小1の壁とは?半数の母親が「壁を感じた」と回答
null“小1の壁”は検索エンジンでは2008年ころから出現し始めた言葉。保育園・幼稚園に通っていた頃と比べて仕事との両立が難しくなったり、子どもへのサポートが必要になったりすることを指して使われている言葉です。
それより以前から使われていた、子どもが学級に適応するのに困難が生じる“小1プロブレム”とも密接に関わっている言葉です。
今回は小学校のお子さんがいる100人の女性にアンケートを取り、子どもが小学校1年生にあがったときにどのような困難を感じたのか伺いました。
まず、子どもが小学校にあがったときに“小1の壁”を感じた経験があるのか質問しました。
【小1の壁を感じましたか?(小学生ママ100人に調査)】
「小1の壁」をとても感じた・・・23.0%
「小1の壁」を少し感じた・・・27.0%
「小1の壁」を感じなかった・・・45.0%
わからない・・・5.0%
約半数の女性が小学校入学時に何らかの“壁”に直面しています。その壁の内容や、どのように乗り越えたのかをうかがいました。
開所時間、雰囲気、子どもの意欲…「学童」に関すること
null仕事を持つ女性から特に多く寄せられたのが、放課後児童クラブ(学童、留守宅家庭児童クラブ)に関する内容です。
「学校や学童に慣れるか心配だった。転職して子どもといられる時間を多くした。行きたかった学童が経営破綻したので本人も今後どうしたらよいのか不安だったと思う」(50歳・主婦/子・小学2年生)
「幼稚園は、1日単位で預かり保育をしてくれたが、学校の場合は学童しかないので『この日だけ預かって欲しい』ということができない」(36歳・その他/子・小学2年生・小学4年生)
「学童が厳しい雰囲気で、2番目の子は上の子と一緒でないと不安だったため、上の子だけでその後の習い事に行かせるのが難しくなった。きょうだいでの留守番が慣れた頃に学童を辞めて、上の子の習い事に自分で行くようになった」(38歳・その他/子・小学1年生・小学4年生)
近年では、待機児童が問題となっている小学校の放課後クラブですが、クラブごとに閉所時刻や雰囲気が異なります。中には閉所時刻が保育園よりも早い、担当の先生が厳しく自由がない、子どもが行きたがらない……というケースも。
さらに、社内で時短勤務が認められている子どもの年齢が過ぎ、フルタイム勤務に戻ったものの、残業をするのが難しいという声も聞かれました。
仕事との両立で困ったことは?
null子どもの環境の変化に合わせて、実家・義実家に頼ったり、働き方を変えた女性もいました。
「帰ってくる時間がとにかく早い。仕事の時間、日数を減らして子どもが帰る前にうちにいるようにした」(42歳・主婦/子・未就学児・小学3年生)
「学童は高いし、無料の放課後教室は4時半まででこまった。親に協力してもらった」(43歳・その他/子・小学3年生・中学生)
「近所に親が居たので助けてもらった。いなかったら学童に預けたか、鍵を持たせたと思う」(44歳・研究・開発/子・小学4年生)
「当時、時短勤務で仕事をしていたが、早く帰ってくることが多く、習い事の送迎など間に合わないことが多かった。幼稚園の頃よりも親が対応しなければならないことも多かった」(46歳・主婦/子・小学5年生)
小学校1年生は、連日、長時間留守番させるのは難しい学年です。放課後に安全で有意義な過ごし方を保証するためには、いくつかの条件に恵まれていないと難しく、結果、働き方の変化を迫られる女性もいます。
いったん仕事をセーブしていた女性が「子どもが小学校に入って手が離れたから、思い切り働く」ということが難しい現状は、育児中の女性が長い期間“マミートラック”と呼ばれる母親特有の働き方を選択せざるをえない原因ともなっています。
学校に適応するまでに時間がかかった
null放課後の過ごし方や働き方に関する回答と同等に多かったのが、幼稚園・保育園から小学校の雰囲気の変化になかなかなじめなかったという声です。
“小1プロブレム”という言葉もあるように、子どもたちが保育施設で育まれた“のびのび”“自由”“マイペース”“活発”などの特性を小学校で活かす機会がなく、学校に適応しにくい状況は現在も続いているようです。
「急に小学生になり大人しい息子は学校になじめず、彼の心のうちを毎日聞いて一緒に勉強して遊んで、だいぶ改善できた」(48歳・主婦/子・小学3年生・小学6年生)
「給食が食べられないと泣くので、少しずつでいいんだ残していいんだと言い聞かせて安心させた」(42歳・主婦/子・小学2年生)
「幼稚園の年長ではあまり休まなかったが、小学校に上がったとたん、休むことが多くなった。体と心が疲労しているのだろうと思い『しんどい』という時は、その都度休ませた。熱がなかった時もあるが、適当に学校には連絡をし、自宅でゆっくりしていた」(46歳・主婦/子・小学2年生)
「子どもが不安定になり、1人で寝ていたのが一緒に寝たいなど言い出した。要望に応えるようにはしていた」(40歳・主婦/子・小学1年生・小学6年生)
「コロナのこともあって勉強のスケジュールが詰め込み気味だったのと、楽しい行事が軒並み中止になったことで本人が疲れてしまった様子がある」(35歳・主婦/子・ 未就学児 ・小学1年生)
幼稚園や保育園と比べて、先生と子どもの双方向性コミュニケーションが少ない小学校。たくさんのルールが敷かれた教室に適応するまでに時間を要する子は少なくありませんでした。
そうした場合、先生に相談したり、子どもの話を聞いたりして、不安を和らげるように努めたという声が目立ちました。
勉強・宿題のサポートが必要に
null帰宅後に家庭学習する生活習慣を身に着けるための見守り、学習のサポートを要するケースも見受けられます。
「学校からの宿題をやること、次の日の準備など習慣化させる事が増えた。コツコツと我慢強く付き合い見守りを心がけた。習慣化に半年から1年かかった」(39歳・デザイン関係/子・小学2年生・小学4年生・高校生以上)
「プリントの量が多く、保管が大変。宿題の丸つけが多すぎる」(37歳・主婦/子・小学1年生・小学4年生)
時間割や、宿題、丸つけなど、親のサポートを要する翌日の支度。慣れるまでにある程度の時間を要するケースも見られました。
今回は“小1の壁”にまつわる体験談をご紹介しました。
学校への適応、学力サポート、放課後の過ごし方、仕事面の融通などの回答の割合が多くなっています。
今年は新型コロナウイルスの影響で、保護者の説明会や事前の健康診断などが制限され、小学校生活が以前にも増してイメージしにくくなっているようです。学校からのきめ細やかなサポートの必要性が生じることが予想されます。
また、子育て家庭においても“傾向”と“対策”に関する予備知識を持っておくと、親子で一緒に壁を乗り越えるヒントとなるかもしれません。