さつまいも。今がまさに「旬」ですが…
null「芋活」今年はますます盛り上がってますね。お店にもたくさん並び、子どもたちにとっては「芋掘り遠足」のシーズン。
今回お話を聞いたのは、埼玉県にある“むさし野自然農場”の武田浩太郎さん。武田さんの農場は、江戸時代から320年以上続く、さつまいも農家です。
お話を聞いてみると「そうだったんだ!」という発見がたくさん。
今、流通している「さつまいも」には、どんな種類が?
nullさつまいもを購入する際“品種”を見てから、購入していますか? 実は今、種類がかなり増えているそう。
「今市場に流通しているさつまいもは、大まかに言うと『ねっとり系』と『ホクホク系』に分かれます。
ねっとり系は『紅はるか』や『シルクスイート』、ホクホク系は『紅あずま』や『鳴門金時』などがあります」(武田さん。以下「」内同)
まずは“ねっとり”なのか、“ホクホク”なのか。その食感の好みで、品種を選ぶといいようです。
「美味しいさつまいも」の見分け方
nullお店に並んでいるさつまいもは、外から見ただけでは、なかなか味の優劣はわからないものですよね。購入の際、美味しいお芋を選ぶヒント、ありますか?
「見た目でわかる、美味しいさつまいもの特徴は、ズバリ“毛穴”にあります。
さつまいもの表面には、ヒゲっぽいものが生えていたりしますよね?その毛穴が浅く、表面が滑らかなものが、美味しいさつまいもの目安なんです」
なんと“毛穴”が味につながっているとは!毛穴が浅いものは、土の中で素直に育ったという証拠であり、ストレスがかかっていない状態。つまり、美味しい確率が高い、ということ。
さつまいもの「食べごろ」って?
nullこの時期は、ご近所からの頂き物だったり、子どもの学校や幼稚園で“芋掘り”が行われたりと、とれたてのさつまいもが手に入ることも多いですよね。私たちは、新鮮なうちに食べた方が!と思いがちですが……。
「実は、さつまいもは、掘りたてよりしばらく置いた方が美味しくなるんです。なので急いで食べないでください!
“ねっとり系”の品種のものも、掘りたてを食べると、どちらかとおいうとホクホクな食感。掘り上げてから60日くらい、しっかり貯蔵して熟成することで、糖度が増し、ねっとりした食感になります。もちろん“ホクホク系”のものも、熟成することでしっとりしてきて甘さも出て来る。
掘り始めの芋が多い秋の始めは、深みのある甘さというより、風味と旬の味覚を楽しむのに適しています。熟成したお芋が出回る、11〜12月にかけてや春先にいただくものは、甘さが深まっていることが多いんです」
では、今店頭で販売されているさつまいもは甘くないのかというと、プロが出荷しているものは、すでに熟成をかけてあるものも多いそう。
「さつまいも農家は『キュアリング』という工程を入れていることも多いんです。掘った芋を、温度や湿度を一定にした貯蔵庫で一定期間寝かせます。そうすることで、収穫時に付いたキズなどを芋が自分の力で修復したり、甘みが増したりする。まさにキュア=治療ですね。この工程を経て、市場に出されることが多いんです」
なるほど!販売されてるさつまいもは、掘り立てではなく、プロの熟成技術が加えられているんですね。
自宅で美味しく「保存」するには
null新鮮なさつまいもは、寝かせたほうが甘みが増して美味しくなるとのこと。では、どうやって保存したら美味しくなるのか、その方法を教えていただきました。
「芋掘りをして持ち帰ってきた芋は、一旦天日干しをして、表面を乾かします。貯蔵するときは水分が抜けすぎないよう“新聞紙に包む”のがオススメ。
さつまいもは寒さに弱く、気温が10℃を下回ると傷みが出やすい性質が。関東であれば11月中くらいまでは室内で保存が可能です」
一度にたくさんのさつまいもが手に入ったら、まずは天日干しをして、保管。じっくり美味しくなるのを待ちましょう。
さつまいもの「蜜」ってなに?
null焼き芋の広告にはよく、“蜜たっぷり!”なんていうコピーがついてますよね。この“蜜”って、一体なんでしょう。
「さつまいもの“蜜”の素は、お芋のデンプン。これが、ベータアミラーゼという酵素によって糖化し、水分と結びつくことで、蜜として溢れ出すという仕組みなんです。焼き芋にするなど“熱”が加わると、酵素の働きが活性化されて、より蜜がたっぷりに!」
お芋の中にもともと蜜が潜んでいるわけではないんですね。酵素が働きやすい温度で加熱することで、蜜がたっぷりの芋に仕上げることができるそう。
品種による、美味しい食べ方
nullさつまいもの品種別の、美味しい食べ方も教えていただきました。
「『紅はるか』 は、甘みを楽しみたいのでとにかくじっくり焼くのが美味しい。150〜180度のオーブンで2時間ほどが目安。アルミホイルなどで巻かず、皮のままで大丈夫です。この熱の入れ方だと、蜜がたっぷり出て抜群に美味しい。こうやって焼いたお芋を冷凍して、シャーベットのような食感で味わってもよし、アイスを乗せても美味しいデザートになります」
時間はかかるけど、オーブンに入れてしまえば、そのまま放っておくだけ。これならカンタン!
「『紅あずま』 は、すごく万能な品種。甘すぎることがないので、料理に入れても邪魔をしないのが特徴。色味もきれいで煮くずれしにくいのも料理向きです。さつまいもご飯や煮物など、料理に使うならコレがオススメです」
デザートのような甘さや、料理向きのほどよい甘さと硬さ。品種による特徴を知って選び分けられると、より楽しめそうですね!
また武田さんのお宅でよくやっている、“手早く美味しく”お芋を食べる方法も教えてくれました。
「炊飯器に水を1〜2㎝入れてさつまいもを投入、お米のように炊くだけ!手間いらずなので、時間がない朝ごはんにも、いいですよ!」
今が旬のさつまいも。掘り立てが手に入ったら、まずはしばらく寝かせること。そして、品種に合った食べ方で、より美味しくいただきましょう!
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文/古橋 祐也
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