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大掃除の「今昔物語」。今より不便だったのに「昔のほうがよかった」と思う理由は?60代以上の女性に聞きました

かつて、大掃除といえば1年を締めくくるのに不可欠な年末の行事でした。朝から家族総出で畳を叩き、床をピカピカに磨き、障子を張り替えて……と、清らかな新年を迎えるために精を出したものです。時は移り、掃除機の登場で掃除時間はグンと短縮され、畳の代わりにフローリングへ、障子がドアへと変化。掃除用洗剤や便利グッズの充実で、今や「とくに大掃除はしない」という家庭も珍しくありません。

そこで「kufura」では、大掃除の「今」と「昔」の違いを知る60〜80代の女性96人に調査を実施。昔の大掃除と今の大掃除について「変わった」と答えた人からは、具体的にどう変わったのか、そして「昔のほうがよかった」点 &「今のほうがいい」点を、思い出やエピソードとともに教えてもらいました。

家屋が変われば掃除も変わる!

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「昔は戸建てに住んでいたので障子張りが大変だったが、障子のないマンション暮らしになった今は、ちょっぴりあの頃を懐かしく思い出すことも。ただ、庭の草むしりをする必要がなくなり、とても楽になった」(73歳/主婦)

「大阪の府営住宅が住まいだった昭和30年代は、年末になると地区ごとに畳をすべて上げて外干しに。一大風物詩でした。今は畳も障子もあまり見かけなくなり、手間がかなり省けるようになったと感じる」(67歳/主婦)

「家族全員で家の隅から隅まで綺麗にした。障子の張り替え、天窓の掃除、納戸の断捨離など2週間くらいかけて真剣に掃除して新年を迎えた。今は部屋数が1/10になったので、掃除機をかけるだけの“掃除”になっている」(63歳/その他)

「父が煙突掃除をしていた記憶があり、なんとなく風情があったように思う。今はいろんな掃除グッズが増えて便利」(64歳/主婦)

「年末の行事という意味では、家族みんなで取り組んだのがよかった点ですね。今は住宅の構造が変わり、大掃除する必要もなくなったと思います」(65歳/主婦)

今回の調査では、ほとんどの人が「昔の大掃除」に“畳の天日干し”と“障子の張り替え”を挙げていました。また、「子どものころ、家族で大掃除をしていたときに、畳かタンスの下に敷いてあったらしい新聞に、中国からの引き揚げ船の記事が載っていて、父が感慨深そうに読んでいた事を思い出します」(67歳/その他)という、家族の情景を心に留めている人も。

掃除の仕方が変わった!

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「昔は家族総出で家中を担当別に掃除していたように思います。台所や茶の間は母親が担当し、応接室やリビングは父親が指揮官。また、障子は必ず張り替えをしていました。これが意外と大変な作業でした。今は、サッシの溝、換気扇などを普段から掃除しておけば、大掃除は大変ではなくなったと思います」(75歳/その他)

「昔(約50年前)は今ほど掃除道具もなくて、大掃除は1日がかり。大掃除を済ませ、その翌日に餅つきをするのが年末恒例の行事だった。今は便利な掃除道具がたくさんあって、大掃除もものすごくラク。しかし“年末”を感じなくなって、ちょっと寂しい」(65歳/総務・人事・事務)

「子供のころは、この時とばかりに、障子の紙を思い切り破ることができて面白かった。今は障子紙貼りも、テープやプラスチック製紙利用と、ずいぶん楽になりました。また、床がフローリングになり、ワックス付きモップでひと拭きでOK。ラクチンです」(71歳/主婦)

「衛生面は別として、昔は畳もはがして日光浴をさせたり薬剤を巻いたりなど徹底的にやっていた。今は“思い立ったら大掃除”という感じだし、お金に余裕がある人や時間がない人は、掃除業者に頼めるから便利」(70歳/主婦)

それまで畳と板の間が主流で、ほうきやはたきで充分だった日本家屋の掃除スタイルが一変したのは1960年代。“団地”ブームで「家庭のゴミは家庭内で処理すべき」となり、掃除機が一気に普及し始めてからです。

以来、掃除ツールは現在進行形で進化中。さらに「かけるだけ」「浸すだけ」などかゆいところに手が届く掃除洗剤のおかげで、大掃除もかなり手間を省けるようになりました。「お掃除ロボが便利」「今は家電任せでラク。でも、大掃除している感じがしない」という声も。

家族構成・慣習が変わった

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「昔は、一年の締めくくりに、家族揃って大掃除をしていた。今も思い出すと、心が引き締まる。現在は子供たちも独立し、みんなで掃除することもなくなりましたが、いい思い出」(77歳/主婦)

「面倒だったけど、家族みんなで掃除していた。結構楽しかったし、教えてもらうことも多かったと思う。今は、ひとりで掃除機かけて終わり」(73歳/主婦)

「昔の年末は大掃除をはじめ、お正月を迎えるのにやるべきことがたくさんあったので、子供からおじいちゃん、おばあちゃんまで、手分けして頑張ってお正月迎えていた。今考えてみると、道具のほとんどは手づくりだった。現在の家はフローリングがメインなので、掃除もあっという間」(82歳/主婦)

「昔の大掃除は、梅雨明け時などに地域全体で同じ日に行っていた。連帯感が生まれてとても和やかだったし、大きな音を立てても、周りに気兼ねなどする必要はなかった」(79歳/主婦)

 

今回の調査結果では、便利な掃除ツールのおかげで「日常の掃除がラクになって、あえて大掃除をする必要がなくなった」という環境を歓迎する一方で、昔の大掃除に対して「家族総出で大変だったけど、楽しかった」と、よき思い出として懐かしむ人が多いのが印象的でした。

また、昔は、子どもにもきちんと役割分担して家中をきれいにすることが、しつけの役割も担っていたのかも……と感じました。今年「温故知新」をテーマに、子どもたちも巻き込み、今どきのツールを駆使しながら、家族で大掃除をしてみてはいかがしょうか?

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