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育児中の家庭の「教育費の見積もり額」は10年間で207万円アップ!その理由は?

物価の高騰が続いています。しかし、昨今の物価高騰が始まる前から、目立った増加を始めていた費用があります。それは、教育費。今回は、子育て中の親が見込む教育費の見積額の推移を調べました。

子育て費用にかかる「見積金額」が10年で207万円上昇

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ソニー生命調べ『子どもの教育資金に関する調査2023』

ソニー生命の『子どもの教育資金に関する調査』では毎年、子どもが小学生から社会人になるまでに必要だと思う教育資金の額を未就学児を育てる男女に質問しています。

必要だと思う教育資金の平均額は2014年の時点では「1,229万円」でしたが、2023年に行われた調査では「1,436万円」でした。

つまり、子どもを社会に送り出すまでの教育費の“見積金額”が、10年間で207万円も上昇しているのです。

見積金額だけでなく「実際にかかる金額」も増加中

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未就学児の親による教育費の見積もり金額が増加していますが、実際にかかる教育費もチェックしてみましょう。

文部科学省の調査を参照すると、無償化が進んだ幼稚園以外で学習費総額(習いごと、塾などの学校外活動費を含む)が増加しています。

例えば、2010年度から2021年度の11年間で公立小学校6年間の学習費総額(※保護者が支出した子ども1人当たりの経費〔学校教育費、学校給食費、学校外活動費〕)は約29万円増加(182万1,397円から211万2,022円)しています。

私立小学校の6年間の学習費総額の増加幅は約119万円(881万687円から999万9,660円)とさらに大きくなっています。

中学校3年間、高校3年間の学習費総額についても、公立・私立ともに20万円以上増加しています。

公立小中学校では「学校教育費」にほとんど変化はありませんが、「学校外活動費」の増加が目立っており、通塾や習いごとにかける教育費の顕著な増加傾向が見られます。

「子どもの将来が不安」「子どもの学力・学歴は教育費によって決まる」の割合は?

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ソニー生命調べ『子どもの教育資金に関する調査2023』

子どもの教育費が上昇傾向にありますが、前出の『子どもの教育資金に関する調査』では興味深い調査項目がありました。

子どもの学力や学歴は教育費にいくらかけるかによって決まると感じるか」という質問に対し、「非常にあてはまる(16.7%)」「ややあてはまる(50.0%)」の合計が66.7%にのぼっていたのです。

教育費の多い・少ないが学力・学歴を決定づけると考えている親が多いことがうかがえます。

また、同調査で子どもの進学や就職活動について「不安」と感じている回答者の割合が7割を超え、「老後の備えより子どもの教育費にお金を回したい」と考える回答者が6割を超えていることを踏まえると、“教育費”を子どもの将来の不安を軽減するために必要な支出と位置付けている家庭が多いと推測されます。

最近『kufura』が子育て中の男女に対して実施したアンケートでも、上記の内容と符合するような結果がありました。

子どもがいる男女に「“食費”と“教育費”どちらか一方を削らなければならなくなったら、どちらを削るか」という質問を投げかけたところ、「食費を削る(教育費を削らない)」と回答した人が6割と多数派だったのです。

自由回答の中に「教育費をケチったら幸せになれない」「教育費は投資だから絶対出し惜しみするべきでない」といった回答があったのが、印象的でした。

知識とスキルがなければ、社会の側から振り落とされてしまうかもしれない。社会や企業から求められる学力・スキルを身に着けられるかどうかは、親がどんな教育環境に“投資”してきたかで決まる。

教育費のインフレーションは、子育て中の親のそうした不安のインフレーション(膨張)の1つのサインかもしれません。

 

【参考】

子どもの教育資金に関する調査2023 – ソニー生命

令和3年度子供の学習費調査 – 文部科学省

北川和子
北川和子

自治体HP、プレスリリース、コラム、広告制作などWEBを中心に幅広いジャンルで執筆中。『kufura』では夫婦・親子のアンケート記事やビジネスマナーの取材記事を担当している。3児の母で、子ども乗せ自転車の累計走行距離は約2万キロ。地域の末端から家族と社会について日々考察を重ねている。

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