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「小1の壁」を3人に1人が実感!入学後に立ちはだかる問題をどう乗り越えた?経験者の声

幼稚園や保育園の保育方針は、特色豊か。遊び中心の園、働く親に寄り添った園、しつけ重視の園など、さまざまです。一方、小学校は“学び”の場。集団生活を送りながら生徒たちは勉強をします。

小学校に進学する際の環境変化により、親と子どもが一時的に悩みを抱えることがあります。それはしばしば“小1の壁”“小1プロブレム”などと呼ばれています。

3人に1人の母親が感じた「小1の壁」とは?

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小1の壁”は2008年ごろから使われ始めた言葉。共働き家庭の子どもが小学校に進学するにあたり、学童の迎え時間が保育園の頃よりも早くなるケースがあり、場合によってはこれまでと同じ就労が一時的に困難になること。

一方“小1プロブレム”は、進学時に子どもを取り巻く急激な環境変化により生じる問題

最近では、小学校1年生になったときに生じる問題を総合的に“小1の壁”と呼ぶ風潮も生まれています。

『kufura』編集部が小学生のいる女性77人に「小1の壁」を感じたことがあるかどうか聞いたところ、以下のような割合となりました。

ある・・・25人(32.5%)

ない・・・43人(55.8%)

わからない・・・9人(11.7%)

3人に1人が、なんらかの“壁”を感じていました。「壁を感じたことがある」と回答した25人が経験した内容は、3つに分類することができました。

(1)放課後の迎え時間や学童への行きしぶり

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共働き家庭の夫婦から多く聞かれたのは、放課後や長期休暇の悩みです。「学童の迎え時間が保育園よりも早い」という声が寄せられています。小学校低学年の頃には定められた時間までに迎えをしなければならず、これまで通りの働き方が難しくなるケースも見受けられました。

「迎えの時間が早くなった。児童館と塾でなんとか乗り切っている」(49歳・総務・人事・事務/子・小3)

「学童保育には通っていなかったので夕方の仕事をしにくくなった」(49歳・主婦/子・小5)

「放課後は学童保育に通っていたが、長期休暇(夏休み・冬休み・春休み)が想像以上に精神的に辛かった」(38歳・主婦/子・小4)

「小学1年生のタイミングで仕事を辞めたらそのあと学童に通うことを極端に嫌がり新たに仕事を見つけるのが難しいと感じたから」(35歳・主婦/子・小1)

「預かりがなく、帰宅時間も早いので自宅にいなければいけない時間が増えた」(42歳・公務員/子・小4・小6)

「夏休みの過ごさせ方に悩んだ」(40歳・その他/子・小1・小4)

不規則なシフトが組まれる職場や日常的に残業が発生する職種の場合、長時間の留守番が難しい小学校低学年の間の働き方が悩ましい問題です。経験者の話を聞くと以下のような方法で、綱渡りのように乗り切っていました。

・一時的に働き方を変える

・自治体の子育て支援サービスを活用する

・送迎つきの習いごとを探す

・祖父母に協力を要請する

・学区内の民間の学童を探す

親がフルタイム勤務の家庭では、いくつかの選択肢を駆使しながら“乗り切った”という家庭もあると思います。

(2)「新環境」への適応

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続いて、子どもが新生活に適応するまでに時間がかかったケースです。

以前から教育現場では、幼児期の教育(幼稚園、保育所、認定こども園における教育)と児童期の教育(小学校における教育)が円滑に接続していないのではないか、という点が問題視されています。この点については現在も議論が続いていますが、具体的には以下のような悩みがあがっています。

「小学校の生活に慣れず、行きたくないということがあった。友達ができたら慣れていった」(44歳・その他/子・小1・小4)

「子どもの連絡や持ち物、宿題の管理が大変だった。慣れるまでに一学期分の時間がかかった」(41歳・その他/子・小2)

「友人と別の学校になり人見知りしていた」(35歳・金融関係/子・小4)

「学校でしっかりものを演じているようで、帰ってくると母にベッタベタとくっつきたがる。本人はとても頑張っているんだろうなと思い、家ではできるだけ甘えさせてあげている」(44歳・公務員/子・小3)

時間はかかっても、多くのケースでは子どもは新しい環境に適応していきます。

しかし、中には親のサポートや家庭と学校のきめ細やかな連帯が必要となるケースもあります。

(3)「学習面」の悩み

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(2)の生活環境と重なる点もありますが、子どもが机に座って腰を据えて勉強をすることに困難を感じているケースもありました。小学校入学の時点で既にある程度、文字や計算の習得を済ませている子とそうでない子の差も生じています。

「机に向かって勉強をしたり授業を聞くという作業が難しいと思いました。そのため、自宅に帰ると机に座るという習慣づけをするように心がけました」(42歳・主婦/子・小4)

「学校の勉強についていけない」(42歳・主婦/子・小1・小3)

「宿題に付きっ切りで慣れるまでとても子どもとともに疲れた。1年経過してそのペースをつかめたからだいぶ楽になった」(49歳・主婦/小4)

1つの例をあげると「幼児期には“あえて”読み書きをしない」という教育メソッドを推奨する園から公立小学校に進んだ際、先生から評価されるものさしの大転換に戸惑ったというケースが筆者の身近にありました。

「子どもの適応は早い」と言っても、適応スピードには個人差がありますし、園から学校にかけてのカルチャーの大転換に面食らう子もいます。

家庭で鉛筆を正しく握り、少しの間でも机にむかう時間を設けるなどして、新しい環境条件に備えておくといいかもしれません。

 

以上、今回は“小1の壁”を実感したことがある女性の声をご紹介しました。

育児期間中、環境変化の機会は何度かありますが、事前に環境変化によって生じる困難の傾向を知っておくことである程度対策を練っておくことができるのではないでしょうか。

【参考】

幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方に関する調査研究協力者会議 第1章 幼小接続の現状と課題 – 文部科学省

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