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【極上豚汁】野菜の旨味たっぷりで、おかわりが止まりません!…沼津りえの季節の手仕事 #9

季節の移ろいを感じながら、作る過程を楽しみたい「季節の手仕事」。旬の恵みを存分に味わう逸品を料理研究家・沼津りえさんが丁寧に解説してくれます。

今回は、沼津流の「極上豚汁」を紹介します。野菜と豚肉の旨味をじっくり引き出すので、だしいらずなのにとっても濃厚! 冬野菜の素材のおいしさも余すところなく味わえます。

じっくり炒めて野菜の旨味が詰まった黄金色のスープに

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普段、なんとなく作っている豚汁。具だくさんで材料も多いし、まとめて大量に作るので、どうせならおいしい豚汁を味わいたいですね。沼津さんの豚汁は家族はもちろん、娘さんの友達からのリクエストも多く、一度食べたら忘れられないおいしさと評判だそう。

「ポイントはとにかく炒めて炒めて、野菜と豚肉の旨味を存分に引き出すこと。ぜひだまされたと思って一度作ってほしい! 野菜の甘味がたっぷり溶け出て、みそも少なくて済むうえ、だしを使わなくても複雑な味わいに仕上がりますよ」(以下「」内、沼津さん)

冬野菜がおいしくなり、温かい汁物が恋しい季節。沼津流の豚汁、ぜひ作ってみたいです! 早速、作り方をチェックしてみましょう。

【材料】(作りやすい分量)

大根・・・1/4本

にんじん・・・1/3本

しいたけ・・・2個

厚揚げ・・・1枚

こんにゃく・・・1枚

ごぼう・・・1/2本

長ねぎ・・・1本

里芋・・・2個

豚バラブロック肉・・・200g

ごま油・・・小さじ1

水・・・800ml

みそ・・・大さじ3程度

粉唐辛子・・・少量

【作り方】

(1)野菜類を切る

まずは材料を切ります。野菜→豚肉の順番で切ると、まな板を何度も洗う必要がなく衛生的です。

大根は皮をむいて7〜8mm幅のいちょう切りに、にんじんも同様のいちょう切りにします。しいたけは石突きを取って軸を切り、傘の部分は薄切りに、軸は細かく切ります。厚揚げとこんにゃくは半分に切ってから5mm幅に、ごぼうは縦半分に切ってから斜め薄切りに。長ねぎはトッピング用に白い部分と青い部分を少量ずつ小口切りにしてから、長さを半分にして縦半分に切ってざく切りに。里芋は皮をむいて食べやすい大きさに切ります。

野菜は好みのものでOKですが、私が外せないのは、里芋、ごぼう、長ねぎ、大根。香りのある野菜を入れるとグッとおいしくなります。長ねぎは断面が多い方が甘味がよく出るので、縦半分に切ってから斜めに切るのがおすすめ。また、豆腐ではなく私は厚揚げを使用。厚揚げは煮崩れしにくく、コクも出るので一石二鳥なんです」

(2)豚肉を切る

最後に豚バラブロック肉を切ります。豚肉は7〜8mm幅に切ってから、半分〜3等分に切ります。

豚肉はブロック肉を使うのがポイント! 薄切り肉だと翌日煮込むと細かくバラバラになってしまいますが、ブロック肉だと煮込んでも煮崩れしにくく、最後までおいしく食べられますよ」

(3)豚肉を炒める

鍋を中強火で温め、鍋が温まったら火を弱めてごま油を入れます。全体になじませたら豚肉を投入。このとき、すぐに炒めないこと! 豚肉が白っぽくなってから炒め始めるのがおいしく仕上げるコツです。

「冷たい豚肉は熱い鍋にくっつくので、すぐに炒めると豚肉がボロボロになりアクの原因に。豚肉の脂と鍋底の温度が1分くらいで合うので、それから混ぜると豚肉が鍋底からツルッとはがれてくっつきません」

(4)長ねぎを炒める

次は長ねぎを炒めます。最初は長ねぎのツーンとした香りがするので、甘い香りがするまでじっくり炒めて、長ねぎの甘味と旨味をしっかり引き出しましょう。

(5)7〜8分、3回蒸し焼きにする

甘い香りがしてきたら、厚揚げ以外の材料を入れます。豚肉の脂を野菜全体によく絡めながら、じっくり炒めるのがポイントです。

少しずらしてふたをして、弱火で7〜8分じっくり加熱します。7〜8分経ったら全体を混ぜ合わせ、少しずらしてふたをして再度7〜8分加熱します。最後は厚揚げを加えて混ぜ合わせ、今度はふたをしっかり閉めて蒸し焼きにします。

「繰り返すうちに水分が出て、野菜も透明になり、甘い香りがしてきます。これで野菜の旨味がギュッと詰まった豚汁のベースができました」

(6)水を入れる

ここで始めて水を加えます。すでに計20〜25分間じっくり炒めて旨味を引き出しているので、水を加えただけで美しい黄金色のスープに! アクを取り除き、沸騰したら火を弱めてください。

「豚肉を炒めるとき、最初からいじらなかったので、豚肉からほとんどアクが出ていません」

(7)みそを入れる

香りが飛ばないよう、火を弱めてみそを入れます。先にしっかり炒めているので、煮込む時間は短めでOK。3〜4分煮て、みそがなじんだら完成です。

「家庭のみその味に合わせて、みその分量は調整してください。野菜と豚肉の旨味が十分に出ているので、みその量は少なめで大丈夫ですよ」

(8)できあがり!

野菜の甘い香りが漂うなか、豚汁の完成です。トッピング用の長ねぎをのせ、好みで粉唐辛子を振っていただきましょう。冷蔵室で保存し、温め直して3日くらいは食べられます。

ひと口食べると、口いっぱいに野菜と豚肉の甘味がフワ〜ッと広がります。素材の旨味が複雑に絡み合い、お椀の中で豊かなハーモニーとなって、ホッと幸せな気持ちに。豚肉は食べ応えがあり、野菜たっぷりの具だくさんで、1杯食べるだけで大満足! これにごはんがあれば、もう最高のごちそうです。

「炒める時間は長いですが、ふたをしている間はほったらかしで大丈夫。ここで旨味を存分に引き出すので、その後で煮込む時間はグンと短くなります。この方法で作ると、いつもの豚汁とはひと味違った、新しい豚汁の世界が広がりますよ」

じっくり炒めると、こんなに野菜の旨味や甘味が出るんだとしみじみ。スタッフ一同おかわりをして、大満足でした! 大根や長ねぎが旬を迎え、豚汁のおいしい季節にぜひ試してみてください。

取材・文/岸綾香

【取材協力】

沼津りえ

料理研究家、管理栄養士、調理師。料理教室『cook会』主宰。バラエティー豊かなレッスン内容が好評で、東京・阿佐ヶ谷を中心に数多くの料理教室を開催。毎年、梅漬けの教室はリピーターが多く大人気に。手軽でシンプルなアイディア溢れるレシピに定評があり、雑誌などのメディアでも活躍。著書に『いろんな味で少しだけつくる ちょこっとだけ漬けもの』(学研プラス刊)、『55分焼きたてパン 粉100gの食べきりレシピ。手も道具も汚さずパパッとかんたん』(主婦の友社)、『野菜まるごと冷凍レシピ』(主婦の友社)など多数。HPはこちら。Instagram@rienumadu  YouTube  管理栄養士  沼津りえの「阿佐ヶ谷夫婦チャンネル」

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