学校が休校で共働き家庭は…
null『kufura』が先日お届けした記事「学校が休校に…小中学生は日中何して過ごしてる?ママ265人に調査」では、小中学生の子どもがいる家庭から、日中の過ごし方に対して多くの悩みが寄せられていました。
中でも共働き家庭の回答からは、子どもたちに長時間留守番をさせることに不安を感じたり、居場所の確保に奔走している様子が伝わってきました。
学校が休校になってもほとんどの企業活動は継続しているため、“仕事と子どものケアのバランスのとり方“は大きな悩みとなっているようです。
そこで今回は、小学生や中学生の子どもを育てている4つの共働き家庭の現状をご紹介します。
日中の子どもたちはどのように過ごしていて、今どんな悩みを抱えているのか聞いたところ、いろいろな声が聞こえてきました。
ケース1:夫は自営・妻は公務員/子どもは小2・小5・中1
null自営業の夫を持つAさん(40代)。元気な3人の男の子を育てています。
Aさんは関東圏の公務員で、教育に関わる仕事をしています。時差出勤が許可されましたが、まだ活用していません。自営業であるAさんの夫も普段通りに仕事をしています。
「3兄弟は、毎日自宅で留守番です。それぞれに勉強のノルマと、家事のノルマを決めましたが、多分3人とも遊びほうけているでしょうね……。調理済の昼食はあえて用意していません。その代わりに冷凍食品や半調理品のおかずを用意しておき、自分で工夫して食べるように伝えています。
こんな毎日なので、大人の目がゆき届かないのは不安ですし、学習面の遅れも心配です」
Aさんは教育に関わる仕事に就きながらも、自分の子どもの教育がおろそかになってしまう……というジレンマを抱えていました。
ちなみにAさんの実家は遠方で祖父母のサポートは得られません。3番目の子は低学年向けに開放されている学校で過ごすこともできますが、まだ行ったことはないそうです。
ケース2:夫(時差通勤)も妻(週2〜3在宅勤務)も会社員/子どもは保育園児・小1
null夫婦ともにフルタイム勤務の神奈川県在住のBさん(30代)。小1の子どもが通う公立小学校は他の自治体より数日間遅れて休校期間に入りました。
Bさんの夫は電車混雑のピーク時を避けて通勤する制度を活用、Bさん自身はクライアントとの打ち合わせや定例会議の日を除き、週に2〜3回は在宅勤務に切り替えています。下の子の保育園は通常通り開園しているので、目下の悩みは小学生の子どもの過ごし方です。
「子どもは小学1年生で留守番をすることができないため、休校と聞いたときには困惑しましたが、事前申し込みをした家庭は14時半まで学校で過ごせることになりました。14時半になったら、学童に移動しています。
今のところは子どもは友達と会えることを喜んでいます。でも、きっといつものように外遊びが満足にできないだろうし、いずれ飽きてしまわないか心配です。
学校では、空き教室を活用して児童が密集しないように配慮をしてくれているようですが、学童の現場は1、2年生の子どもたちでひしめき合っています。夫婦ともに実家は遠方で、祖父母のサポートは望めないので、しばらくは、学校と学童で過ごしてもらいますが、もし何かあったら私が在宅作業の日には子どもは自宅で過ごすという選択肢も検討しています」
管理職に就き、在宅勤務については「静かな環境でむしろ集中できる」と話すBさんですが、この状況が長期化することで子どもがストレスを募らせることに不安を感じているようです。
ケース3:夫婦ともに会社員(夫のみ時差通勤)/子どもは小1・小5
null続いて、夫婦ともに会社員の埼玉県在住のCさん(40代)。
在宅勤務や時差出勤はまだ許可されておらず、電車で通勤し、フルタイムで働いていますが、Cさんの夫は1時間遅く通勤できるようになりました。
そんなCさんの強力なサポーターは義理のお母さんです。
「小学校1年生と5年生の子どもがいて、小1の子どもだけ14時半まで学校の教室で預かってもらっています。保護者の送迎が条件なので、夫が時差出勤を活用して毎日学校まで送り届けています。
お迎えは週4回は近居の義理の母にお願いして、週1回は夫か私が午後半休を取って迎えに行きます。今のところは『毎日でも大丈夫よ』と言ってくれて、本当に感謝していますが、無理させていないか心配です。
学校にいるのはほとんど低学年の子ばかりなので、小5の子は基本的に留守番。お弁当は下の子の分だけ用意して、上の子の昼ごはんは義理の母が用意してくれています。
スポーツ少年団の活動は4月初旬まで中止になり、子どもたちの運動不足は深刻。週末はすいている公園で体を動かすようにさせています。この状態が4月まで続いたらどうしよう……と不安です」
“同じ駅を使っていた会社員”、“知り合いの知り合い”など、少しずつ自分の生活圏に近づいているコロナウイルス。いつどこで感染するのかわからないので、毎日、不安な気持ちで通勤を続けているそうです。
ケース4: 夫は会社員・妻はフリーランス/子どもは保育園児・小3・小5
null最後はフリーランスでPRの仕事に関わるDさん。企業との打ち合わせを除き、仕事場はほとんど自宅です。
一番の心配は、収入の減少。新商品発表会や企業発表会に関連した仕事はほぼ中止になってしまい、頭を抱えています。収入は見込みより大幅に減っていますが、幸い、インターネット広告の仕事は堅調だそう。
一方で、Dさんの会社員の夫は、基本的に激務。3月の中旬から限定的に時差出勤やリモートワークが始まりましたが、職務や業務量を鑑みて、まだ1度しか活用できていません。そのため、日中の子どもたちのケアや保育園児の送り迎えはすべてDさんが担当しています。
「日中は小学生の子どもたちをほったらかしにして、自宅でパソコンに向かっています。でも、きょうだいげんかが絶えず、昼ご飯を作らせて台所がグチャグチャなったりして家事量が増え、作業スピードは著しく落ちています。
子どもたちはスポーツの習い事をしていますが、3月末まで休みになってしまい、体力を持て余しています。先日は家の中でドッタンバッタンとボール遊びをし始めて。『静かにしなさーい!』とうるさい声で怒鳴りました。
最初の1週間は勉強のために机に向かっていましたが、今は公園で友達と遊び、マンガを読みふけり、近所の友達とパソコン版のマインクラフトに没頭しています。完全に春休みですね……。
収入の減少や今後の仕事の不安は絶えませんが、ひとまず子どもに“何か”あったらすぐに対応できる点だけは、安心です」
先日、Dさんの夫が「自宅だと子どもがいて仕事がはかどらない」と言ったことがきっかけで、「ええ、確かにはかどりませんよ!」と、一触即発のムードになったそう。
運動不足、学習機会不足、ストレスケアに悩む子育て家庭
null皆さんから聞かれたのは、子どもたちの“運動不足”“学習不足”“ストレス対応”への強い不安感です。
加えて、子どものケアがおろそかになることに対する罪悪感の気持ちも垣間見られました。
また、時差出勤や在宅勤務を活用して働き方を変えたり、日中の子どもたちの生活を維持するための“段取り”を担当するのは、普段からより育児を多く担っている保護者。
祖母や父親が日中の子どものケアを担当しているケースもあるのでしょうが、実際には、ほとんどの家庭では母親側にその負担が集中していると推測できます。
新型コロナウイルスの感染が世界中で拡大し、日常の生活や、これまで“あって当たり前”だったあらゆることが急速に脅かされています。このような状況において、多くの親子は“自分と周りの人の安全を守ること”“働くこと”“学ぶこと”の意義を突き付けられているようです。