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娘の生理痛。「鎮痛剤」の飲み方の正解は?【産婦人科医・高尾美穂が教える、今どき生理の基本#11】

私たちが、自分の知識で大丈夫?と不安に思っている「生理の基本」や、医学的に正しい、新しい情報を身につけよう!というこの連載。第11回目は子どもの生理痛とその対処法について。

今回も、産婦人科医で『あさイチ』などメディアでもおなじみの高尾美穂先生に教えていただきました。

子どものほうが「生理痛」は重い?

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私たちが“生理痛”を認識したのは、いつの頃からでしょう? 遠い昔の記憶すぎて、いつからあったのか、それともなかったのか、思い出せない人もいるのではないでしょうか(私がまさにそう!)。

そこで高尾先生に、子どもの生理痛についてお聞きしてみると……。

「生理が起こるメカニズムは、連載第5回『 私の「生理痛」大丈夫?鎮痛剤が効く仕組みと、正しい付き合い方って?』でもお話した通り、大人も子どもも同じです。

子宮内膜がはがれ落ちるときに、子宮からギューギューと押し出す働きをしているのが“プロスタグランジン”という物質。この物質が筋肉(平滑筋)でできている子宮に作用し、子宮を収縮させることで、内膜を押し出す=生理が起こるわけです」(高尾先生。以下同)

ということは、もちろん子どもにも同じように生理痛が起こっているのですね。

「その通りです。もちろん痛みを感じるのには個人差がありますから、全員が全員、同じように痛みを感じるわけではありません。

ですが、子どもの場合は子宮がまだ未熟で子宮の出口も狭いため、経血が外に出ていきにくい、ということが起こり得ます。

外に出ていかないということは、内膜が子宮内に残る。すると“これを外に出さなくては!”とプロスタグランジンがさらに分泌され、過剰に収縮を生むというサイクルになるわけです。

こう考えると、子どもは余計に痛みを感じやすいともいえるのです」

子どもの生理痛を放っておくリスク

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私たちが子どもの頃は、親から鎮痛剤を飲まないほうがいい、我慢しなさい……などと言われた人も多かったのではないでしょうか。

けれど、痛みを我慢させて放っておくと、ある病気のリスクが上がると高尾先生。

生理痛がある場合、機能性月経困難症という診断名がつきます。これは本人が日常生活に支障をきたしていると感じていたら、婦人科で診断がつくものです。

本人の我慢が足りないということではなくて、生理痛が重い女性は、子宮内膜症のハイリスクグループである、ということもわかっています。ですから、将来の病気の予備軍になっているという見方をするんですね」

なるほど! 将来の病気のリスクを減らすという意味でも、早めに生理痛をケアしておいたほうが賢明なんですね。

子どもの生理痛、その対処法は?

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では、生理痛の対処法も大人と同じと考えていいのでしょうか?

今できる選択肢は、鎮痛剤を服用すること、そして低用量ピルを服用することの2つになります。これは大人と同じです。

まず鎮痛剤で気をつけたいことは、お子さんの場合、15歳を境に婦人科で処方できる鎮痛剤の種類が変わってきます。15歳以上はロキソプロフェンなど、大人と同じ処方となりますが、15歳未満はアセトアミノフェン系(代表的なものはカロナール)となります。

ただ、たとえば14歳10か月で、大人に近い体型、たとえば身長が150cmを超えていて、体重も40kgを超えていれば、大人と同じ処方薬もありかなと思います。そのあたりは、ご自身での判断が難しければ、婦人科医と相談してもよいでしょう」

鎮痛剤は、子どもの年齢によって処方が変わるんですね。それも知っておきたい知識です!

痛み止めを飲むタイミングを間違えないで

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鎮痛剤は“飲むタイミング”を間違えると効きにくくなるので注意が必要、と高尾先生。

鎮痛剤というのは、生理痛が起こってから飲むのでは遅いんですね。遅いと、結果的に痛みはなくならず、“服用しても効かないじゃないか”という感覚だけが本人に残ってしまいます。

では、どのタイミングがベストかというと、プロスタグランジンが作られ始める前に飲むのがベスト。 でも、プロスタグランジンっていつ作られ始めるの? と思いますよね。目安としては、まだ生理の出血が始まっていないけれど、なんとなくお腹が痛いとか、出血がチラッとでも始まったら、そこが服用するタイミングです。 ぜひ覚えておいてくださいね」

鎮痛剤は、痛くなってから、我慢するのが辛くなってから飲むという人が多い中、この効かせるタイミングは知りませんでした。私たちは経験的に“もうすぐ生理が始まりそう……”という気配を、お腹の内側で感じますよね。それを逃さないのが大切です。

鎮痛剤は、飲んでもクセにならないの?

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昔から一部で言われている“鎮痛剤はクセになるからよくないのでは?”という考え方。前述の連載第5回でも、お話ししてくださっていますが、改めてその安全性を教えてくださいました。

鎮痛剤がクセになったり、成長期のからだに何らかの影響が出たりということはありません。 鎮痛剤は用法用量を守れば、十分に安全性が確立されていると言える薬剤です。生理のときだけに飲む、くらいであれば副作用が出ることもまずありません。ですから、生理痛があるときは、迷わず服用を勧めてあげてくださいね

お子さんが初潮を迎えていたら、生理痛があったときの対処法もきちんと伝えて、親子で一緒に考えていきたいですね。

次回は、「子どもの生理痛と低用量ピル」についてお届けします。

 

イラスト/ Naho Ogawa


 

産婦人科医 高尾美穂

産婦人科専門医であり、婦人科スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック『イーク表参道』副院長。Gyne Yoga主宰。
「すべての女性によりよい未来を」と、TVや雑誌をはじめ、ツイッター(@mippolin78)やstand.fmなどのご自身のメディアにて、正しい知識や知っておくといいことなど、精力的に発信されている。

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