時代でこんなに違う! 「子どものための建築物」の変遷
null「子どものための建築と空間展」は、明治時代から現在に至るまでの“子どものための建築と空間の変遷”を紹介する展覧会。
ひとくちに「子どものため」の建築物といっても、保育園や小学校、公園や遊具、図書館など実に多種多様。そして、学びの場・遊びの場など用途によって、そして対象とする年齢層によって、その設計は大きく異なっています。また、時代の変化に合わせて、子どものための建築は大きく変化しているのです。
展覧会では、幼児教育および初等教育の場となる建築42作品と児童施設25作品が写真や模型などで紹介されていますが、たとえば小学校だけでも、見比べてみるとその変化に驚きます。
長野県松本市にある『旧開智学校』は、明治時代初期に造られた小学校。和風と洋風の入り混じった“擬洋風建築”と呼ばれるもの。非常にものものしい雰囲気です。
大正時代に入り、大正デモクラシーを背景により自由な教育体験を目指して造られたのは、アメリカの建築家で近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトと弟子の遠藤新(あらた)による『自由学園明日館』。
そしてその約100年後、2017年に造られた『東松島市宮野森小学校』。大きな窓からは陽の光がさんさんと降り注いでいます。
このように、同じ“小学校”というくくりであっても、その建物の姿は時代と環境によって大きく変わっているのです。
建築物から感じる「子どもや未来への思い」
null建築物は、造られた時代や工法、建てる場所の地形や法令などにも影響を受けます。
そしてその変化に一番大きく影響を与えているのが「こんな子どもに育ってほしい。こんな大人に成長してほしい。こんな社会になってほしい」という、当時の大人たちの子どもへのまなざしとあたたかさ、そして“未来像”。
展示されている建物や空間には、当時の子どもたちの姿だけでなく、建物を造った大人たちの“未来への願い”も見てとることができるのです。それがとてもおもしろい!
建物だけでなく、彫刻家イサム・ノグチによる札幌の『モエレ沼公園』や、全国各地にある「タコのすべりだい」などの屋外施設の展示もあり、観ているとウキウキしてきます。子どもたちのことを、たくさんの大人たちが真剣に考えていることがわかるだけでも、なんだか嬉しくなってくるのです。
建物のほかには、当時の教育玩具をはじめ、子ども服や雑誌の付録、絵本の原画など、当時の子どもたちが学びや遊びに使ったものもあわせて展示。“子ども”を取り巻く社会の変化を、様々な面から観ることができます。
最新玩具のプレイコーナーも! お子さんとの楽しみ方
null「どちらかといえば大人向きなのでは?」と思われるかもしれませんが、自分たちにとって親しみのある学校や遊具などの違いに、お子さんも楽しくなるはず。
当時の子どもたちがどんな遊びをしていたのか、どんなことを考えて暮らしていたのかを想像してみたり、お子さんと“理想の小学校”について話してみてはいかがでしょうか。
そして、何と言っても子どもたちにオススメなのが、展覧会の最後にある『ペタボーの空』というプレイコーナー。
『ペタボー』とは、隈太一 発案、クラレファスニング開発の新しいユニバーサル玩具。天井から吊るしてある面ファスナー製の『ペタボー』のかたまりに向かって『ペタポ―』を投げ、くっつけていきます。
下記の写真は展覧会が始まったころの『ペタボーの空』。毎日のように姿が変わっているようなので、現在はもっと大きな塊になっているはず。どんな形になっているのか、ぜひ会場でチェックしてみてくださいね!
ちなみに、『パナソニック 汐留ミュージアム』があるパナソニック東京汐留ビルの中には、最新のシステムキッチンやシャワートイレなどが展示された『パナソニック リビング ショウルーム 東京』もあります。こちらには最新のシステムキッチンやバスルームなどが展示されていて、インテリア好きにはかなりテンションが上がる場所。展覧会の帰りにちょっと立ち寄ってみるのもオススメですよ!
【展覧会情報】
会期:2019年1月12日(土)〜2019年3月24日(日)
会場:『パナソニック汐留 ミュージアム』
東京都港区東新橋1−5−1 パナソニック東京汐留ビル4階
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:水曜
最寄り駅:
JR「新橋駅」より徒歩約8分、東京メトロ銀座線、都営浅草線、ゆりかもめ「新橋駅」より徒歩約6分、都営大江戸線「汐留駅」より徒歩約5分