「お正月ってなあに?」に答える絵本
今どきはお正月と言っても大人数が揃う事が少ないし、どこの家も全部実行するとは限らないでしょう。でも、子どもたちにも「いつもと違う特別な日」という雰囲気は伝わります。
例えば床の間、あるいは居間の一番いい場所にドーンと飾られて不思議な形のもの。普段はなかったはずです。
「これはなあに?」
そう思いますよね。真っ白で平べったいおもちが2つ重なって、一番上にはみかんがちょこんと乗っていて。おめでたい雰囲気を醸し出している「かがみもち」。インパクト抜群です。子どもたちが興味を持った時、その由来を丁寧に説明してあげるのも必要ですが、まずはこんな愉快なお話をしてあげるのはどうでしょう?
子どもたち大爆笑!『おもちのきもち』
『おもちのきもち』(講談社)作/かがくい ひろし
お正月になれば、床の間に鎮座まします「かがみもち」。
二段になった、真っ白で大きなおもち。頭にはみかんとおめでたい扇子。
堂々として立派なものです。
でも、なんだか浮かない顔をしているみたい。
「かがみもち」にも悩みがあるのでしょうか。
いや、そもそもおもちに「きもち」なんてあるの?
…それが、あるみたいですよ!?
興味深いですよね。聞いてみることにしましょうか。
「もう たいへんなんです。」
何かといえば。
おもちつきでは頭をペッタンペッタンたたかれ、のしぼうでのばされ、プッチンとちぎられ。あんこやきなこや挙句にねばねば納豆に混ざられて。確かに散々です。「かがみもち」と呼ばれるようになった私は、今のところ大事にされておるようです。でも…
「いつ なんどき たべられる ことやら。ああ おそろしや。」
なるほど、ちょうどそんな気持ちが表情に表れていた訳ですね、納得です。
でも、ここで話は終わりませんよ。なんと「かがみもち」、床の間から逃げ出すことにするのです! 一体どこに? どうやって? なんのために…? もうここからは、想像の範囲を超えていく話です。驚きの展開が待っていますよ、お楽しみに。
年末年始の時期になると、おはなし会でも引っ張りだこになるこの絵本。子どもたちは大爆笑、スカッとした気持ちで新年を迎えられそうです。でも、食卓に出てくるおもちや飾られている「かがみもち」を見る目はガラっと変わってしまうかもしれませんね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
※『絵本ナビ』より引用
【読者の声(『絵本ナビ』より)】
おもちは知らなかった。
タイトル通り、おもち(鏡餅)が、おもちのきもちを話すストーリーです。他のおもちたちが食べられていく姿をみて、鏡餅は家から飛び出してしまいます。 おもちの脱走シーンはおもしろかったです。子ども達も大うけでした。おもちだったらこんな動きするのだろうという動きの絵です。 疲れたおもちは、人間達が自分達をおいしそうに食べるので、食べてみることにします。おもちは知らなかったのですよね。自分がとても美味しいということを。 自分を食べちゃうなんて奇想天外なストーリーですが、その奇想天外なお話もとても美味しそうな絵で納得してしまうのが不思議です。最後もおもちらしい!?おちが待っています。 お正月時期でなくても楽しく読める絵本です。 (そよかぜはなさん 30代・ママ 男の子4歳、男の子2歳)
【こちらも合わせておすすめ!】
「かがみもち」の謎が解けたら(!?)、もっと詳しくお正月について知りたくなるはず! 続けてこんな絵本もおすすめです。
懐かしいお正月がいっぱい…『もうすぐおしょうがつ』
『もうすぐおしょうがつ』(福音館書店) 作・絵/ 西村 繁男
冬休みにおじいさん、おばあさんの家でお正月を迎えるひろくんとゆうちゃんと家族。みんなで新年を迎えるための準備を手伝います。大掃除をしたり、お餅つきをしたり。大晦日は朝から市場へ買い出しに行きます。おせちを作ったり、お供えをしたり。おじさん、おばさん、いとこもやってきて、にぎやかなお正月の様子を画面いっぱい、事細かに描き出します。
例え経験したことがなくても、どこか懐かしく、日本ならではの風習が存分に味わえる一冊です。絵本を読んだ後、ちょっとずつ真似してみるのもいいですね。
今回おすすめしたこの2冊。気になった本がありましたら、ぜひ読んでみてくださいね。
【参考】