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「子どもだけの外出・留守番」虐待禁止条例案を受けてどう思った?育児中のママに聞いた

10月の上旬に話題を呼んだ「埼玉県虐待禁止条例」の改正案。小学校3年生以下の子どもだけの留守番・外出を禁じる内容は、子育て中の家庭や教育現場に衝撃を与えました。

改正案は取り下げられましたが、“小3以下の子どもの外出・留守番”について、子育て中の母親の意見や経験談を聞いてみました。

埼玉県の「虐待禁止条例」を振り返って、どう思った?

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10月4日、埼玉県の自民党県議団が「埼玉県虐待禁止条例」の改正案を提出しました。

来年度から、小学校3年生以下の子どもだけの留守番・外遊びなどが虐待の一種である“放置”とみなされるうえに、“放置”に気づいた人に通報の義務が課せられる、というものです。

その内容はたちまちインターネット上で大きな注目を集め、各メディアでも大々的に取り上げられました。

多方面から反対の声が上がり、結果的に「議論に瑕疵(意味:欠点、あやまち)はなかったものの、説明が不十分」との理由で、改正案は取り下げられました。

『kufura』編集部が、改正案が取り下げられた直後の10月13日~10月16日に子育て中の女性95人にアンケートを実施したところ、今回の改正案の内容について、以下のような意見がありました。

「シングルマザーなので、そんな条例を決められたらどうやって仕事に行ったら良いのかわからない。無理がありすぎる」(30歳・その他)

「まず現実的でない。法令に対応するための“ハード”が整ってからの話だと思う。女性活躍、男性育休が本当の意味で根付いていないのに責任だけ押し付けて少子化に拍車をかける事態だと思う。幼児を育児中、共働きの身としては本当に腹が立った」(43歳・総務・人事・事務)

「時代錯誤な条例はいかがなものかと思う。両親が働かないと生きていけない時代なのにできるわけがない。留守番と虐待を一緒にするなと思う」(32歳・主婦)

「論外すぎてお話にならない」
(34歳・会社経営・役員)

「もし可決されていたら、クレーマーの通報が多発して、地域と家庭がさらにギスギスしていたと思う」
(42歳・その他)

家庭や地域の環境が整っていない、現実的な内容ではない、可決された場合には働くことができなくなるといった声が寄せられました。

実のところ「子どもだけでの外出・留守番(小学校3年生以下)」についてどう思う?

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虐待禁止条例の改正案に対して“反対”の意見で埋め尽くされましたが、子育て中の母親は小学校3年生以下の留守番についてどのように考えているのでしょうか。

さきほどの回答者に「子どもだけで外出・留守番(小学校3年生以下)すること」についてどう思うか聞いたところ、4つの意見がありました。

(1)短時間の留守番はやむを得ない

「共働きの家庭が多い以上、子どもだけの留守番はやむを得ないと思う。長時間ならまだしも短時間でも禁止されたらとても困ると思う」(31歳・その他)

「不安に思うが、親の都合や事情もあるので仕方がない。少々ならば子どもの成長にもつながると思う」(49歳・主婦)

(2)子どもだけで遊ぶ時間も必要

「子どもだけで遊ぶことは、社会性を醸成するために必要だと思っていますので、ある程度安全が確保されているところで遊ぶのは重要」(40歳・デザイン関係)

「自宅近くなどで、地域の目が行き届く場所であれば、友人同士で遊ぶことはとても大事なことと思います」(33歳・その他)

(3)子どもだけの留守番・外出は危険

「今は危ない人も多いので子どもだけで外出は怖い。留守番させるのも色々と考えてしまい怖く感じる」(42歳・主婦)

「外出の際は親や責任者と一緒に行動していた。専業主婦だったからできた」(50歳・主婦)

(4)子どもが約束を守れるなら問題ない

「小学校入学前なら問題があるが、小学校入学後なら約束ごとを守る事ができる子どもならある程度の外出や留守番は許容しても良いと思う」(48歳・総務・人事・事務)

留守番・外出に対する感覚は、親の就業状況、周辺地域の雰囲気、子どもの性格、“友達との時間”に対する親自身の考え方によっても異なっているようです。子どもだけで外出・留守番させることに不安を感じている声もありました。

また、過去に『kufura』編集部が行ったアンケート調査では、子どもに初めて家のカギを持たせた年齢にバラつきが見られました。「小学校1~2年生(48.4%)」「小学校3~4年生(26.6%)」「中学校入学後(20.3%)」という結果からも、個々の家庭が個々の事情を踏まえて留守番や外出をさせていることがわかります。

子どもだけの留守番・外出時の困りごとは?

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小学校3年生以下の子どもだけの留守番・外出に対してさまざまな意見がありましたが、今回のアンケート回答者に子どもだけの留守番・外出時に困ったことについて聞いたところ、以下のような”困りごと”“心配ごと”を経験していました。

  • 留守番中にテレビ・動画視聴・ゲームばかりになる
  • 電話・インターホンの対応方法
  • 留守番中に友達を呼んでしまう
  • 友達宅に頻繁に遊びに行ってしまう
  • 電気ポットの取扱い
  • 家のカギを紛失する
  • 遊びに行って帰宅の約束時間を守らない

小学校低学年の放課後や長期休暇の過ごし方には、防犯の問題だけでなく、小学生が安全に過ごせる場所の不足、放課後児童クラブ(学童)の枠の不足、フルタイム勤務必須の家計状況、家族以外に育児を頼れる人がいないなど、さまざまな問題が入り組んでいます。

調整や準備を経てやむを得ず留守番を選択せざるを得ないケースや、子どもたちの成長を思って地域内の公園や児童館に送り出すケースをひとくくりに“虐待”“放置”と定義した改正案の作成は、育児・教育に関わる人たちが日々積み重ねている小さなプロセスをないがしろにする試みだったと言えるのではないでしょうか。

ちなみに、今回の改正案を提出した埼玉県の最大会派・自民党県議団の男性の割合はおよそ95%で、そのうち50代以上の男性議員の割合は約6割。育児中の家庭の実情を理解していたのか、今後も懐疑的な眼差しが向けられそうです。

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