見て楽しい、作って楽しい!約40のレシピは工程がすべてイラスト
null昨年発売された『とびきりおいしい おうちごはん 小学生からのたのしい料理』は、原宿に「restaurant eatrip」を開き、世界一予約の取れないレストラン「シェ・パニース」で修業した経験もある料理家・野村友里さんによる子どもむけのレシピ集。
編集長の机に置いてあった本を見たとき、オムライスのイラストが描かれた黄色の表紙に「かわいい!」と声が漏れました。さらにページを開いて驚き!
なんとこのレシピ集、工程がすべてイラスト(とっても温かみがあり、かつ分かりやすい)なのです。
掲載されてるレシピは約40。「卵」「肉」「野菜」「魚」「米・麺」にカテゴリー分けされており、ゆで卵、目玉焼きから、生姜焼きやハンバーグ、おさしみ丼、鶏のから揚げ、シェファーズパイ(イギリスの家庭料理)……と、野村さんの“とびきりおいしいごはん”が掲載されています。
こちらの本、こんなメッセージで始まります。
<人はみんな、「食べたもの」でできています。
そしてあなたは、
「料理を作れる手」を持っています。>
単なるレシピ集ではなく、料理を作るということ、命をいただくということ、そんな「食」に対してのメッセージも伝わり、ぜひ子どもにも読んでほしいなと思いました。
さあ、週末の我が家で料理開始です! 息子は親の思いとは裏腹に(笑)、文字をじっくり読む前に高速でレシピをめくり“食べたいもの探し”を始めました。
小学生男子2人でラーメン作りに挑む!
nullラーメン好きの息子は「はい、ラーメンで決定!」とのこと。迷うことなく(本にある)「蒸し鶏ラーメン」に決まりました。
いいでしょう。ラーメン。きっといつも食べ歩いているラーメン屋さんのものとは少し違うお味と思うけど、それもまたよし!
鶏むね肉と中華麺を買ってくれば、家にある材料で作れるのもいい!
そうこう準備していると、我が家と同じく、親子で“今日、何しよっかー状態”のママ友親子から「今日遊べます?」という連絡が。「お前も一緒にラーメン作ろうぜ!」(息子)ということになり、小学生男子(4年生&2年生)2名によるラーメン作りが始まりました。
小4の我が子は最近、りんごを剥いたり、もやし炒めをいろんな味付けで試してみたりはしているのですが、レシピを見て作るのは初めて。また、お友達はあまり包丁を持ったことがないとのこと。
・基本は子どもだけで進行する
・困ったら親に聞く
・親は様子を見て危険だけ回避できるようにする
という体制です。
材料をチェックして下ごしらえ
まずは材料チェック!
「ママ、長ねぎの青い部分、ってあるけど、青って緑のことでいいの?」
「むね肉って何肉?」
なんて親に確認しながら、2人で材料を確認!
蒸し鶏でスープをとる
お酒や水の計量も2人がかりで、なんだか楽しそう!
息子(4年生)「水1,000mlってことは……このカップが500mlだから2杯か。お前は掛け算もうできるか?」
友達(2年生)「分かるよ!学校の九九合格したから」
息子「ママ、この“わいたら”っていうのはどういうこと?」
私「沸騰って知ってる?」
息子「知ってる!100度! あ、温度計だしてよ。温度計るから」
ということで、温度計を手に沸騰まで盛り上がる2人。私にとっては流れ作業のような調理の工程も、子どもを通すとこんなに楽しそうなものになるんだなぁと感心です。
そして、鶏もも肉を投入! しばらくして火を止め、置いておきながらスープをとっていきます。
蒸し鶏を割く
できあがった蒸し鶏は手で割きます。おなかが空いていたのか、冷めきる前に割き始めた(火の通りは確認済み)2人。ちょっとのつまみ食いは見て見ぬふり……。
ちなみに今回、生の鶏肉を扱うということで、「食中毒に気を付けようね」と大人からアドバイスをして手袋なども用いて進行。ちょっとしっかりめに火を入れました。
スープの味付け
蒸し鶏のスープに加えるのは、塩としょうゆのみ! 小さな味見用のお皿を出して、ちょっとずつ塩としょうゆを足していきます。
「まだ薄いな」「お前入れすぎだよ!」「いや、もうちょっと」と繰り返す2人……。
もうスープなくなっちゃうから味見やめたら?と言いたい気持ちを抑え、待つこと5分ほど。
「味、決まった!」
と声を揃えてスープが完成!
仕上げ
あとは麺を茹でて、薬味のねぎと割いた蒸し鶏を添えるだけ。
ねぎを切るのに涙を流しつつ、ラーメンやさんを真似して、びちゃびちゃと湯を切り……。
そして、欲張って肉を乗せすぎたため、見本よりかなり野性味にあふれていますが、無事完成しました!
「いーたーだーきまーす!(大声)」をしてから、「うまい!」と言いながらラーメンをすする2人の勢いたるや!
親の分は味見程度になってしまいましたが、「次はもう少し味が濃くてもいいかな」など反省点を言い合いながら満足気な表情を浮かべる2人を見ていると、こちらもなんだか嬉しい気持ちになってきました。
友達と一緒に、自分達のランチを作るというのも、”達成感”があってよかったのかもしれません。
自分がつくったものを誰かに食べてもらうってすごいこと
null今回、この本を担当した編集者の中川ちひろさんにお話しを伺う機会がありました。中川さんご自身にも(食いしん坊の!)お子さんがいて、4歳の頃から一緒にキッチンに立つようになったといいます。
「“自分の子どもに見せたいと思える料理本”がつくりたい!というところからこの本はスタートしたんです。その頃、取材で出会った野村さんが料理台で作業する後ろ姿を見たとき、なんだかやわらかなオーラがあって、“この人と子ども向けの料理の本をつくったら、すごく素敵なメッセージを届けられそうな気がする!”と直感しました」(以下「」内、中川さん)
大切にしたのは、野村さんの「料理って一生つきまとうものだし、自分がつくったものを誰かに食べてもらうってすごいこと」という考え。
「自分が日々食べているものに興味を持ってもらうきっかけになるようなメッセージも加え、イラストをちりばめ、楽しく、わくわくする一冊を目指しました。
それと、自分がつくったものがおいしかったらすごく自信になるし料理ってたのしいと思えますよね。だから、レストランのような味だけど、失敗が少なく、シンプルな工程でつくれるように、野村さんが何度も何度もレシピを考えてくださいました」
シンプルな材料と工程で、とびきりの仕上がり。それには本当に納得です。ラーメン作りのあと、息子がしょうが焼きにも挑戦したのですが、これまたおいしくて!
「ダマにならないホワイトソースや、中に入れる野菜を変えたらいろんな楽しみが生まれる黒酢豚、
辛くない“エビチリなし”など、野村さんのミラクルレシピ、工夫がたくさんです!」
次はオムライスがいいか、牛丼がいいか……。
子どもの料理、大人にもいいことだらけです!
『とびきりおいしい おうちごはん
小学生からのたのしい料理』
著/野村友里
(小学館クリエイティブ)
1,760円(税込)