かつお節の種類を学ぼう
かつお節の種類を学ぼうこんにちは。栄養士の道添明子です。料理家「あーぴん」として、時短簡単・おいしい・お洒落な、“みんなが笑顔になれる幸せごはん”の料理教室を主宰、簡単レシピを毎日SNSで発信しています。
今回は昆布と並んで和食の出汁の定番、かつお節について、基本のだしの取り方や栄養、また出汁をとったあとの利用法などおすすめレシピとともにご紹介します。
荒節、本枯節、宗田節…
「かつお節」の原料は読んで字のごとく魚の「かつお」です。マガツオをボイルして骨を取り、煙と熱で乾燥させたものが「荒節」。
これに優良なカビを付けて熟成させると「本枯節」と呼ばれます。カビ付けにより水分が抜け、うま味が凝縮します。一般的なパックのかつお節はこのかつお節を削った「かつお削り節」です。
また、宗田節とはソウダガツオから作られたものを指します。かつお節と同様に、荒節と、カビを付けた枯宗田節があります。宗田節は濃く深みのある出汁がとれるのが特徴。
この他、さば節、まぐろ節などの種類や、各種の削り節を合わせた混合削りもあり、プロは目的別に使い分けたりしています。
鰹節と削り節
「削り節」はかつお節やさば節を削ったものをいい、特にかつおの削り節を「かつお削り節」といいます。
かつお節に含まれる栄養(かつお節100gあたり)
・エネルギー:332kcal
・たんぱく質:77.1g
・カリウム・940mg
かつお節のたんぱく質は必須アミノ酸を多く含む良質なたんぱく質です。生のかつおに含まれるたんぱく質は重量の約25%ですが、かつお節は水分が抜けているため約78%にもなります。カリウムは血圧を調整してむくみ防止する効果があります。また、体内では作れない必須アミノ酸が、かつお節には9種類全て含まれています。
栄養豊富なかつお節。出汁の材料として使うだけでなく、そのまま食べるのはもちろん、出汁ガラも余すところなく活用していきたいですね。
※出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)より
うま味の相乗効果とは?
かつお節のうま味の秘密は鰹に含まれるイノシン酸です。昆布のグルタミン酸や干ししいたけなどのグアニル酸と合わせることで、1+1が2ではなくそれ以上になります。だしのうま味や風味をしっかりきかせることで塩分が少なくても満足感を得ることができ、減塩にもつながります。
基本のかつお出汁の取り方
基本のかつお出汁の取り方【材料】(作りやすい分量)
・水 500ml
・かつお削り節(薄削り) 15g
(1)鍋に水を入れて火にかけ、沸騰直前で火を止め、かつお削り節を入れる。
(2)かつお削り節が湯に浸かったら再度火にかけ沸騰したら火を止め、1〜2分そのままおく。
(3)クッキングペーパーなどでだしを静かにこす。
こちらではかつおと昆布の混合だしの取り方をご紹介していますので、参考にしてくださいね。
かつおの出汁ガラで作るふりかけ
かつおの出汁ガラで作るふりかけだしを取った後のかつお節にもたんぱく質などの栄養はまだ残っています。捨てないでふりかけにしましょう。食感のアクセントにくるみとちりめんじゃこを入れました。
出汁ガラがない場合、普通のかつお削り節を利用しても作れます。今回は出汁ガラの湿った状態で100gですので、乾燥かつお節の場合には30gくらい使用するとよいでしょう。
くるみ、ちりめんじゃこなどはなくても大丈夫です。くるみの代わりに松の実やミックスナッツなどお好みの材料で。冷蔵庫で1週間から10日、冷凍で3週間程度保存可能です。
【材料】
・かつお節の出汁ガラ 100g
・ちりめんじゃこ 40g
・くるみ 30g(無塩ロースト・粗く刻む)
・白いりごま 大さじ2
<調味料>
・水 50ml
・しょうゆ 大さじ3
・みりん 大さじ2
・酒 大さじ1
・砂糖 大さじ1.5
【作り方】
(1)出汁ガラはザルに上げておき、手でつかむとバリバリというくらいまで乾燥させる。
(2)フライパンにかつお節の出汁ガラと<調味料>を加えて、ヘラで焦げ付かないように混ぜながら炒り付ける。
(3)水分がなくなったら、ちりめんじゃこ、くるみ、白いりごまを加えて、全体に混ぜる。
とろとろ焼きなすの薬味たっぷり出汁びたし
とろとろ焼きなすの薬味たっぷり出汁びたしかつお出汁をたっぷり吸い込んだなすがたまらないおいしさ! 夏は容器ごと冷たくして食べるのがおすすめです。フライパンで少ない油で揚げ焼きして漬けるだけ。油分が加わることでコクが出ます。
なすは早く火が通りやすいように、また味がしみ込みやすいように斜めに切り込みを入れました。薬味の大葉としょうががアクセントに。
出汁は作りやすい分量ですので多めにできます。そのうち200mlのみ使用するので、残りはほかのお料理などに使ってください。
【材料】(3人分)
・なす 3個(240g)
・水 500ml
・かつお削り節(薄削りタイプ) 15g
・サラダ油 大さじ3〜4(フライパンに0.5cmくらいの深さになるように)
・大葉 5枚
・おろししょうが 小さじ2
<調味料>
・かつお出汁 200ml
・しょうゆ 大さじ2
・みりん 大さじ2
・酒 大さじ1
・砂糖 小さじ2
【作り方】
■下準備
・なすは縦半分に切り、斜めに飾り切りを入れ、縦半分に切る。
・大葉はせん切り。
・上記の方法でかつお出汁をとる。
(1)フライパンにサラダ油を中温に熱し、なすを皮面から入れて1〜2分加熱し、反対に返してさらに1分加熱する。やや多めの油で揚げ焼きする感じです。
(2)フライパンまたは鍋に<調味料>を入れてひと煮立ちさせ、なすを加えて1分煮る。器に盛り、冷やして食べる場合は粗熱が取れたら冷蔵庫へ。食べる際に大葉、おろししょうがを添える。
丸ごとピーマンのおかかまみれ
丸ごとピーマンのおかかまみれピーマンは丸ごと調理して種まで全部食べましょう! 香ばしいしょうゆとたっぷりのおかかのおかげで冷めてもおいしく、水気も出ないのでお弁当おかずにもぴったり。まな板の上でゴロゴロ転がすと、表面に傷がつくので破裂防止になります。
ピーマンだけでなくパプリカを入れて三色にしても。その場合は種を取り縦に4つまたは6つ割りにしたものを使います。
【材料】(2〜3人分、ピーマン1袋分)
・ピーマン 5個
・ごま油 大さじ1
・かつお削り節 8g(2パック)
・白炒りごま 適量
<調味料>
・しょうゆ 大さじ1.5
・みりん 大さじ1
・砂糖 小さじ1
・おろししょうが 小さじ1
・おろしにんにく 小さじ1/2
【作り方】
(1)ピーマンは破裂防止に竹串で1か所穴を開けて、まな板の上でゴロゴロ転がす。フライパンにごま油を入れ中温に熱し、ピーマンをこんがりと焼く。
(3)ピーマンに火が通ったら<調味料>で調味して、かつお削り節の半量を加える。器に盛り、残りのかつお節、白炒りごまをかける。
パックのかつお節は馴染みがあったけれど、かつお節で出汁を取ったことがなかったという方も多いかもしれません。お湯を沸かしてパッと入れるだけで簡単に風味豊かな出汁がとれます。そのおいしさは格別ですから、ぜひ一度挑戦してみてくださいね。
栄養士、料理家。
日本女子大学食物学科卒業。大手食品会社にて新製品の企画開発などに携わる。その後企業向けの料理レシピ開発、シルバー大学や料理教室講師、企業の健康栄養セミナーなどで幅広く活躍。
「健康な体は毎日の食生活から」をモットーに、初心者でも作りやすいよう調理法を工夫し、素材を生かしたメニューを得意とする。各種SNSで日々レシピ情報を更新中。
https://lit.link/apinakikomichizoe
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