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私の生理周期の乱れ、コレって大丈夫?原因は?【産婦人科医・高尾美穂が教える、今どき生理の基本#6】

私たちが、自分の知識で大丈夫?と不安に思っている「生理の基本」や、医学的に正しい、新しい情報を身につけよう!というこの連載。第6回目は「生理周期の乱れ」のおはなし。

生理周期が乱れるのは、女性ホルモンに異常があるとき。女性特有の病気を見つけるサインについて、「あさイチ」などのメディアでもおなじみ、産婦人科医である高尾美穂先生に教えていただきました。

ホルモンの働きを認識できるのは生理だけ

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私たちのからだには50数種類ともいわれる、たくさんのホルモンが存在しています。けれど、私たちは、ホルモンの状態がよくない、バランスが崩れているなど、体感することはほぼありませんよね。

その中で、唯一、自分で体感できるのが生理に大きく関係している“女性ホルモン”だと、高尾先生。

「たとえば、生理の周期が安定しているということは、女性ホルモンの1つであるエストロゲンがきちんと分泌されている、いい状態だといえます。 でも、このサイクルが乱れたら、エストロゲンの分泌に何らかの影響が出ているということ。その原因を把握しておく必要があります」(高尾先生。以下同)

エストロゲンはとても繊細…

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生理周期の乱れは、エストロゲンの分泌が乱れていることのあらわれ……ということでしょうか。

「そうですね。女性ホルモンの分泌が乱れる原因として考えられるのは、ストレスや寝不足、食生活の乱れ、過度なダイエットなど、身近な生活習慣に基づくもの、および加齢が多いんです。思い当たる原因がある場合は、その原因を改善していきます。

でも、思い当たる原因がなく、生理の不調、ペースの乱れが続くようであれば、何らかの病気があることも。早めに婦人科を受診しましょう」

生活環境や暮らし方の変化に、意外なほど簡単に左右されてしまうのがエストロゲン……。私たち女性のからだの大切なバロメーターの1つなので、意識しておきたいですね。

前回、産婦人科を受診したのはいつ?

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まだ子どもも小さく、子育てに忙しいというkufura世代の方だと、産後の1か月検診以来、産婦人科とは疎遠という人も多いのではないでしょうか。

「今の時代、よりよい医療を求めていろいろな医療機関を渡り歩く“ドクターショッピング”をされている方がおられます。その一方で、出産からしばらく受診されていないという方もいて。病院との関係のあり方が、両極端になっているのが現状です」

不調が“期間限定”だから、やり過ごしがち

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いずれのタイプにせよ、女性特有の不調は軽視されがちな理由があるのだと、高尾先生は言います。

「PMS(月経前症候群)と呼ばれる、月経前3〜10日のからだや精神的な不調をはじめ、月経や生理痛、更年期障害など、女性の不調には“期限つき”のものが多いんですよね。

そのため、いずれは症状がなくなるときが来ると思えるので“どうにかその時期を乗り切る”人が多いのです。 なかなか正面から向き合おうという方が多くはないことを、とても残念に思います。

その不調をきちんとケアしたら、痛みや不調を我慢している時間を有効な時間に変えられるのに……と思うと、もったいないと、感じてしまうのです」

確かに、喉元過ぎれば熱さを忘れる……ということわざのように、“今だけだから”と我慢してやり過ごしてしまっていることも多いですよね。でも、もっと自分のからだを知り、快適に過ごす術を身につけてもいいのかもしれない、と思えてきませんか?

次回は、連載1回目(あなたの『生理の知識』、古くなっていませんか?)でも少し触れた、「“検診”と“健診”の大きな違い」についてお届けします。

 

イラスト/ Naho Ogawa


 

産婦人科医 高尾美穂

産婦人科専門医であり、婦人科スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック『イーク表参道』副院長。Gyne Yoga主宰。
「すべての女性によりよい未来を」と、TVや雑誌をはじめ、ツイッター(@mippolin78)やstand.fmなどのご自身のメディアにて、正しい知識や知っておくといいことなど、精力的に発信されている。

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