カップ麺の汁、ペットボトルや缶の分別、どうしたらいい?
null今回、取材に応じてくれたのは、品川プリンスホテルの宿泊部門 メインタワー ハウスキーピング スーパーバイザーの野村真成さん。品川プリンスホテル メインタワーの客室清掃をとりまとめる、ルームキーピングのスペシャリストです。
前回の記事では、みなさんの悩みで多かった、タオル、寝具、アメニティについて教えてもらいました。

今回は、気になる「ゴミ」問題について。どう捨てるのが正解なのか、野村さんが解説します!
「カップ麺などを食べた後の汁をどうすればいいのか困ります」(43歳女性/主婦)

カップ麺の汁は、洗面所やトイレには絶対に流さないで!
「ホテルの洗面所やトイレはキッチンのシンクとは異なるため、詰まりや故障の原因になる恐れもありますので、食べ残したもの、飲み残したものは流さないでください。客室係にご連絡をいただければ、こちらでお預かりして処理させていただきます」(以下「」内、野村さん)
確かに、家で洗面所やトイレに食べ物や飲み物を流さないですよね。良かれと思って、自分で流して処理してしまうよりも、そのまま置いておくのがベスト! ニオイが気になって捨てたい時は、客室係に連絡をして処理してもらいましょう。
「飲みかけのペットボトルや缶、プラスチック容器などをどう処理すれば良いか迷うことがあります。中身を捨ててから捨てるべきか、そのまま捨てるのか」(58歳男性/金融関係)
「当ホテルでは、ゴミを分別する必要はございません。ペットボトルや缶、プラスチックのお弁当箱などの容器は、清掃スタッフが回収後にきちんと分別しますので、中身が残っていてもお部屋にそのまま置いておいてください」
先ほどのカップ麺の汁と同様に、むやみに洗面所やトイレに流すよりは、そのまま置いておいた方がよいのですね。
「ゴミ箱がいつも小さくて溢れてしまうし、分別できないので、どんなゴミも一緒で良いのか迷います」(44歳女性/主婦)

ゴミ箱はあえて1つにすることで、現実感を出しすぎない。
「客室内のゴミ箱は1つしかご用意をしていないため、分別せずにご利用いただいて構いません。ゴミは回収した後、我々で分別いたしますのでご安心ください。もし、ゴミ箱からゴミが溢れてしまう際は、客室係にご連絡をいただければ、ゴミの回収にすぐにお伺いいたします。
また、分別したいというお客様の気持ちから、ゴミ箱の外にペットボトルや缶を置いていただいても、もちろん構いません」
ちなみに、分別しやすいように複数のゴミ箱をなぜ置かないのか尋ねたところ、ゴミ箱をいくつも置くと現実感が出てしまい、非日常感の演出に欠けるとのことでした。なるほど、そういった配慮のひとつでもあったのですね。
ちなみに、筆者は子どもの使用済みオムツについて、追加で質問しました。消臭袋に入れて、口をきつく結んで捨てていますが、ゴミ箱に一緒に入れてもよいものでしょうか?
「袋に入れず、そのままゴミ箱に捨てていただいても、全く問題ございません。もし、ニオイが気になる場合や、ゴミ箱がいっぱいになった時は、客室係にご連絡いただければ、すぐに回収にお伺いします」
オムツについても寛容で、ありがたい限りです。ホテル滞在時のゴミ問題、どうすればよいか、スッキリしました!
チップは必要?バスタブのカーテンの正解は?
nullさらにここからは、kufuraの読者アンケートをもとに、その他の素朴な疑問をピックアップして、野村さんにお伺いしました。
「家族で宿泊時、バラバラに行動する時に、鍵が2つあったらいいなと思うことがありますが、借りることはできますか?」(40歳女性/主婦)
「当ホテルでは、ご到着時に宿泊人数分のカードキーをご用意しております。申し訳ありませんが、セキュリティーの都合上、カードキーは宿泊人数分しかお渡しできません。外出時はお客様ご自身でお持ちいただき、もし紛失などが心配であれば、フロントで預かることも可能です」
「コンセントが足りない時、タップを借りられますか」(65歳男性/公務員)

延長コード、スマートフォンの充電器も完備。
「当ホテルでは、貸し出し備品として複数口の延長コードをご用意しています。スマートフォンの充電器のご用意も各部屋にございます。
貸し出し一覧に記載してあるので、他にも必要なものがありましたら、客室係にご連絡ください」
「隣の部屋がうるさ過ぎて文句を直接言うか、フロントに言うか迷いました」(45歳女性/その他)
「ご宿泊の皆様に快適にお過ごしいただけるよう、時間帯に関わらず、常識の範囲内でのご配慮をお願いしております。防音設備は施しておりますが、完全な遮音ではないため、場合によっては隣のお部屋の音が聞こえてくることがあるかもしれません。
その場合は、直接、隣の部屋の方に伝えることはお控えいただき、一度フロントにご相談ください。お客様同士の直接のやりとりは思わぬトラブルに発展する可能性もございますので、ご連絡をいただけましたら、スタッフが速やかに状況を確認して対応いたします。
その際は、ご連絡をいただいたお客様のお部屋を特定することなく対応いたしますので、安心してフロントにご連絡いただければと思います」
苦情を伝えた側にも迷惑が起こらないようにする配慮、さすがの一言です。
「どこまで土足でいいのかなと思う。外国人はずっと土足だけど、こちらは嫌だから」(45歳女性/主婦)

部屋の中では使い捨てスリッパに履き替えて快適に。
「海外のお客様も多く滞在されますので、皆様に快適にお過ごしいただけるよう、使い捨てのスリッパをご用意しております」
ちなみに、どうしても土足で部屋に入るのが苦手な場合は、一部ではありますが、靴を脱いで部屋に入れるフローリングルームもあるそうです。
「海外のように日本でもチップが必要なのか」(51歳女性/営業・販売)
「当ホテルを含め、日本のホテルでは、サービス料が宿泊料金に含まれておりますので、チップの必要はございません」
しかしながら、稀に、気持ちよく滞在できたから、どうしてもチップを置いていきたいというケースもあるようで……。
「もし、お客様がその場にいらっしゃったら、“お気持ちだけいただきます”ということで、チップはお返ししております。もしお部屋にチップを置いて行かれた際は、お客様からの直接の申し出がない場合、忘れ物扱いとなり、忘れ物として対応させていただいております」
なんと、忘れ物になってしまうそう! なんだかもったいないですね。品川プリンスホテルではチップは不要とのこと、置いてくる方がホテル側のお仕事を増やしてしまうことになりかねないようです。
「2日以上同室に宿泊する時、清掃が入るが、どこまで自分の荷物を置いていてもいいのか迷う」(65歳男性/コンピューター関連以外の技術職)

「DO NOT DISTURB」のボタンを押しておけば、ノックもされない。
「連泊されるお客様は、終日お部屋で過ごしていただいて問題はございません。清掃時間内であれば、お客様が在室中であっても清掃を行うことは可能です。
ご都合のよい時間帯をご連絡いただければ、その時間帯にお部屋の清掃にお伺いすることもできます。清掃時間は30分程度、見ていただければ大丈夫です。
もし清掃が必要ないとのことでしたら、もちろん清掃に入らないこともできます。例えば、こちらのお部屋ですと、ベッドの側に「DO NOT DISTURB」(起こさないでください)というランプがあるので、そちらのボタンを押すと、部屋の外で赤いランプが点灯し、清掃担当者はお部屋のノックも控えさせていただきます」
また、連泊の清掃の際は、自分の荷物をどこに置いておくとよいのかも聞いてみました。
「お客様の私物には、我々スタッフは極力手を触れることはありません。そのため、ベッドの上にお荷物が広がったままですと、ベッドメイクができないのです。バスルームの清掃も同様で、洗面所に私物が広がりすぎていると、充分に清掃ができません。そのため、ベッドの上や洗面所の私物は、まとめておいていただけますと助かります。また、貴重品は金庫に入れていただくか、ご自身での管理をお願いしています」
「私物には手を触れない」という安心感と共に、それを知っておけば、ベッドや洗面所以外など、部屋のどこに置いておくとよいか明確になりますね!
「お風呂のカーテンを入れるのか、出すのか」(34歳男性/その他)

バスルームのカーテンは、必ずバスタブに入れて!
「シャワーカーテンは必ずバスタブの内側に入れていただきたいです。外に出すと、バスタブの縁とシャワーカーテンの間に隙間が生まれ、そこから水が垂れてしまい、バスルームの床が濡れる可能性があります。お客様が足を滑らせたら危険なので、必ず内側に入れてください」
野村さんから、「こうして欲しい」というリクエストは今までほとんどなかったのに、シャワーカーテンに関しては「必ず内側に入れてください」とのこと。しかもその理由は、清掃が大変だからなどではなく、「お客様が怪我をしないように」という気遣いによるものでした。

最高のホスピタリティ。野村さん、ありがとうございました!
最後に野村さんに、kufura読者へのメッセージをお伺いしました。
「品川プリンスホテルでは、皆様にFUN(楽しさ)をお届けできるよう、スタッフ一同、心を込めてお迎えしております。お客様が快適な時間を過ごしていただけるよう、お手伝いさせていただきますので、ぜひお気軽にお越しください」
今回取材して感じたのは、安全性に関わること以外は、宿泊者のスタイルに合わせていいということ。ホテル滞在時の正解は、実はほぼ「お客様次第」。宿泊する側に委ねてくれる懐の深さ、だからこそ、ホテルって心地よく過ごせるのだと改めて気付きました。
ホテルとは、日常をほんのひととき離れ、ゆったり癒されたい空間。だからこそ、ゴミ問題をはじめ、人には聞けないちょっとした悩みが解消されると、よりスッキリと気持ちよく滞在できそうですね。今回のアドバイスを参考に、自分のスタイルに合ったホテル滞在を楽しんでみてください。
ライター&エディター。『女性セブン』(小学館)で約 20年、料理、家事、美容、旅、タレント取材など、実用記事を中心に幅広いジャンルで取材&執筆を行う。『kufura』では2017年のローンチより、料理やヨガなどを中心に動画記事を350本以上作成。好きなものは絵本、美術館、音楽フェス、自転車。週刊誌で鍛えられた体力&根性で 40代から子育て奮闘中。














