家…買えるのかなあ
null『週刊ビッグコミックスピリッツ』で連載中の『マイホームアフロ田中』では、主人公・田中が妻・ナナコに猛プッシュされて家を購入するかどうか、悩んでいた時期がありました。結局、田中たちは賃貸マンションに引っ越しますが、今後彼らが家を買う可能性はあるのでしょうか?
「うーん、どうなんですかね。難しそうですけど。
家って高いじゃないですか。人生で出会わない金額と出会うわけで。給与は上がってもいないというのに、お金が手に入らないことには買えませんよ」(以下「」内、のりつけ雅春さん)
確かに、お金は現実問題としてあります。35年ローンを組むという技もありますが……。
「僕が家を購入しようと思ってローンについて調べた時、物件を探して1~2カ月ですぐに家を買った人が多かったんです。きっと、考えるのが面倒くさくなって、“もう、いいや”となったのではないかと思いますよ(笑)。
35年ローン、ペアローンとかありますけど、今や3組に1組が離婚する時代で、離婚しない前提でローン組むなんて、賭けじゃないですかね。すごい賭けに何千万も賭けるなんて、と。もっとじっくり考えたほうがいい」
『アフロ田中』シリーズの作者・のりつけ雅春さんは、田中同様に女の子のパパ。ご自身は娘さんの幼稚園入学を前に、住居兼仕事場として家を購入したそうです。
「妻の意向が強かったんです。妻の実家のそばで、すごく安かった中古物件を購入しました。やっぱり女性の方が、育つ環境とかこだわりますよね。家の購入に関しては、田中のエピソードの参考にはなっていると思います。領収書、きれたかなあ(笑)」
中古物件をリフォームする際には、夫婦の間で攻防があったそうです。
「僕はシンプルな壁紙がよかったのですが、妻は柄物が好きで。住居の方は柄物の壁紙になりました。その代わり、仕事場の方を無地のシンプルなものにしたんです。リフォームに関しては、妻の方がこだわりを持っていましたね」
二世帯住宅に住んだものの…
nullのりつけさんが購入した家は二世帯住宅で、仕事場と住居の棲み分けにしていたそう。しかし、コロナ禍により、思いがけない方向に……。
「仕事場にスタッフたちが眠れるように12畳の部屋があるのですが、コロナ禍で集まって作業することもなくなった。仕事場が必要なくなってしまったんです。今、その部屋はスケボーのランプ(楕円を半分に切ったような形状の上を滑る)部屋になりました。二世帯住宅を買わなくてもよかったな、と思ってます」
二世帯住宅には小さな庭があり、そこで畑仕事をするのが楽しみというのりつけさん。
「玉砂利があったところをはがして、小さな畑を作ったんです。小松菜、大根を育ててみたんですが、今は紫蘇、ハーブぐらいかな。小松菜や大根は普通に購入したほうが安い。でも、プランターを庭に置いておくと、雨の日が楽しくなりますね。“ああ、今日は水まきしなくていい”と。次はコンポストとかやってみたいですね。土の肥料になるから」
読者と共に成長してきた田中
null『アフロ田中』は、高校生時代から現在に至るまで22年の月日を読者と共に過ごしています。人生を進めている田中の成長について、作者としてはどのように感じているのでしょうか?
「成長……ただ生きているだけですよ。大変だよね。田中は土木業界で働いているから、稼ぎがいいんじゃないかな。でもやっぱり家は高すぎる。賃貸でも30年間住むと3000万になるとか言いますけど」
子どもといるのが一番楽しいです!
null多くのkufura読者たちと同様に子育て世代、パパでもあるのりつけさん。娘さんを育てるうえで、一番嬉しかった、幸せだと思ったのはどのような時だったのでしょうか?
「毎日嬉しいし、楽しいですね。子どもといるのが一番楽しい。何をしゃべるか、何をするか、見ているだけで楽しいです。でも、中学生になったらきっと遊ばなくなるんでしょうね。今だけなんだろうな」
実際に漫画の中での田中は、とても良いマイホームパパです。育児疲れの妻ナナコを労り、娘のエマちゃんを心から可愛がっているのがよく伝わります。あの、アフロ田中がこんな良いパパになるとは……と、読者からすると感慨深いものがあります。
子育て中の男性に、ぜひ読んでほしい
null田中とナナコが結婚してからは『子育てアフロ田中』『マイホームアフロ田中』という単行本も出ています。『子育てアフロ田中』は『マイホームアフロ田中』の前シリーズとなる『結婚アフロ田中』から育児エピソードを集めた傑作選になっており、出産後の女性は授乳や夜泣きなどで深い睡眠がとれず、なかなか休まらないことや、子どもを守るために行動が変わることなど、リアルなエピソードにママたちの共感も高かったようです。これらは、のりつけさんの実体験から来ているのでしょうか?
「小学館から出ている『はじめて出会う 育児の百科』という分厚い育児書を読みながら描いていました。ちゃんと女性の出産による変化とか、書いてあるんですよ。自分の子どもが生まれたときは、ちょうど仕事の合間で実家にいたのと、妻も働いていなかったので大人4人が子どもの面倒をみていたんです。だから楽でしたね」
『子育てアフロ田中』を男性たちが読むことで、子育ての大変さ、協力体制の必要さをわかってもらえるのでは?と語るのりつけさん。実際に『子育てアフロ田中』は旦那さんに見せたいという女性からの声が多いのだとか。産婦人科で参考図書としておすすめされていたという逸話も。
最後にkufura読者のママたちへ、こんなメッセージをいただきました。
「寝てください。寝る時間を旦那に作ってもらうべきです」
のりつけ雅春
漫画家。1979年11月3日生まれ。埼玉県出身。A型。デビュー作『高校アフロ田中』。現在『週刊ビッグコミックスピリッツ』にて『マイホームアフロ田中』を連載中。単行本『子育てアフロ田中』、『マイホームアフロ田中』は絶賛発売中!