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親と子それぞれが直面する「小1の壁」…みんなはどう乗り越えた?

「うちの子は落ち着きがなくて、皆さんにご迷惑をおかけすると思いますが……」。年初のクラス会の自己紹介で、不安な面持ちで深々と頭を下げるお母さんがいます。子どもの小学校入学は、家族にとって嬉しい一大イベントですが、新しい環境に不安を覚えている親子も少なくありません。

“小1の壁”“小1プロブレム”という言葉がありますが、子どもが置かれる環境がガラリと変わることで、家庭に様々な心配ごとが降りかかってくる時期でもあるのです。

“小1の壁”とは、子どもの小学校入学で親子が直面する壁。子どもはもちろんのこと、共働き家庭の親にとっても、生活環境の変化は大きな負担となることがあります。

今回、『kufura』では小学生の子どもを持つ女性にアンケートをとり、“小1の壁”を感じた内容や、乗り越えた経験についてうかがいました。

「親・子それぞれ」に立ちはだかる壁

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まず、7歳〜12歳の子どもがいる女性146人に、 “小1の壁”を実感したことがあるかどうか聞いたところ、以下のような結果になりました。

ある・・・25.3%(37人)

ない・・・47.3%(67人)

わからない・・・27.4%(40人)

今回のアンケートでは、4人に1人の母親が小1の壁に直面した経験を持っていました。その内容は、

・仕事と育児の両立が難しくなったなど“親にとっての壁”

・学校の環境になかなか適応できない“子どもにとっての壁”

の2つがあります。今回、「壁を感じたことがある」とした37名の回答を見ると、2つの壁は全く別々のものではなく、積み重なって1つの壁となっているケースが多くありました。

「子どもが直面する壁」はどうやって乗り越える?

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それでは、皆さんの直面した“小1の壁”と、その壁をどのように乗り越えたかについてご紹介します。まずは、子どもが直面した壁から。

(1)保育園と学校の環境の違い

最も多かった回答が、保育園・幼稚園の家庭的な雰囲気になじんでいた子どもが、規律正しい学校の雰囲気に子どもがなかなか適応できなかったという声。

「保育園の先生に比べて学校の先生が厳しかったため、先生を怖がり学校に行きたがらなくなった。先生と面談したり、子どもを励ますことで少しずつ解決した」(51歳・主婦)

「小学校で45分も椅子に座れない娘でしたが、担任の先生や周りの先生、お友達のおかげで今ではちゃんと授業時間は座れるようになりました」(41歳・主婦)

「先生が幼稚園に比べると優しくないと感じたようです。気軽に話すこともままならず、慣れるまでには半年くらいかかりました。先生に優しくなってもらうのは現実的ではなかったので、子どもを励ましながらなんとか通ううちに、子どもも慣れてくると先生とも話せるようになり、すると先生も褒めてくれたりと段々解決していけました。先生を敵に回さず、親とも良好な関係でいた方がうちの場合はよかったです」(38歳・主婦)

手厚い保育を提供し、先生が子どもと遊んでくれた保育施設と、行儀よく席について先生の話をじっと聞く学校。その環境に適応するのに時間がかかる子どもは少なくありません。子どもの様子を見て先生に相談したり、連絡帳で密に報告し合い、信頼関係を築くことで乗り切ったと言う声が見られました。

(2)学習面

学校に入ると“勉強についていけるか”という心配ごとが増える場合も。子どもの将来を左右するかもしれず、本人のコンプレックスに影響する可能性がある問題だからこそ、親は心を砕きます。

「今まで字を書くこと数を数えることが遊びだったが、小学校に入り、勉強という形になると途端にやる気をなくしてしまった。特に“乗り越えた”ということはないが、だんだんとそれが勉強するということだと受け入れるのを見守っていました。今では面倒くさそうにしながらも、読み書き・計算を楽しんでいるようです」(38歳・主婦)

「保育園と違い、宿題がたくさん出るようになったので、子どもにやらせることに苦労した。なるべく早めにやるように何度も話した」(53歳・主婦)

「国語と算数が皆と同じに出来ず、相談して支援学級に在籍して勉強が少しずつできるようになった」(43歳・主婦)

皆さん、見守ったり、説得したりと様々な策を練って学習習慣をつけるために粉骨砕身されていました。

(3)放課後・長期休暇の過ごし方

共働き家庭にとって、子どもの放課後や休暇中の過ごし方は、悩ましい問題です。

「学童に子どもがなじめなかった。学童はやめて、民間のスポーツクラブにかよわせた」(40歳・総務/人事/事務)

「長期休みが長く、ダラダラ過ごしてしまう。短期講習や帰省でメリハリをつけた」(49歳・主婦)

子どもにとっての第二の生活の場所となる学童保育室。子どもを安全に預かってくれるありがたい存在ですが、子どもが「行きたくない」と言い出したときの対応は難しい問題です。

(4)生活面

小学校1年生になると、生活面にも大きな変化があります。

「時間内に何かをやる(例えば、連絡帳をかく等)ことができない。先生に相談し、見守ってもらうことと時間内にできるように声掛けをしてもらうなど、現在も進行中」(47歳・その他)

「幼稚園の時、お弁当や給食にお時間、周りのお友達よりも食べるのが遅く時間内に食べ終わることがなかなかできなかったが、家でも早く食べれるように練習したり目標を決めて一緒に頑張ろうと励ますことで改善された」(34歳・主婦)

「同じ保育所のお友だちが少なかったため、なかなかクラスに馴染めずに、毎朝学校に行きたがらず泣きながら登校していた。先生と面談もしつつ、子どもも自然に馴染んでいった」(43歳・その他)

「靴を立ったまま履けなかった」(33歳・主婦)

時間管理、給食、友達づきあい、学校によっては和式トイレなど、子どもはいろいろと戸惑うことがあるようです。家庭での声がけや、先生との連携で新しい生活リズムが身についていったという声が見られました。

「働く親」にとっての小1の壁は?

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続いて、働く母親からの声をご紹介します。

「仕事をしていたが、保育園に比べて、終業時間が早くバラバラなので、学童保育を確保するのが大変だった」(46歳・主婦)

「帰りが早すぎる」(40歳・公務員)

保育時間は、自治体や施設によって異なりますが、中には「18時まで。延長はなし」というところも少なくありません。低学年だとお迎えが必要な場合もあります。

筆者の周りには月謝の高い民間の学童保育を利用したり、明るい時間に子どもに1人帰りをさせ、留守番させるなどして乗り切っている人も見受けられますが、やはり「大変だ」という声がよく聞かれます。

 

“小1の壁”のエピソードやその乗り切り方についてお届けしました。

教科書の詰まった重いランドセルを背負って自分で小学校まで歩き、たくさんのルールに適応しなければいけない小学1年生。ワクワクと同じくらいの緊張や不安を抱えている子どももいるでしょう。

親子で抱え込まず、学校の先生や学童、習い事の先生など、周囲と連携することで、時間をかけながら壁を乗り越えていきたいですね。

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