今回は、休校中の小学生の孫を預かった経験のある男女にお話をうかがい、この時期に孫を預かることに対して思うことについて聞いてみました。
休校になってから孫を預かったシニア男女の割合は4割
null学校が休校になり、各家庭における子どもたちの学習や情緒面のケア、家事の負担が増大しています。自分や自分の周りの人たち、どこかの空間でつながっている見知らぬ人の健康を守るための措置とはいえ、子どもたちが抱えている不安やストレスに寄り添い続けるのは、大変なことです。
また、共働き家庭においては、1日中留守番をさせるにしても友達同士で屋外で遊ぶことが難しかったり、習い事が休みになってしまったりして、子どもが日中にできることのオプションは限りなく少なくなっています。
そんなとき、おじいちゃん・おばあちゃんが強いサポーターになっている家庭もあるようです。『kufura』編集部が小学校の孫がいる115人の男女に「臨時休校になってから、お孫さんを預かった経験があるか」を質問したところ、結果は以下のようになりました。
臨時休校になってから「預かったことがある」・・・41.7%
臨時休校になってから「預かったことはない」・・・58.3%
孫が遠距離に住んでいるケースもありましたが、115人中48人が「休校になってから孫を預かった」と回答しています。
預かる頻度も預かる時間も家庭ごとに異なりましたが、頻度のみで分類すると、以下のような回答が多く寄せられていました(小学生の孫を預かっている48人対象)。
平日(親が仕事の日)は毎日・・・15人
週に2~3回・・・8人
週に1回程度・・・4人
泊りがけで来た・・・4人
1カ月の間に1~2度・・・4人
共働き家庭をサポ―トするために頻繁に預かっているケースがあれば、退屈した孫のために週に何度か短時間預かるケース、親の用事のときだけ1カ月に1度だけ預かったケース、さらにはある程度離れた場所に住む孫が泊まりがけで遊びにくるケースもありました。
続いて、小学生に限らず孫がいる230人に「臨時休校になってから、孫を預かることに対して感じていること」について聞いてみました。
預かっているけど、正直、不安も…
null孫を預かることは、平常時の放課後や普通の夏休みであれば、問題がないのでしょうが、現在“平常”とは言えない深刻な状況です。そのため、おじいちゃん・おばあちゃんが孫を預かるにあたり、一つ大きな心配事がありました。それは、新型コロナウイルスでより大きなリスクにさらされるのが高齢者である、ということです。
「協力できるところは喜んでやりたい。でも、孫が感染してしまい、それに気づかず預かった場合、我が家に80代の持病を持った高齢者もいるため、非常に不安(預かり頻度:休校になってから1回だけ)」(57歳・女性・その他)
「こちら側で感染することを心配している(預かり頻度:1日おきで相手の実家と交代で預かる)」(77歳・男性・その他)
「預かったことがない」と回答した男女も、感染を心配して断っているケースがありました。
「もしもこちらで感染でもさせたら困るので、面倒をみる勇気がない」(65歳・男性・技術職)
「できるだけ協力はしたいが、預かる子どもが東京に住んでいるので、こちらの家族が嫌がる」(71歳・女性・主婦)
「両親は共働きで簡単に仕事を休めないので、できるだけ協力してやりたい。しかし孫が感染していたら、子どもは軽症で済むかもしれないが、自分たちはそうもいかないので不安に感じているため、子守を頼まれないことを祈っている」(71歳・男性・その他)
高齢者で、なおかつ基礎疾患のある場合、コロナウイルスに対して大きな不安を抱えているはずです。最新のニュースを見ながら、”預ける側”は”預けられる側”への何らかの配慮をする必要があるかもしれません。
子・孫のためにできる限り協力してあげたい
null一方で休校になって困っている子ども夫婦と孫への協力を惜しまないケースも。
「私たち老夫婦が預からないと娘夫婦はどうしようもないので仕方ありません(預かり頻度:仕事の日に1日8時間ほど)」(69歳・女性・主婦)
「両親は仕事に行き、学童も混んでいるから、感染を避けるために預かっている(預かり頻度:週に3日1日8時間ほど)」(71歳・男性・その他)
「両親は仕事。家族で助け合うのはかまわないので全然良い。おとなしい子なので手もかからない(預かり頻度:週に5回くらい1日中)」(51歳・女性・主婦)
「頻繁に孫に会えてうれしい(預かり頻度:週に2~3日、1日7~9時間)」(62歳・男性・会社経営・役員)
「子ども夫婦が働き続けるため」「孫のため」と、子どもや孫のことを思ってサポートをしているケースも多く見受けられました。
正直、預かり頻度が高すぎて体力的にしんどいです…
null頻繁に孫を預かっている祖父母からは、孫のケアによる疲れを訴える声もありました。
「長期間は食事の世話から孫の相手をするのも大変です(頻度:学童で預かってもらえないときは毎日)」(67歳・男性・公務員)
「孫は可愛いので、出来るだけ面倒を見たいのですが、長期になると疲れてきます。友達がいないので持て余していました(預かり頻度:休校になってからすぐに2週間泊まり込みで預かる)」(73歳・女性・主婦)
「保育園のおかげで休園は無いが、風邪をうつされて参っている。休めずにいる娘のことを考えるとかわいそうだが、こちらもきつい」(66歳・男性・その他)
今後やってくるであろう景気の落ち込みを踏まえると、生活の基盤を支える仕事をないがしろにはできません。子育てにはお金がかかりますし、そのお金を稼ぐためには働かなければなりません。
休校中に子どもの生活の質が落ちることを避けるためには、協力的な祖父母は“渡りに船”のような存在。そうはいっても、祖父母世代にとって、長時間、もしくは長い期間、孫と向き合い続けることは、普段過ごしている親以上に体力を要するケースもあるようです。
アンケートを振り返って
null今回のアンケートでは、実際に小学校の孫を預かっている方から様々な声が聞かれました。もちろん、孫と一緒に過ごせることへの喜びの声もありましたが、それは、少数派でした。預かり頻度が高い方からは、感染症への不安、預かり時間が長いことへの負担感のほうが多く聞かれました。
人と人とのつながりが断たれがちな閉鎖的な家庭の中において、親も子も息苦しさを感じることがあるかもしれません。そんなとき、協力的なおじいちゃん・おばあちゃんは、小学生の食事の用意と情緒のケア、学習のサポートの側面から、大きな期待を寄せられることもあるでしょう。
その期待に応えるべく、過去に子育てに膨大なエネルギーを注いだ経験をすませているシニア世代の女性は、“子どものため”“孫のため”という名目でがんばりすぎてしまう傾向も見られます。
子育て世代は、不安もストレスも増大していると思いますが、祖父母世代の男女の中には身近に迫る感染症に大きな不安を抱えている人が少なくありませんでした。
重要な局面におかれているからこそ、家族の健康管理をしながら、常に“もしも”のケースを想定して行動したいものです。