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手こねで「パン作り」。娘(14歳)は牛乳、オトナはワインと!【お米農家のヨメごはん#92】

こんにちは! 富山県の黒部市というところで、お米だけを作っている小さな小さな農家の濱田律子です。旦那とココ(娘・14歳)と3人で、地道に真面目にコツコツとお米を作りながら、仕事に子育てにドタバタもがきつつも楽しく暮らす。そんな私たちの、食卓周りの日常を皆さんにお伝えする連載92回目。

今回は、意外と簡単に焼けちゃうカンパーニュのお話と、雪が降る前に終わるか終わらないかの瀬戸際!秋起こしという農作業についてお伝えしたいと思います。

ホームベーカリーより「手の感覚」で!

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気が向いた時だけ、パンを焼く。

ホームベーカリーもあるけれど、実は全く使っていない。 材料を入れボタン1つ押すだけで焼きたてパンを楽しめるホームベーカリーは、 便利だと思う。 便利だとは思うけれど、私には全く合わなかったようだ。

だからパンはもっぱら、捏(こ)ねて発酵させて成形して焼成する「手こね」パン。

書いていると何だか大変な工程のように思われがちだけれど、実際に作業しているのは数分。

自分の手で生地の感触を楽しみ、鼻で酵母の香りを感じ、焼きあがったクープを目て見て愛でる。私はそちらに幸せを感じるタイプらしい。

ただパンを食べるだけならば、ホームベーカリーで焼かなくてもパン屋さんで買ってくればいい。 私はパンそのものとの一体感を味わいたいからこうして、手こねでパンを焼くのかもしれない。

シナモンロールやメロンパン、ベーグルにバケット等々、いろんなパンを焼いてきた。 その中で、一番気負いなくシンプルな材料で手軽に作れるパンは、カンパーニュだと思う。

粉こそ準強力粉と全粒粉の2種類を使うが、それ以外の材料は砂糖と塩を少々、 あればモルトパウダー(発酵や風味アップの手助けをしてくれる)、あとはドライイーストだけ。

水を加えて混ぜ合わせたら、台に取りだし3分少々捏ねるだけというお手軽さ。

但し、ここからが少々長い。
……ので、映画を見ながらとか、洗濯や掃除など家事をしながら、の「ながら作業」がいい。

発酵とパンチを入れて丸め直す作業を繰り返して、生地を2倍程度の大きさにする。

ベンチタイムを取ったら発酵カゴへ。この辺りの工程は少し専門的なので、動画レシピを見るといいかもしれない。 ご近所にパン教室がもしあれば、習ってしまうと手っ取り早い。

発酵カゴで最終発酵させて生地を取り出し、クープを入れる。

クープはいつもドキドキ、緊張しながらスッとナイフで入れていく。 生地の独特な香りが部屋中に漂い、幸せな気分になる。 見た目の姿も愛おしい。

あとはオーブンへ。

しっかり予熱したオーブンで、スチーム機能があればそれも使い(我が家は霧吹きをシュッとかける)、30分ほどで焼き上がり。

外側パリッ、中ふんわり。美味しそうに焼けたカンパーニュの出来上がり。 このクープの開き具合が萌えるポイント。 旦那さんには全く理解されないけれど、

エッジの立ったクープがしっかり開いていると、たまらなく嬉しくなる。 私はまだまだだから、また次に焼く時にはこうしてみようとあれこれ考えるのも楽しい。

そう、パンはその時の天候や粉の種類によって仕上がりが全く違ってくる。 天然酵母を使うと尚更そう感じる。 だからこそ面白いのだと思う。

同じカンパーニュでもこれは、ココアとチョコチップ入り。 食事パンというよりはおやつパンのようでいて、でも甘さはほとんどない。ワインにも合うだろうと思い、捏ねてみた。

発酵カゴの中でふっくら膨らんだ生地は、適当に丸めてしまうので、生地の膨らみ具合が均一ではないのはご愛敬。 発酵時間も季節や部屋の温度で全く違うから、本来は見極めが難しいのだろう。

でもパン屋さんで売るパンではなく、家で楽しむパンなのだ。 適当でも全く問題ないと思う。

洒落っ気を出して、クープの中に飾りも入れてみた。

焼き上がりを想像しただけでワクワクしたのに、

想像していたものとはかけ離れた焼き上がりに(苦笑)。

でもまぁ、味は一緒だ。 スライスしてしまえばわからない。

ほら。 何だか大人な雰囲気のカッコいいカンパーニュになった。

大人はワインと一緒に、娘は牛乳をお供に、パンがメインの食事。 ホームベーカリーでは味わえない、手捏ねだからこその愛着あるパンは、より一層美味しく感じられた。

雪が降る前に!

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さて田んぼでは、堆肥の散布が終わり「秋起こし」という作業の真っ最中。

トラクターで土を起こしていく。 毎年、雪が降る前に!を合言葉に、追い立てられるように作業している。 今年は順調に進んでいるので余裕かと思っていたら、12月1日の天気予報に雪マークが!

今年もやっぱり、雪が降る前にと心に唱えながらの作業になってしまった。

それにしてもこの景色! 雪が降る冬に入ると、晴れる日が少なくなる日本海側。 だからこそ今この澄んだ空気が広がる季節に、しっかりと見ておきたい。

娘もこの景色を見ながら毎朝、最寄りの駅まで自転車で出かけていく。 少しずつ寒くなり暗くなり、自転車が辛い季節に入ろうとしている。

駅からは電車に乗って、スクールバス発着駅まで2駅。 バスが出る駅まで親が送迎するのは簡単だけれど、できるだけ自分の足で通ってほしいと思っている。

時間を考えて家を出発したりダイヤを確認する必要がある。 同じ電車に乗り合わせる人との出会いもあるだろう。 帰り道、親の知らない場所でこっそり買い物もしているかもしれない。

そんな余白は、親が送迎していると生まれづらい。 無駄なように思える通学時間も実は、たくさんの学びと出会いに溢れていると思う。

娘よ、雪が降る日は送迎するよ、だからできるだけ頑張って自転車をこいでいってね!

濱田ファームのホームページはこちらから。

濱田律子
濱田律子

愛知県生まれ、千葉(スイカの名産地・富里)育ち。大学卒業後カナダへ。バンクーバー、カムループス、バンフと移り住み、10年間現地の旅行会社で働く。カナダの永住権を取得したにも係わらず、見ず知らずの富山県黒部市で農家に転身。米作りをしながら、旦那とココ(娘)と3人で日々の暮らしを楽しんでいます。黒部の専業米農家『濱田ファーム』はこちら。

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