「検診」と「健診」の大きな違い
nullkufura世代だと、住んでいる自治体から検診のお知らせが来ることもありますよね? 女性特有の検診だと、乳がんや子宮頸がんなどがあります。
もうお気づきでしょうか? これらの“ケンシン”は「検診」なのです。その内容を先生にお聞きすると……。
「検診というのは、特定の病気を早期に発見するための検査です。そのため、乳がん検診だと乳房しかチェックしませんよね? このように、1つの部分を検査するのが検診になります。 でも、kufura世代の女性の皆さんには、特定の病気を調べる“検診”だけで安心するのではなく、“健診”も受けておいてほしいのです」(高尾先生。以下同)
「健診」のほうが、実は重要!?
null漢字で書くとこちらの “健診” も、1年に1回は受けておいてほしいと高尾先生。では、この“健診”とは、どういうものかをお聞きすると……。
「健診というのは、健康診断の略称です。自身の健康状態を確認し、病気を予防することを意図して行うものです。
婦人科健診なら、子宮や卵巣などを総合的に検査して、確認しておくことになります。一方で皆さんが子宮頸がんの“検診”を受けているとしますよね。この頸がんの“検診”では、頸がん以外の子宮や卵巣の状態は、ざっくりとしか把握できていないのです。
なので、1年に1回は“婦人科健診”を受けて、子宮や卵巣などの状態が、全体的にどうなのかという現在地を知っておいてほしいのです。
“婦人科健診”で、ぜひ受けていただきたいのは、子宮頸がんの検査とエコーです。エコーを使うと、子宮や卵巣の大きさや形を見ることができて、子宮や卵巣、卵管などの異常を指摘できます」
こんな違いがあるとは! これまで、“検診”と“健診”の意味や違いなんて、考えたことがなかったのが正直なところでした……。
健診を受けてこそ、自己判断が可能に
nullこの“健診”ですが、自分の現在地を知ることができるだけでなく、安心材料の1つにもなります。
「この連載の中でもそうですが、“こうなったときは、こう考えられます”といったような目安をお伝えすることがよくあります。たとえば“この症状は、これくらいであれば問題ないでしょう”のような場合ですね。でも、それはあくまで、自分の子宮や卵巣の状態がおおざっぱでも、把握できている、というのが大前提にあるんです。
だから、健診をまったく受けていない状態(=自分の現状を把握できていない状態)で、それを当てはめてしまうと、自己判断を誤ってしまいかねないのです。それはとても怖いこと」
私たちは、自覚症状がないと“健康だ”と思いがちです。けれど、きちんと健診を受けていないと、健康だとは言い切れないこともある、ということを知っておきたいところ。 kufura世代の女性たちは、子どもや家族がいる人も多いからこそ、定期的に自分の状態をしっかり把握しておきたいですね。
「健診」を受けた後にしておきたいこと
nullそして、“健診”は、受けただけで安心しないで、と高尾先生。
「せっかく健診を受けたら、結果を毎年きちんと保管しておいてください。ちょっとした異変や不調を感じて受診する際、その結果の積み重ねを持参できると、私たち医師にとっては判断材料がたくさんあることになり、診断により正確性が加わります。
20代では子宮頸がんが、30代では乳がん、子宮内膜症、子宮筋腫を指摘される人が増えています。生理痛が重い方は、将来的に子宮内膜症発症のリスクが高いことも指摘されており、“生理痛くらい”とガマンしてしまわず、健診の際に医師に相談してみるなど、自分の健康は自分で守る、という意識をもっていてほしいなと、切に願っています」
子育てに忙しいkufura世代は、「検診」も「健診」も、何かと理由をつけて、後回しにしがちですよね。 確かに、切実な痛みや困りごとがないのに、病院に行く時間を捻出するのは大変です。でも、たとえば「自分の誕生月には健診に行く」というような約束事を自分で決めるなどして、ぜひ、将来の自分や家族のためにも、“検診”・“健診”ともに、習慣にしてください。
kufura世代の女性向けの“生理のお話”は今回まで。次回からは、現代の子どもたちの「生理」のお話をお届けしていきます。
イラスト/ Naho Ogawa
産婦人科医 高尾美穂
産婦人科専門医であり、婦人科スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック『イーク表参道』副院長。Gyne Yoga主宰。
「すべての女性によりよい未来を」と、TVや雑誌をはじめ、ツイッター(@mippolin78)やstand.fmなどのご自身のメディアにて、正しい知識や知っておくといいことなど、精力的に発信されている。