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【ごみ清掃芸人に聞く】年始一発目のごみ収集はカオス!2024年はごみを減らす努力をしませんか

今年こそはよい一年になりますように! 去年のものをスッキリ、きっちりごみ出し、新しい年を迎えたものの、三が日はごみ収集がないからごみ袋がたまっていませんか? お笑い芸人として活動しながら、現役のごみ清掃員としての顔も持つ「マシンガンズ」の滝沢秀一さんにお正月明けのごみについて聞きました。

年始のごみ、その傾向と対策

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お正月の間は毎日ごちそうを食べたり、お酒を飲んだりと、宴会が続く家庭もあるようです。そんな年始のごみの特徴はどんなものがあるのでしょうか?

年末より、年始の方がごみが多くなります。特に増えるのは、食べもののごみ。年末から年始にかけてごみの回収はなく、カレンダーによっては“ずいぶん久しぶりの可燃ごみ回収だわ”ということがありますよね。するとごみ集積所が溢れていたりします。要はごみを少なくしていただければいいのですが、それはなかなか難しいですよね……」(以下「」内、滝沢さん)

そんな年始のごみを減らすカギは、分別にあると滝沢さん。

対策1:きちんと分別をし、資源に回せるものは回す

一番簡単に始められる資源といえば、牛乳パックですよ!

「毎日毎日、肉や魚を食べますから食品トレーと牛乳パックをリサイクルに、プラスチック資源の回収がある地域は分別して出す、それだけでもバカにならない量が減ります。お寿司のプラスチック容器なんてがさばりますしね。牛乳パックなんて本当、燃やしちゃったらもったいないなあと思います。でもリサイクルする人って、見たことないです。やってます? 回収率って、40%に満たないんですよ(2021年度38.8%)」

それはもったいない……、みなさん2024年から牛乳パックをリサイクルすることを初めてみませんか?

対策2:食べ残しや生ごみを減らす

食べられる量だけ取り分けて。

お正月は食べ物がたくさん出てきますが、フードロスの観点からも食べ残しは少しでも減らしたいもの。生ごみを減らすにはどうしたらいいでしょうか?

「年末年始、実家に帰ったり旅行に行ったりして、家を留守にする。出掛ける前に生ごみの処分を忘れた! というとき、ありますよね。僕は普段から、野菜や果物の皮、キャベツの外側の葉っぱなどは必ず一晩ぐらい乾燥させます。それで以前はコンポストを使っていましたが、最近ディスポーザー一体型の生ごみ処理機を買いました。いいですよ~、貝殻とかもばりばりいっちゃいます」

ディスポーザーのないお宅は、何度もお伝えしてきましたが「生ごみは絞ってから出す」が有効だそうです。そもそも生ごみ自体を減らせるといいですね。

みんながハッピーになる、お正月明け資源の分別について

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ものすごい量になりがちな、お正月明け一発目のごみ集積場。少しでもごみ清掃員さんの負担を減らすべく、私たちにできることは何なのでしょうか? 飲み会で量が増えそうな資源の出し方について、滝沢さんにうかがいました。

お屠蘇気分もそこそこに、缶を分別する

お正月明けのごみは、できるだけつぶすなどしてコンパクトにするとカサが減ります。

「年始はお酒のビンや、発泡酒やストロングゼ〇的な缶がやはり多いです。その回収作業は普段なら午後2時くらいに終わりますが、1月始めの回収では夜8時くらいまでかかったりします。

お正月休みですから、みなさんやっぱり飲むんですね~。清掃員をしていると、そうしたことが手にとるようにわかります。そうして出された空き缶を見ると、ネット等で“この商品が人気ナンバーワン”と書かれていたりしますが、本当にみんなが飲んでいるビールはこれなんだなというのもわかったりしますね。

缶とビンを混ぜることがないよう、きちんと分別して出してください

あ、ちなみにおせんべいやクッキーの缶は、ウチの地域では資源として回収します。飲料系じゃないとダメというところもあるので、まずは自治体のルールをご確認ください」

ビン、缶、ペットボトルの資源、これだけはやめて!

ペットの中身はなんじゃろな~。

資源の中でも、いちばん困るのは中身が入ったまま捨てられたものなのだとか。

「いちばん困るのは、中身が入ったままで捨ててあるもの。リサイクルの仕方はいろいろありますが、細かく砕いてガラス原料としてリサイクルする場合、例えばジャムが残ったままビンを捨てると、砕いたビンからジャムが出てくるわけです。ですから、処理工場で仕分けしていて、そうしたビンが流れてきたら、手ではじいていきます。機械で選別するのではなく、全部が手作業なんです。

捨てるときは“誰かがなんとかしてくれるだろう”と思うかもしれませんが、実際になんとかしなきゃいけないのはわれわれで! 

またお茶のペットボトルに茶色い液体が残っていると、本当にお茶かどうかわかりませんよね。何が入っているのかわからない――、それこそが、ごみ清掃員らにとっては恐怖なんです」

「基本的に液体は全部中身を出してから捨ててください」

2024年こそ、SDGs始めませんか?

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滝沢さんのお話を聞いていると、ごみ清掃員さんたちが気持ちよく働けるようにごみ出しをしたいと思うようになります。 

「こんな風にごみのことを考えることはSDGsの問題に直結します。SDGsと言われても何をしていいかわからない、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、単純にごみを減らせばいいんです!

ごみを回収して運ぶのにもCO2が出るし、燃やすにも石油を使うし、燃やせばもちろんCO2が発生します。いいことないんです。しかも最終処分場に埋められたごみからは“埋立地ガス”が出ます。これは有機物が分解されるときに発生するもので、CO2の30倍ほどの強力な温室効果ガス。ですから、ごみを減らすだけでも充分にSDGsを実践していると言えるんですね」

一年の計はその年、最初のごみ出しにアリ! 自治体のルールを確認、ツボをついた対策で、賢いごみ出しを実践しましょう。

撮影/小倉雄一郎(小学館)

【取材協力】

滝沢秀一(たきざわしゅういち)

1976年生まれ。1998年に西堀亮とお笑いコンビ『マシンガンズ』を結成。
『THE MANZAI』 2012、2014年認定漫才師。
2012年より定収入を得るため、ごみ収集会社に清掃員として勤務を始める。
現在、SNSや執筆、講演会等にて、ごみ清掃中に気がついたことを発信している。
著書に『このゴミは収集できません』(白夜書房)、『ごみ育 日本一楽しいごみ分別の本』(太田出版)などがある。
「滝沢ごみクラブ」というごみを減らすためのオンラインサロンを開催中。

浅見祥子
浅見祥子

映画ライター。映画配給会社勤務を経て、フリーランスに。二児の母。
『ビーパル』(小学館)、『田舎暮らしの本』(宝島社)などの雑誌、『@DIME』、『シネマトゥデイ』などのWEB媒体で映画レビュー、俳優&監督インタビューを執筆。
西田敏行の語り下ろしエッセイ本『バカ卒業 ~映画「釣りバカ日誌」のハマちゃん役を語ろう~』(小学館)、お笑い芸人ニューヨークのエッセイ本『今更のはじめまして』(ワニブックス)を担当。

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