「かたくり粉」と「コーンスターチ」の違いって…
nullそれぞれの名前から、なんとなく原料が違うのかなと想像できますね。改めて調べてみました!
「かたくり粉」の原料はジャガイモのデンプンが主流に。料理やお菓子などに使われます
かたくり粉は本来、ユリ科の植物であるカタクリの地下茎から作られていましたが、生産量が少なく、現在ではジャガイモのデンプンから精製されたものがほとんど。
料理の衣やとろみづけだけではなく、お菓子にも使われます。
ユリ科のカタクリの鱗茎{りんけい}からとったデンプン。
無味無臭で光沢のある粉末である。
幼児食、病人食のほか、料理、菓子材料に用いられる。生産が少なく高価なため、現在、市販されるもののほとんどはジャガイモデンプンである。
【出典】日本大百科全書(ニッポニカ) 小学館
「コーンスターチ」の原料はトウモロコシ。とろみは弱いものの、接着力が強いのが特徴です
原料はトウモロコシのデンプンで、粒子がとても細かいのが特徴。かたくり粉よりもとろみは弱いですが接着力は強く、食品のみならず、繊維工業や接着剤用などにも幅広く使われています。
トウモロコシの穀粒からとったデンプン。 コーンスターチは各種デンプンのなかでも純度が高く、純白、無臭である。またデンプン粒子がきわめて細かい。粘度は安定し、粘度が高くないわりに接着力は強いのが特徴である。
【出典】日本大百科全書(ニッポニカ) 小学館
で、つまり「かたくり粉」と「コーンスターチ」の違いは…
原料の違いなのでした!
かたくり粉は(現在では)ジャガイモ、コーンスターチはトウモロコシのデンプンから精製されます。
粘度(とろみ)にも違いがあり、コーンスターチはかたくり粉より粘度は弱め。
家庭ではいずれもお菓子作りやお料理の材料としてお馴染みですが、コーンスターチは接着力が強い点を活かして、接着剤用など食品以外にも幅広く使われているようです。
それぞれの性質を知っておくと、お料理の幅が広がる!
null粘度の違うかたくり粉とコーンスターチ、一体どのように使い分けたらいいのでしょうか?
料理研究家・時吉さんによると、
「かたくり粉は温度が高い時によくとろみがつくので、中華料理などアツアツでいただきたいものに向いています。ただし、温度が下がるにしたがって粘度も弱くなっていきます。餡かけ料理などが冷めてくると、あれ!?こんなにとろみなかったっけ……なんてことがよくありますよね」(以下「」内、時吉さん)
たしかに! 温度が下がるととろみがなくなるので、アツアツの内に食べようとします(笑)。
「一方、コーンスターチは温度が下がってもとろみが持ちます。そのため、スイーツのブランマンジェやカスタードクリームなど、冷たいものに使われることが多いんです。
また、トウモロコシのデンプンが原料なので、サクッと仕上がるのも特徴です。
私はスポンジケーキを焼くときに、小麦粉の一部をコーンスターチに置き換えることがあるんですよ(時吉さんのスポンジケーキレシピはこちら)。スポンジケーキは甘さによって配合を変えたりしますが、卵1個に対し、粉(グラニュー糖など)30g、小麦粉30gというのが基本。小麦粉30gのうち、5gほどをコーンスターチに変えることで、軽い仕上がりになるんです」
おおっ、そんな使い方もできるんですね。
「しかも、コーンスターチは小麦粉のようにグルテンを形成しません。粘り気のあるグルテンが形成されるとスポンジケーキなどは固くなってしまいがち。そうならないよう、サクサク混ぜていきますよね。そもそもグルテンを形成しないコーンスターチを使うことで、仕上がりが軽くできる、というわけなんです」
コーンスターチがお菓子作りでよく使われるのは、低温でも粘度が保たれる、グルテンを形成しないといった性質を活かしていたからなんですね。
「かたくり粉はたくさん入れるほど粘度は保たれますが、冷めるとブヨブヨなお餅のようになってしまいますよね(笑)。かたくり粉とコーンスターチは冷めたときの食感が違うので、作りたいものによってうまく使い分けるといいと思います」
なるほど! それぞれの性質をしっかり理解しておくと、お料理の幅が広がりそうですね。勉強になりました!
【取材協力】
料理研究家 時吉真由美
(株)Clocca代表取締役 cooking Clocca代表
土井勝料理学校をはじめ各地の料理教室講師のほか、「ZIP!MOCO’Sキッチン」(放送終了)「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」などTV・出版物等のフードコーディネートや、料理、レシピ制作などで幅広く活躍中。
楽天レシピに多数のレシピを掲載する他、YouTubeチャンネル「Clocca Cooking Channel」にて、語り継ぎたい伝統的な行事食を中心に、作り方やプチ知識を公開中!