA

もうひとつ、栄養上で豚肉の特徴と言えるのが、必須アミノ酸の存在。アミノ酸のなかでも体内で合成できず、食品から摂る必要があるものを必須アミノ酸といいます。

必須アミノ酸のなかでもバリン・ロイシン・イソロイシンは「BCAA」と呼ばれ、筋肉中に多く存在しているアミノ酸です。筋肉の合成を促したり、運動の持久力を高めたりする働きが期待され、スポーツ現場での活用が注目されています。そのため、BCAAを含む豚肉は、筋力をアップしたい人におすすめの食品といえます。

鉄分・亜鉛などのミネラル補給にも

豚肉は鉄、亜鉛などのミネラルを含みます。鉄、亜鉛はどちらも不足しがちな栄養素のため、積極的に補給しましょう。

鉄は、赤血球の材料となり、全身に必要な酸素を運びます。豚肉のような動物性食品の鉄は「ヘム鉄」といい、植物性食品の「非ヘム鉄」よりも吸収率が高い特長があり、鉄補給におすすめですよ。

亜鉛は、細胞の生成、代謝をサポートするほか、正常な味覚の維持、免疫力維持にも関わっています。無理なダイエットで不足する場合があるため、バランスのよい食事で補給することが大切です。

豚肉の栄養を活かす食べ方

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1:ビタミンB1の吸収を高めるにはアリシンと組み合わせる!

豚肉のビタミンB1は、アリシンを含むにんにく、玉ねぎ、ねぎなどを合わせると、吸収がアップします。

豚肉を食べるときは、にんにくを使った「ガーリックソテー」、玉ねぎを使った「豚丼」、ねぎを使った「豚肉のねぎ塩炒め」など、ビタミンB1とアリシンを上手に組み合わせてみてくださいね。

また、ビタミンB1は水溶性のため、茹でたり、煮たりすると、溶け出してしまいます。ビタミンB1が溶け出たスープまでしっかり味わうと、栄養を余さず摂取することができますよ。

「豚肉と白菜のミルフィーユ鍋」や「豚汁」のような定番料理なら、スープに溶け出た栄養素もおいしく味わえます。

2:脂質の摂りすぎには注意!

豚肉は、部位によって、脂質が多いものがあります。ばら肉、ロースは脂質が多く、反対に赤身のもも、ヒレなどは低脂質。脂質の摂りすぎにならないように、部位や量を選びましょう。

豚肉の余分な脂質は、調理前に包丁で取り除くことも可能です。ほかにも、豚肉を茹でると多少、豚肉の脂質を落とせるので、「豚しゃぶ」や「冷しゃぶ」などにするのもよいでしょう。脂質が気になる場合はこれらの方法も試してみてくださいね。

撮影:黒石 あみ(小学館)

【参照】

・文部科学省「食品標準成分表2020年版(八訂)」
・「一生役立つきちんとわかる栄養学」飯田薫子 寺本あい監修 西東社
・「正しい知識で健康をつくるあたらしい栄養学」吉田企世子 松田早苗監修 高橋書店
・「医師が教える すごい美肌循環」日比野佐和子 アンノーンブックス

(最終参照日:2023.3.12)

小嶋絵美
小嶋絵美

フードライター×管理栄養士。好きな食べものは野菜とフルーツ。食べものと栄養について分かりやすく丁寧に伝えることを大切に、コラム執筆を行う。
「食材をシンプルにおいしく」誰にでも作れる簡単レシピを提案している。

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