「虫」をお手本に、デザイナーや建築家が制作
null虫は、私達にとって非常に身近な存在でありながら、まだまだ多くの謎に包まれています。なぜその色なのか? なぜその構造なのか? なぜそんな習性なのか……。
「虫展 −デザインのお手本−」は、そんな謎多き虫たちを“デザインのお手本”とし、アーティストやデザイナー、建築家が虫から着想を得た様々な作品を展示するというもの。
展覧会のディレクターは、グラフィックデザイナーの佐藤卓、企画監修を虫好きとして知られる解剖学者の養老孟司が担当しています。
鮮やかな標本にMVも! 作品を通して知る「虫の面白さ」
null入場してすぐに目に入るのが、超巨大な虫の脚!
こちらは佐藤卓の『シロモンクモゾウムシの脚』という作品。昆虫写真家の小檜山(こひやま)賢二が撮影した精密写真を元に、シロモンクモゾウムシの左中脚部分を700倍に拡大したものです。部位によってツヤツヤしていたり、ふさふさしていたり、非常に複雑な構造をしていることがわかります。
上記写真は、実物大のシロモンクモゾウムシ。やはり、この大きさではどんなに目を凝らしても、その複雑な構造はわかりにくいですよね。
とくに、この脚先! 肉眼で見ると線のようにしか見えない脚先が、まさかこんなに複雑な構造をしているなんて驚きです。
そして、この巨大な脚のそばにあるのは『虫の標本群』。単に“虫”といっても本当にいろいろな種類があることに驚かされます。
このように、「虫展 −デザインのお手本−」では、虫たちの不思議なフォルムをテーマにした作品がたっぷりと並びます。
上記写真は、阿部洋介と小檜山賢二、丸山宗利による『虫のかたち』。蓮沼執太の音楽に合わせ、様々な虫のフォルムが大きく映し出される“昆虫のMV(ミュージックビデオ)”です。
虫を見慣れていない方は、最初はびっくりするかもしれませんが、次第にその美しさにテンションが上がっていくはず。
『スケルトンカブトムシ』は、3Dプリンティングで作られた透明なカブトムシ。体の中に、筋肉がぎゅっと詰まっていることがわかります。
学校で教わった、虫の体は外側に骨のある「外骨格」生物だということ(見事に忘れていましたが)を、即座に思い出させてくれました。
虫の形や仕組みって本当に面白い!
美術展ならでは! 様々なアプローチで子どもも大人も楽しめる
null虫の美しさや機能を突き詰めていく「虫展 −デザインのお手本−」。
自然系・科学系の博物館とは異なるアプローチで虫を取り上げているので、大人はもちろんのこと、虫に興味しんしんのお子さんもきっと楽しめるはず。館内に散りばめられた、虫の豆知識キャプションを見るのも楽しい!
また、虫はちょっと苦手という方や、あまり興味のなかった方にこそ、ぜひ観てもらいたい展覧会です。なぜなら、虫に対する苦手意識がやわらいだり、虫を見直したり、面白い生き物だと感じたり、そしてその造形や色の美しさに気づくことができるから!
(もちろん本気で虫が苦手な方、恐怖を感じられている方は、あえて行かなくて大丈夫です!)
虫を通して、生き物のすごさや美しさを知ることができる展覧会「虫展 −デザインのお手本−」。きっと新しい発見があるはず! 会期は11月4日(月)まで。ぜひお子さんと出かけてみてください。
【展覧会情報】
東京都港区赤坂9−7−6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
会期:2019年7月19日(金)~2019年11月4日(月)
開館時間:10:00~19:00(最終入館18:30)
休館日:火曜(10月22日は開館)
最寄り駅:東京メトロ日比谷線、都営大江戸線「六本木駅」2番出口より徒歩5分
問い合わせ:03−3475−2121