「頼られすぎている」と感じている祖父母の割合は?
nullまず最初に、子育て中の女性と孫のいる男女にそれぞれアンケートを実施。「どのくらい実家に頼っているか」「孫育てでどれほど頼られているのか」について、質問しました。
両者の回答は以下のような割合になりました。
【子育て中の母に聞いた、「実家」頼り度(回答人数:125人/20代~50代の母親)】
「とても頼りすぎた」と思う・・・12人(9.6%)
「少し頼りすぎた」と思う・・・25人(20.0%)
「頼りすぎた」と思わない・・・88人(70.4%)
【祖父母に聞いた、「孫育て」頼られ度(回答人数:154人/孫のいる男女)】
「とても頼られすぎている」と思ったことがある・・・12人(7.8%)
「少し頼られすぎている」と思ったことがある・・・32人(20.8%)
「頼られすぎている」と思わない・・・110人(71.4%)
「とても頼りすぎている・少し頼りすぎている」「とても頼られすぎている・少し頼られすぎている」の割合は、両者ともにおよそ3割。
子育て中の親はどんなときに「頼りすぎた」と感じるのか、孫のいる男女はどんなきっかけで「頼られすぎている」と感じるのか、それぞれの立場の声を聞いてみました。
「実家に頼りすぎているかも」と感じている子育て中の母親の声
nullまず、「実家に頼りすぎている(いた)」と回答した子育て中の母親の声をご紹介します。「頼りすぎている」という実感を持つ理由として、4つの理由がありました。
(1)「何か」あるときに子どもを預けている
「子どもが風邪のときはいつも預けていた」(35歳・総務・人事・事務)
「近所に住んでいるので、用事があるときは娘を預けてご飯もよくごちそうになってしまっている」(38歳・主婦)
「共働きなので、よく面倒を見てもらいました」(35歳・総務・人事・事務)
「親に習い事の送り迎えなどもお願いしていたら、怒られた」(41歳・その他)
「忙しいときに実家に預けていた」(39歳・営業・販売)
(2)頻繁に実家を訪れている
「パパ不在の休日は実家にいます」(41歳・主婦)
「暇なときに実家に行ってしまう」(41歳・ 主婦)
(3)夫よりも実家が頼りになると感じる
「産前産後に実家に頼った。旦那は自分のことしかしなかったから」(27歳・主婦)
「週末は実家に帰って家事も育児もしないでいたら旦那が平日何も協力しなくなった」(40歳・主婦)
(4)実家のサポートが生活の支柱となっている
「実家がないと、生活が成り立たない程頼っている」(41歳・主婦)
「親が仕事休みは必ず実家に行って甘えているからか家だと上手く育児ができなくなっている」(31歳・主婦)
「協力的でつい甘えてしまう」(28歳・主婦)
「すぐに電話で相談する」(25歳・その他)
回答者は、子どもの体調不良、残業、育児疲れ、孤独、夫の激務や非協力的な態度など、さまざまな理由で実家に足を運んだり、子どものケアを頼むなどしています。育児をシェアできる相手が必要なときに、祖父母の存在が“渡りに船”のようなケースとなっているのかもしれません。
一方、少数ではありますが、祖父母のサポートが日常生活にガッシリと組み込まれており、その存在なしには生活がまわらないケースも見受けられます。
後に紹介する祖父母側の回答を見ると、子どもや孫から全面的に頼りにされていることを張り合いにしている声が一定数あったものの、負担感が大きくなっているケースもありました。
祖父母はどんなときに「孫育てを頼られすぎている」と感じるのか?
null続いて「孫のケアを頼られすぎている」と感じたことがある祖父母世代の声からご紹介します。以下のような理由で「頼られすぎている」と感じていました。
(1)孫が頻繁に家に来る
「休日になると孫が遊びに来るため、私には休日がない」(59歳・技術職/女性)
「孫を連れてくることで親孝行していると思っている。かわいいけど、世話するのは大変」(61歳・主婦/女性)
「週のうち半分以上はうちに泊まっている」(58歳・会社経営・役員/男性)
「孫を月曜の朝から預かり、金曜の夜に子に返す。これを頼られすぎと思わずになんとするのでしょうか?」(71歳・その他/男性)
「結婚してからもしょっちゅう自宅に来てご飯を食べて風呂に入って帰る」(74歳・総務・人事・事務/男性)
(2)日常の育児の役割が定着している
「子どもの帰りが遅いと、当然のように孫の夕ご飯は私が作る」(73歳・主婦/女性)
「孫の多々送り迎え、夕食の仕度など当たり前に頼まれる」(71歳・主婦/女性)
「遊び相手や送り迎えなどを当然のようにあてにしている」(68歳・その他/男性)
(3)よく孫を預かっている
「娘は特に妻に甘えていて、孫の面倒をよくお願いされる」(63歳・会社経営・役員/男性)
「完全母乳なのに、娘が友達に会うために冷凍の母乳持参で預けに来る。少し叱った」(61歳・主婦/女性)
(4)遠方からサポート要請がくる
「孫が1~2歳の頃、風邪をひくたびに電話があり愛知から東京まで行っていた」(64歳・主婦/女性)
「遠方なのでなかなか手伝えないが、共働き夫婦では親の援助も期待されている気がして二拠点生活を始めようとしている」(62歳・その他/女性)
(5)金銭的な援助をしている
「私立中学の入学金の援助をしている」(73歳・総務・人事・事務/男性)
「何でも欲しいものを言ってくる」(70歳・その他/男性)
突然の子守りや送迎を依頼される、頻繁に実家を訪れ食事や風呂を済ませていく、共働き夫婦のバックアップ、金銭的な援助要請……などなど、さまざまなエピソードがありました。
「子・孫の生活」と「祖父母の生活」の境目がなくなると、祖父母の負担感が高まる?
今回のアンケートでは「頼られすぎている」と感じるケースでは、“祖父母の生活”と“子ども・孫の生活”の境目がなくなっているケースが目立っています。
体力・気力・経済的な余裕がある時期には孫の存在や、身内から頼りにされていることが日常の張り合いになることもあるかもしれません。しかし、孫育ての負担感が過重になると、疲れや不満につながることもあるようです。
近年、シニア向けの媒体では、子育てを終えた後に“孫育て”の負担がのしかかってくる憂うつな心境を“孫ブルー”という言葉で形容する記事も見られますが、今回のアンケートにおいても「自分の休む時間がない」という声が含まれていました。
いずれにせよ、子育て中の家庭では、乳幼児・児童の都合や健康状態に合わせて臨機応変に動くことができるメンバーが必要です。育児で何か困ったことが起こったら“緩衝材”のように衝撃を和らげ、“調整弁”のように臨機応変に動いてくれる祖父母に助けられている子育て中の家庭は多いと思います。
とはいえ、祖父母世代の気力・体力・お金は有限。
時には「孫育てを依頼するほうは“親孝行”のつもりで、預けられるほうは疲弊」「育児の体験値によって親子の上下関係が固定し、“祖父母主体の育児”になってしまう」という事態が起こることもあります。育児のステージや祖父母の健康状態に合わせ、その時々の健康的な“依存度”を探っておきたいものです。
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