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用の美の入門編!? 深澤直人が厳選「民藝 MINGEI展」で民藝品の魅力を知る【ふらり大人の美術展】#3

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美術ライターの浦島茂世が、大人の女性におすすめの美術展をご案内する【ふらり大人の美術展】。今回は、六本木の東京ミッドタウン『21_21 DESIGN SIGHT』で2019年2月24日(日)まで開催されている「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」です。

柳宗悦が発見した庶民の日用品の美しさ「民藝」

“民藝”とは、無名の職人たちが作り出した、日常生活で使用される民衆的工芸品のこと。毎日使う庶民の道具には、簡素で飾らない美しさ=“用の美”があり、さらに地域の風土や風習などの影響で日常的に使われる用具類に独自性が生まれていることを、明治生まれの思想家・柳宗悦(やなぎむねよし)が発見しました。

柳の思想に共感を覚えた陶芸家の濱田庄司、河井寛次郎、富本憲吉、そしてイギリス人の陶芸家 バーナード・リーチらは、その考え方を広めるべく1926年頃から「民藝運動」をスタートさせます。

そして1936年、駒場に民藝運動の拠点ともなる美術館『日本民藝館』が開館。日本各地の民藝の品を収集し、展示しています。

現在も人気の大分県日田市の山あいで焼かれる小鹿田焼(おんたやき)や、島根県玉湯町にある湯町窯(ゆまちがま)の器なども、民藝運動のなかで注目を集めたものです。

もっと知ってもらいたい! 「民藝」への熱い想い

プロダクトデザイナーの深澤直人。民藝を見ると、まず「ヤバイ」という感想が浮かぶそう。

以前、【ふらり大人の美術館】vol.4「六本木でアートめぐり!“21_21 DESIGN SIGHT”でひと味違う展覧会を」でもご紹介した『21_21 DESIGN SIGHT』は、デザインの視点からものごとを考え、さまざまな発信や提案を行う場として生まれた展示施設。

今回、「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」をディレクションしたのは、プロダクトデザイナーで、『21_21 DESIGN SIGHT』のディレクターのひとりでもある深澤直人。KDDIの携帯電話『INFO BAR』や家電ブランド『±0(プラス・マイナスゼロ)』、無印良品『MUJI』の商品デザインなどを手がけています。

現在、『日本民藝館』の5代目館長でもある深澤氏は、「民藝はヤバイ。もっとたくさんの人に民藝を知ってもらわねば」という気持ちを発端に、この「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」を企画したとのこと。

深澤直人が厳選した「ヤバイ」民藝品の数々

展示風景

だるま

展覧会では、『日本民藝館』所蔵の新旧さまざまな146点の民藝品が、深澤氏の基準で分類され展示されています。

展示品には、かわいらしい“だるま”や不思議な顔の蚊取り線香、

蚊取り線香

陶器のおまる

そして、陶器製の“おまる”まで!

どれも使い込まれた日用品ならではの独特の“味”と趣があり、ときには可愛らしい品々も並びます。

ちなみに「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」の展示品は、“深澤直人が気に入ったもの”というシンプルな基準ゆえに、『日本民藝館』では通常展示されていないものもあります。

『日本民藝館』館長室の机

たとえば上記の大きな机は、現在も『日本民藝館』の館長室で実際に使われているもの。柳宗悦の息子であり、『日本民藝館』の2代目館長でプロダクトデザイナーである柳宗理(やなぎそうり)がデザインした長机です。深澤氏が「用の美」を見出し、展示することを決めたそう。

また、別のコーナーには深澤氏が個人的に収集している器の展示コーナーもあり、かわいらしい品々が並んでいます。

深澤氏の私物の器で構成されたコーナー

ミュージアムショップにも民藝の器が充実しているので、観終わった後には物欲もかなり刺激されそうです。

味わい深い民藝品を「そのまま観る」展覧会

この「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」では、民藝に関する説明は最低限に留められていて、先入観を持つことなく民藝の品そのものとしっかり対峙できるようになっていました。

そして展示ケースの下には、深澤氏の展示物に関する想いが記されています。そんなところからも知識に左右されることなく、まず観たままを感じてほしいという熱意が伝わってきます。

じつは展覧会を鑑賞するとき、解説を見ずに「あるものをそのまま観る」のは、けっこう難しいこと。自分では、展示物や作品を“観て感じて”鑑賞しているつもりでも、知らずしらずのうちにキャプションや音声ガイドなどの情報を“確認”するために観てしまうことがあると気づかされます。

目の前にある“もの”だけをしっかりと観るトレーニングにもなりそうですね。

 

暮らしに馴染み、日々の生活を味わい深く豊かにする“民藝”。まずは『21_21 DESIGN SIGHT』の「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」でその世界を覗いてみてはいかがでしょうか。
そしてもっと知りたくなったら、全国各地にたくさんある民藝品のお店や『日本民藝館』をはじめとした美術館に足を運んでみてください。民藝の奥深さに、さらに楽しくなってくるはずですよ!

【展覧会情報】

民藝 MINGEI -Another Kind of Art展

会期:2018年11月 2日 (金)〜 2019年2月24日 (日)

会場:『21_21 DESIGN SIGHT

東京都港区赤坂9‐7‐6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン内

開館時間:10:00~19:00(入場は18:30まで)

休館日:火曜日、展示替期間、年末年始(12月26日〜1月3日)

最寄り駅:都営大江戸線、東京メトロ日比谷線「六本木駅」、千代田線「乃木坂駅」より徒歩5分

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【消費税増税に伴う価格表記について】
2019年9月末までの記事内の「税込み価格」につきましては、増税前の税率(8%)での価格となっておりますので、ご了承ください。

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