「ソーセージ」と「ウインナー」の違いって…
nullどちらも肉を腸詰めにしたもので、見た目は同じですよね。中に詰める肉の種類や味付けによって呼び名に違いがあるのでは?と予想をたてて調べてみると……。
「ソーセージ」は腸詰めされた肉加工品の総称
「ソーセージ」は腸詰め加工品の総称です。豚や牛のひき肉に調味料や香辛料を加え、牛・豚・羊腸や人工のケーシング(詰め袋)に詰めてから、ボイルあるいは乾燥させて作ります。
肉に唐辛子などを加えたスパイシーなチョリソや、味付け肉を乾燥させたドライソーセージのサラミなどバリエーション豊富ですよね。これらもすべてひっくるめて「ソーセージ」となります。
牛や豚、羊などの腸に、香料や調味料を加えてひきつぶした肉を詰め、煮沸、乾燥あるいは燻製した食品。種類が多く内臓で作ったものもある。現在では、腸の代わりにセルロースやプラスチックなどのフィルムも用いる。腸詰。
【出典】日本国語大辞典 小学館
「ウインナー」はソーセージの一種。ウィーンが発祥です
ウインナーはソーセージの仲間。オーストリアの首都・ウィーンが発祥だったことが、その名の由来です。
そしてさらに、羊や山羊の腸に詰められた小さめのものに限定して呼ばれているようです。
羊・山羊(やぎ)の腸にすりつぶした肉を詰めた小形のソーセージ。ウィーンで作り始められたという。
【出典】デジタル大辞泉 小学館
で、つまり「ソーセージ」と「ウインナー」の違いは…
「ソーセージ」は肉を腸詰めした加工品全般のこと。「ウインナー」とはソーセージの一種で、羊や山羊の腸に詰められた小形のものでした。
ただし、日本では「ソーセージ」ついてJAS(日本農林規格)で細かく規定され、次のような基準があります。
- ウインナーソーセージ…羊腸を使用したもの又は製品の太さが20mm未満のもの
- フランクフルト…豚腸を使用したもの又は製品トソーセージの太さが20mm以上36mm未満のもの
- ボロニア…牛腸を使用したもの又は製品セージの太さが36mm以上のもの
詰める肉の種類や製法ではなく、腸の種類と大きさが分類の目安なんですね。
知ってる?日本生まれのソーセージたち
null腸詰めされた食肉加工品がソーセージで、ウインナーはその中の一種類だったんですね。
料理研究家・時吉さんによると、
「日本ではJAS規格によって前述のように分けられていますが、国や地域によって、肉の粗さ、使われる腸の種類、調味料の有無など原料や製法によって種類はさまざま。とてもバラエティ豊かな食品なんです。ソーセージの本場といわれるドイツでは1,500種類以上にも及ぶそうですよ。
また、フランクフルトはドイツ発祥、ボロニアソーセージはイタリア発祥、ウインナーはオーストリア発祥と、それぞれ生まれた地名を冠していますが、現地では必ずしもこの通りではないようです。ドイツではソーセージのことを“ヴルスト”と呼ぶ方も多いですしね」(以下「」内、時吉さん)
ソーセージにもお国柄があるんですね。ひとまず、日本での分類や呼び方が世界共通ではないと覚えておきたいと思います(笑)。
「ソーセージは主にヨーロッパ発祥の食べ物ですが、お弁当などでお馴染みの“魚肉ソーセージ”や“赤色ウインナー”は日本生まれなんですよ」
え!どちらも日本オリジナルなんですか!?
「まだハムやソーセージが高価なものだった頃、それらの代用品として生まれたのが魚のすり身を使った魚肉ソーセージだと言われています。赤色ウインナーが誕生したのは戦後。当時は肉の品質がよくなかったため、着色して見栄えをよく、美味しそうに加工したのが始まりなのだそうです」
調べてみると……魚肉ソーセージは、魚肉の保存性を求めて大正時代初期に各地の水産試験場で試作されたようです。その後、昭和26年に愛媛県の西南開発株式会社が魚肉ソーセージ「スモークミート」を発売し、全国に広まったとか。
発売当時はアジのすり身が使われていたそうですが、より加工に適した冷凍タラが用いられるようになり、白身魚のすり身を主原料としたものが多くなったそうです。
魚肉ソーセージや赤色ウインナーが、日本人の工夫から生まれたものだったとは驚きですね。
【取材協力】
料理研究家 時吉真由美
(株)Clocca代表取締役 cooking Clocca代表
土井勝料理学校をはじめ各地の料理教室講師のほか、「ZIP!MOCO’Sキッチン」(放送終了)「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」などTV・出版物等のフードコーディネートや、料理、レシピ制作などで幅広く活躍中。
楽天レシピに多数のレシピを掲載する他、YouTubeチャンネル「Clocca Cooking Channel」にて、語り継ぎたい伝統的な行事食を中心に、作り方やプチ知識を公開中!