買う時は「精米日」と「米の粒」を必ずチェック!
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私たち消費者が、いま米を買う際に気をつけるべきポイントについて西島さんに尋ねると……。
「米が手に入らないとなると、不安感からまとめ買いをする人が増えますが、米は精米した直後から味はどんどん落ちていくもの。今年の新米が出回るまであと数カ月。今、大量にまとめ買いをしてしまうと、これから暑い夏は保管が大変なうえ、食べ切る前に新米が出てくるかもしれません。そうすると、せっかく手に入れた米を無駄にしてしまう可能性があります」
まとめ買いはせず、食べ切る量を買ったうえで、さらに注目すべきは「精米日」と「米の粒」とのこと。

正規ルートで販売されている米には、何年度産か、精米時期はいつか、ひと目で分かるように表示されている。
「米の袋には、“令和何年産”と収穫された年が書かれているので、まず、いつ収穫された米なのか調べてください。
さらに、精米した日から味の劣化が始まるので、いつ精米された米なのか必ずチェックを。この2点を確認して、できるだけ鮮度のよい米を買うのがベストです!」
また、米袋には覗き窓がついているので、そこから米粒の状態の確認を。今回の米騒動に乗じて、普段では出回らないような悪質な米が出回っていることもあるため、米粒が揃っているか、ふっくらしているか、割れた米や白い米が少ないかどうか、自分の目で米粒の状態をチェックするのが大切とのこと。
少し前まで、メルカリなどのフリマサイトで、高価格で米を転売する様子が問題になっていました。そこで、米穀の転売規制を政府が定め、店舗やインターネットを通じて、備蓄米を含む精米や玄米などを購入価格よりも高価格で転売することが、今年6月23日より禁止されました。おかげで、不当な米を買う確率は減りましたが、それでも自分の目でチェックするに越したことはありません。
「このような事態では、〇〇産だから安心ということもありません。無名の産地でも美味しい米が増えており、今までの価値観にとらわれず、いろいろな米を試してみるチャンスです。また、備蓄米を食べられるというのも滅多にない機会。歴史の証人として、“備蓄米ってこんな味なんだ”と実際に試してみて、口に合わなければ美味しくなる方法を探ってみる。これは普段ではなかなかできない体験ですよ」
確かに、今までは当たり前に買っていた米ですが、突然手に入らなくなると、米との向き合い方が変わってきますよね。私たち消費者が、今一度米について、深く考えるべき時なのかもしれません。
ちなみに、備蓄米や古米の美味しい食べ方については、西島さんに前回お伺いしています。ぜひ、こちらの記事も参考にしてください。
五ツ星お米マイスターが今注目する米5選
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今はいろいろな米にトライしてみる良い機会とのことで、西島さんが注目している「期待の米」について教えてもらいました。どれも比較的買いやすく、食べ飽きず、ハズレのないイチオシのお米ばかりです!
【青森県】青天の霹靂
「青森県産米として、初めて特A評価を獲得した悲願の米です。米粒はやや大きく、柔らかな透明感のある白いツヤがあり、粘りが強すぎないので食べやすく、喉越しもいい。さっぱりした食感で、上品な甘味を感じます。おかずを引き立ててくれる万能な味わいです」
【秋田県】サキホコレ
「2023年にデビューした秋田県が開発した新品種米。食味官能評価で“コシヒカリ”を超える評価を受けている期待の米です。白くてツヤがあり、適度な粘りと粒感のバランスが◎。ふっくらしていて、噛むほどに甘味が広がり、子どもたちにも美味しいと評判です」
【山形県】雪若丸
「山形県が誇るブランド米で“つや姫”の弟分として開発されました。白くつややかで、適度な粘りを感じます。そして何と言っても、粒立ちが良く、大粒でしっかりした粒感が特徴。くどすぎない甘味で、冷めても美味しく、カレーやチャーハンにもぴったり。食べ応えがあるので、若者や男性からの人気が高い米です」
【新潟県】新之助
「高温耐性に優れていることから、高温の年でも比較的安定した品質を確保でき、形が良くて大粒で、きらりと輝くツヤがあります。粒がしっかりしていて、粘りが強く弾力があり、噛むほどに“コシヒカリ”とは異なる深味のある甘味が広がります。冷めても美味しくて、硬くなりにくいので、おにぎり用のお米として一番人気!」
【福井県】いちほまれ
「ポスト“コシヒカリ”として誕生した福井県の米。なめらかな白さとツヤが際立ち、米粒感と粘りが絶妙に調和しています。口に入れるとやや柔らかめな食感で、上品な甘味が広がります。“コシヒカリ”好きからの評価も高いですね」
以上、西島さん厳選の5品種でした。
普段買い慣れた米を選びがちですが、食べ切れる量の買いやすい米をいろいろ試してみるのもおすすめです。新米が出回るまでのあと数カ月、ぜひこの機会に、新しい米の味を探ってみてはいかがでしょうか?
【取材協力】

西島豊造
五ツ星お米マイスター。東京・目黒区にある米店『スズノブ』の3代目。北里大学獣医畜産学部畜産土木工学科を卒業後、北海道で水路などの農業土木の設計に携わり、1988年に家業の米店『株式会社 鈴延商店』を継ぐ。五ツ星お米マイスターの資格を取得し、膨大な米と土に関する知識を活かし、新しい米の時代を作るべく産地と消費者をつなぐパイプ役として、産地の特徴を活かした地域ブランド米作りに力を注ぎ、全国を奔走する。

ライター&エディター。『女性セブン』(小学館)で約 20年、料理、家事、美容、旅、タレント取材など、実用記事を中心に幅広いジャンルで取材&執筆を行う。『kufura』では2017年のローンチより、料理やヨガなどを中心に動画記事を350本以上作成。好きなものは絵本、美術館、音楽フェス、自転車。週刊誌で鍛えられた体力&根性で 40代から子育て奮闘中。