恒例の「手作り」お誕生日ケーキ
null5月5日こどもの日、娘は14歳の誕生日を迎えた。 育苗とトラクター作業の2大春作業に追われる日々、 加えて田植えも始まり1年で一番忙しいのは、 間違いなくこの日だと思う。
そんな日だけれども、毎年これだけはという思いでケーキを手作りする。
今年は、タルト生地にカスタードをたっぷりのせて苺を飾ったケーキ。大雑把な性格が思いっきり出てしまい、タルト生地はかなり不格好な出来になってしまったのを、苺でしっかりカバーした。
ピスタチオをあしらえば、だいたいどんなケーキもそれなりに見えるマジック万歳!
娘リクエストの巨大なハンバーガーは、ネットで取り寄せたパテとバンズのセットでお手軽に。レタス・オニオン・トマト・アボカド・ベーコンも挟んで、 ちょっとしたパーティ気分のバーガーに娘も大喜び。
私は、何とかお誕生日の食卓を用意できたことに一安心。 これをあと何年続けられるだろうか……と思う事もあるけれど、娘が家にいるのもあと数年だろう。 私自身もイベントとして楽しんでしまおうと気持ちを切り替えたら、 来年のお誕生日が今から(少しだけ)楽しみになる。
娘が今、夢中になっているのは
nullさて14歳になった娘が、今いちばん夢中になっているのは、この、ミジンコだ。
ミジンコという単語を、自分の口から出したのも久しぶりなくらいその存在を忘れていた私。 目をキラキラさせながらミジンコについて語る娘から、ミジンコについてのレクチャーを受けて、そういう生き物だったんだ!と驚きがいっぱい。
いつも娘は私を、思ってもみなかった世界に連れ出してくれる。娘がいなかったら考える事もなかった触れる事もなかった世界へ、サッと案内してくれる。これこそが、子育てがちょっと苦手な私でも、いやいや子育てもなかなか面白い面があるな、 と思わせてくれるポイントだ。
ミジンコの可愛さを熱心に伝えてくれる娘は、今ありとあらゆるものにミジンコのデザインを施している。 例えばこれ、学校で作ったマスクケース。 そこかしこにミジンコがいる。
ココア生地で捏ねたパンの形も、もちろんミジンコ。チョコでデザインした目は、無残にもとけておどろおどろしくなったけれど、マスカルポーネとバナナを挟んで美味しくいただいた。
さらには刺繍まで始めた。汚れてシミが落ちなくなった白いTシャツを、可愛い部屋着にするつもりのようだ。
私は気持ちの余裕が無くて、娘に刺繍を教える事は出来なかった。でも、実家の母がちゃんと教えてくれていたようだ。私も昔はよく刺繍したなぁ。 母が優しく……は全然なくて(笑)、厳しく刺繍を教えてくれた。
なんであんなに厳しかったのだろうか。刺繍はもちろん、編み物もケーキ作りも、実家の母はいつも真剣。娘の私に一生懸命に教えてくれたんだと思う。その教えを私は娘に引き継げなかったけれど、私を通り越して、母から娘へ隔世で引き継がれていたようだ。
自分で図案を書きどう刺繍するかを考えて、完成したミジンコ柄。私の目にも、徐々にミジンコが愛おしく見えるようになってきた。 娘も満足そう。
シミだらけのシャツが、娘にとっては世界で1つだけのとびっきりの部屋着になった。
何かに夢中になれる事は、本当に羨ましいし素晴らしい事だなと思う。この先の興味の対象がミジンコから何へ変わっていくのか、それをまた見守っていくのも楽しみだ。
今年も田植えが始まった!
nullさて、今年もいよいよ田植えが始まった。 これまで育苗とトラクター作業の日々が1ヵ月以上続き、もう心身ともに疲労困憊のところに、さらに追い打ちをかけられている気分。
でも!でも!!この景色!!!!
こんな絶景を見てしまうと、ここで農作業できる事は、幸せ以外の何でもないと思ってしまう。
田植え作業は、田植え機を運転する人以外にも多くの人手が必要だ。お手伝いにきていただく方にお願いする作業は、この、苗を運搬する作業だ。 ビニールハウスで育った苗を、軽トラに積み込んで田んぼに運ぶ。
青々と育った苗の入った箱を、1枚1枚腰をかがめて取る。水をたっぷり吸って、重さは5kg前後になるだろうか。 日が射すビニールハウスの中は、暑い日は30度以上にもなる。 かなりの重労働だ。
娘もこの日はお手伝い。
お洒落に関心が高まってくる14歳の女の子が、長靴を履いてドロドロになりながら肉体労働をする。それを、あまり嫌がらない。 嫌な顔せず黙々と作業する娘、たとえお小遣い目当てだとしても、偉いなと思う。
コンテナに苗を積み込んだら、ハウスから田んぼへ! 娘を含めてお手伝いの方には、ひたすらこの作業を1日お願いする事になる。
田植え機担当の旦那さんは、運ばれてくる苗を田植え機にセットして、あとは涼しい顔をして運転するだけ。
のように見えて実は、植える前の田んぼ・植えた後の田んぼ、それぞれの水位を調整しながら植えたり、肥料をまく量を間違えないように計算したりと、頭はフル回転だ。
このお手伝いをしている当日が、実は娘の誕生日だった。
お誕生日おめでとう! 誕生日当日にまでお手伝いしてくれて、本当にありがとう!
この先の君の人生は、もっともっと驚きと発見に満ちていると思う。広い世界を意識しながら、今この時を、14歳という年齢を、思いっきり楽しんでほしい。 母の願いはそれと、できればもう少し部屋を片付けてほしい。それだけです!
濱田律子
愛知県生まれ、千葉(スイカの名産地・富里)育ち。大学卒業後カナダへ。バンクーバー、カムループス、バンフと移り住み、10年間現地の旅行会社で働く。カナダの永住権を取得したにもかかわらず、見ず知らずの富山県黒部市で農家に転身。米作りをしながら、旦那とココ(娘)と3人で日々の暮らしを楽しんでいます。