魚は突然やってくる
null魚はいつも突然、不意打ちでやってくる。
海に近い場所で暮しているともう、そういう事なのだと有難く受け入れている。どんなに忙しくても魚と向き合う気力がなくても、そしてゴミの日が少し先でも。
今回は、とても立派な鯛がやってきた。さぁ、頑張ってさばいていこう。
鯛は、ウロコがとにかく大きい。
ゴムベラを使うといいとか、ペットボトルのキャップだと飛ばない等、いろいろ聞く。けれども、もうここは潔く、ウロコを飛ばしまくって。それもまた気持ちがいい。
気持ちよく取れるので、ちょっとしたストレス解消にもなる。
私にとってこのサイズの魚をさばく事は、もう本当に大がかりだ。正解もよくわからない。から、適当に出刃包丁を入れていく。
プロの方から見たら、ツッコミどころ満載だろう。でも、そんな事にかまっている気持ちの余裕もない。
とりあえずは3枚におろす。
平和だった休日のキッチンが、あっという間に修羅場のように(笑)。もちろん汗だくだ。
皮をひくのも難しい。
何かの修行のように、黙々と魚と向き合う。この大変さこそが、料理をより美味しく感じられるのに必要な工程だと信じて。
ここまでくれば、あとは切るだけ。あんなに大きな鯛だったのに、随分と小さくなってしまった。
娘の冷ややかな目線が突き刺さる。娘も小さかった頃は、自分で釣ってきた魚を見よう見まねでさばいていた時期もあった。けれど、今はもうそういうのに興味はないようだ。
でもまぁいつかまた、自分で捌いてみようと思う時期もくるだろう。
それでいい。
とっても新鮮な鯛だったので、蒸し暑い日にぴったりのカルパッチョを作った。
薄くスライスして、塩をぱらり。オリーブオイルとレモンをギュッと絞って。美味しくないわけがない。
彩りにネギも散らしてみたけれど、余分だったかもしれない(笑)。
キリッと冷えた白ワインと共に。
平和な休日がドタバタになったけれど、そのご褒美がこれだと思えば幸せだ。
田んぼ作業の合間に「スキー板」作り
nullさて、この原稿を書いている時点では、まだ梅雨明けしていない富山県。田んぼでの作業は少しお休みしていて、自分の時間を過ごす時間が多い。
前回は田植え機の塗装についてお伝えしたが、今回は完全に遊び、スキーの板づくりだ。え、スキーって自分で作れるの?と不思議に思い、面倒そうだなと感じてしまう私を他所に、旦那さんは楽しそうに作っている。
とはいえ簡単に作れるものではない。スキー作りの工房を営む友人の助けをもらいながら、少しずつ少しずつ作り上げていっているようだ。
元々、冬は暇だろうと目論んで米農家になったくらいのスキー好き。実際は、冬も仕事がてんこ盛りで夢見たスキー三昧の生活にはならなかった。けれど、こうして自分で手作りしたスキーで滑れるなら、喜びも倍増だろう。
雪が降る前までに、スキーが完成しますように。
愛知県生まれ、千葉(スイカの名産地・富里)育ち。大学卒業後カナダへ。バンクーバー、カムループス、バンフと移り住み、10年間現地の旅行会社で働く。カナダの永住権を取得したにも係わらず、見ず知らずの富山県黒部市で農家に転身。米作りをしながら、旦那とココ(娘)と3人で日々の暮らしを楽しんでいます。黒部の専業米農家『濱田ファーム』はこちら。