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食品の価格を日本と比べてみたら?噂のセーヌ川&エコへの取り組み【パリオリンピック通信#3】

今回も熱い戦いの末、閉会式を迎えたオリンピック。これからパラリンピックも始まります。そんな一大イベントを、現地の皆さんはどう受け入れているのでしょうか。フランス在住の日本人が見た、パリの街の様子を数回にわたってお送りします。第3回目は、食品の物価、エコ意識の高まるフランス、街の観光客の様子などをお伝えします。

パリの食品物価事情

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さて、今回はスーパーでの物価のお話。大手スーパー「モノプリ(MONOPRIX)」で撮影してみました。

コロナ禍の影響やウクライナ情勢などもあり、世界的な物価の高騰が続いています。今のところフランスでは野菜や果物の価格は比較的落ち着いています。

日本と違い、自分で必要な分だけを取って買うはかり売り方式なので、価格は1kg単位で書かれていることが多いです。トマト、リンゴ、キウイなど決まった個数で売っているものは箱に入って定価で売られているものも。

こちらは特売コーナー。フランス産トマト、1.89ユーロ(約304円)/1kg
りんご 2.49ユーロ(約401円)/1kg、メロンは2個で3.99ユーロ(約642円)
BIOバナナ 1.79ユーロ(約288円)/1kg
BIOのキウイ5.99ユーロ(約964円)/4個入りパック
260g前後の七面鳥のむね肉が1パック4.54ユーロ(約730円)、鶏のむね肉が7.69ユーロ(約1,238円)
BIOの牛ひき肉が350gで7.79ユーロ(約1,254円)

フランスでは、昔から魚の値段が日本に比べてとても高いですが、最近では特にお肉もずいぶんと値上がりしたように感じます。ちなみにお肉の中でも特に価格が高いのは鶏肉。日本とは逆で、もも肉よりむね肉の方が高価です。割と安いのが豚肉。

8ピース入りのKiriのクリームチーズが2.49ユーロ(約401円)、BIOタイプは2.99ユーロ(約481円)
上段にエシレのバター、250gで4.55ユーロ(約733円)。下段の一般的なものは同量で2.5ユーロ(約402円)前後。

またバターやヨーグルトなどの乳製品も値上がりしています。日本でも人気の『エシレ』のバターも最近ではスーパーで購入できるようになりました。ただし一般的なバターと比べて倍近い価格です。

ネスカフェのインスタントコーヒーは1瓶5~7ユーロ(約805円~1,127円)程度。
この日の1.5Lのコカ・コーラは1.89ユーロ(約304円)。

外食の際も、レストランでのランチメニューは以前は前菜、メイン、デザートの3品で25ユーロ(4,000円前後)くらいが相場だったのが、安くて30ユーロ(4,800円前後)、普通で35ユーロ(5,600円前後)くらいといった感じになりました。またアラカルトのメニューも、昔は1品が15ユーロ(2,400円前後)程度でしたが今は25ユーロ(4,000円前後)くらいします。

環境問題への意識が高まるフランス

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今回のオリンピックでは、新しいスタジアムなどを作ることなくできるだけ既存の施設を活かした会場を使用するなど、環境へ配慮した「エコ五輪」を推進しています。会場でも飲み水はリフィル容器を使用するなど「使い捨てプラスチックを使用しない初めての五輪」を実現すべく努力されているようです。

私は今年の6月まで南仏エクサンプロヴァンスの大学で日本語教師として働いていました。毎年、文学部日本語学科には100人が入学し、このほかに日本語を履修する学生は毎年約150人もいます。それほど日本は人気があり、日本に留学や旅行したことのある学生もたくさんいます。

授業中に環境問題について学生達にディスカッションしてもらったところ、日本人は環境問題に敏感で分別ゴミの仕分けはきちんとするのに、日常生活でプラスチックを多く使用し過剰包装している。

パン屋さんに行けばパンが1個ずつビニール袋に入れられたり、コンビニやスーパーの食品もプラスチックで包まれていたり、お菓子の箱の中身もひとつずつ個装されているのにギャップを感じるという意見がありました。

確かにフランスのパン屋さんはクロワッサンやパンオショコラなどいろいろ買ってもひとつの紙袋にまとめて入れます。マルシェでの買い物も、選んだ野菜ははかりの上のかごで重さを計られて、最後にまとめて袋に入れられます。

トマトのパッケージも紙仕様に

フランスでは2022年1月から果物・野菜のプラスチック包装が禁止となりました。スーパーのパッケージは箱に変わり、野菜などを入れる袋も紙に変わりました。

最近ではあらゆるお店のレジで「購入明細のレシートやクレジットカードの控えは必要ですか?」と聞かれます。スーパーのセルフレジでも会計の最後にレシートの要・不要を選ぶようになっています。生活の細かなところから意識改革が進んでいます。

ヒトデじゃないよ!オリパラマスコット「フリージュ」

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この赤いマスコットは「フリージュ」といいます。 お土産屋さんでも大人気。様々なサイズのグッズが売られていました!

これはフランス革命の自由の象徴としても知られる「フリジア帽」がモチーフになっています。オリンピック・フリージュと、片足が義足のパラリンピック・フリージュのペアです。

■https://olympics.com/ja/paris-2024/the-games/the-brand/mascots

 

街には観光客があふれています!

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人垣のむこう、奥の壁にあるのがモナ・リザです!

夏のパリはもともとたくさんの観光客でにぎわいますが、今年はさらに混みあっています。こちらはルーブル内、モナ・リザの部屋。ルーブルは、オリンピック期間中は完全予約制となり、普段より観光客は少なかったそうです。それでも夕方の人が少し減った状態でこの通り。日中はさらに幾重にも人垣ができています。

この夏のホテルの値上がりも相当なもの。全国的に上がりましたが、特にパリのホテルはオリンピックの影響もあり高騰しました。2023年のパリのホテル1泊の平均価格は167ユーロ(約26,887円)だったのが、現在は平均674ユーロ(約108,514円)と約4倍になっています。一方民泊は平均200ユーロ(32,000円前後)程度ということで、民泊の人気が高まっています。

噂のセーヌ川の様子は?

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トライアスロンの水泳競技会場としても使用されたセーヌ川。パリの象徴ともいえる美しい風景の一部ではありますが、実際の川はこんな色です。水質改善の努力もしたようですが……。

 

以上、3回にわたってパリの街の様子を生活者の目線でレポートいたしました。少しでもパリオリンピック2024の雰囲気を味わっていただけましたら幸いです。

今、開会式で披露されたあの気球型聖火台を今後もパリの街を飾る新たなモニュメントとして引き続き保存しようかと国で検討されているそうです。円安の影響もあり、日本からはなかなか旅行しにくい状況だとは思いますが、ほかにもまだまだ見どころのある街パリに、是非お越しください。お待ちしております!

※価格は1ユーロ=161円で計算しています(8月13日時点)。


【取材協力】

中村ゲール潤子

大学卒業後、三越パリ店、三越本社日本橋旅行事業部などを経て40歳の時に退職。その後、南仏プロヴァンス大学大学院で経営学を学ぶ。エクサンプロヴァンスで結婚し、日本語教師として高校生や大学生と15年間関わる。現在、フランス人の夫とパリ在住。趣味は旅行、料理、茶道。フランス調理師免許取得。

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