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ダイエット中のおやつは「悪」ですか?「間食」との上手な付き合い方を管理栄養士が解説します

ダイエットをしたり、健康的な食生活を意識しているのでおやつは我慢しています、という人も多いかと思います。でも、我慢ばかりでもストレスが溜まってしまいますよね。また、上手に取り入れれば栄養補給や食事間隔の調整に役立つ場合も。
ダイエット中でも間食を上手に活用する考え方や食べ方について、管理栄養士の宮﨑奈津季さんに教えてもらいました!

「間食」とは何を指す?

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こんにちは、管理栄養士の宮﨑奈津季です。

今回は間食について考えます。特にダイエットをしていると「間食は悪」と考えがちですが、タイミングや食べるものを工夫することも大切! 上手な間食の取り入れ方について解説します。

「間食」とは「3食以外に食べるもの」

間食とは、朝食・昼食・夕食の食事以外で摂取する食べ物や飲み物のことです。おやつの時間にジュースやお菓子をとることは「間食」になります。

間食には、仕事や家事の合間の気分転換や喜びや楽しみを与えてくれる心理的な役割があります。誰かと一緒に間食を食べることが、コミュニケーションのひとつとなることもあるでしょう。

一方、食べる種類や量によっては、過度な体重増加など健康面に影響を及ぼすこともあります。間食について知識を身につけ、間食を楽しめるようになるのが理想的ですね。

間食は食べない方がいい?「分食」のススメ

必ずしも間食は食べない方がいい、というわけではありません。むしろ間食を上手に活用することで、プラスに働く側面もあります。

理想的な食事の間隔は4〜5時間ほどといわれています。しかし、現代の生活リズムではなかなか難しく、昼食と夕食の間が6〜7時間あいてしまうことも多いのではないでしょうか。夜遅くまで仕事をしていたり、お子さんの部活や塾の帰りを待っていたりすれば、もっと間が開いてしまうこともあるでしょう。

長時間の空腹は、次の食事でたくさん食べてしまったり、早食いをしたりなどの要因となり、血糖値も急上昇しやすくなります。これを抑えるために膵臓からインスリンが大量に分泌されると余分な糖が脂肪として体に蓄積されやすくなるので、できれば避けたいですね。

夕食が遅くなりそうなときは、夕方に間食を取り入れる方が体の負担が少なくなります。

そんな時、昼と夜の間に軽めの間食を取り入れることで、極端な空腹を防ぎ、血糖値の急上昇を抑えられます。私たちはこれを「分食」と呼んでおり、夜遅くに夕食をとらなければならない方におすすめの食事法です。

カロリーの摂りすぎに注意!

例えば、身体活動レベルが「ふつう」の30〜40代の女性の場合、1日の推定エネルギー必要量は約2,050kcalです。その人がお菓子で700kcal摂取したとすると、約1/3のエネルギーをお菓子からとったことになります。

お菓子は一般的に脂質や炭水化物が多く含まれているため、お菓子からエネルギーをとると、脂質と炭水化物に偏ってしまい、それ以外の栄養素が不足してしまいます。

厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「お菓子や間食の取り入れ方」より

食事バランスガイドでは、菓子や嗜好品は1日200kcalを目安にすることを示しています。これには飲み物も含まれます。とりすぎないように注意しましょう。

間食を上手に活用しよう!

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食べるならナッツやヨーグルトがおすすめ

間食を選ぶ時は、エネルギーだけではなく、どんな栄養素が含まれているのかにも注目しましょう。不足しがちな栄養素を取り入れるのもおすすめです。

例えばナッツ類。ナッツには、良質な脂質や食物繊維、ビタミンE、マグネシウムなどが豊富です。硬いので自然と噛む回数が増え、満腹中枢が刺激されやすいのも嬉しいポイントです。選ぶ時は素焼きで無塩のものがよいですね。食べ過ぎるとエネルギー過多になりやすいので注意しましょう。

また、乳製品をとる習慣があまりない方は、間食にヨーグルトを取り入れるのもおすすめです。たんぱく質やカルシウムなどを補給できるだけではなく、乳酸菌による腸内環境の改善効果が期待できます。

それ以外だと、季節の果物を楽しむのもよいですね。ビタミンやミネラル、食物繊維の補給につながります。

ながら食べや一気に食べるのは避ける

間食は、食べ方にも注意しましょう。特に避けたいのが、「ながら食べ」と「早食い」です。

仕事をしながら……スマホを見ながら……など、何かをしながら食べると、脳は食べたという事実を十分に認識できず、満腹感を得られにくくなります。結果的に、食べすぎにつながってしまうことも。

また、食事を始めてから満腹中枢が働き始めるまでには、約20分かかるといわれています。早く食べることは、満腹中枢が働く前に必要以上の量を食べてしまいやすくなります。

食事の時間は食事に集中し、よく噛んで時間をかけて食べることがとても大切です。これは間食だけではなく通常の食事でも大切なことなので、普段から心がけるとよいでしょう。

間食は決して悪いものではありません。私たちの生活の中で、安らぎと楽しみをくれる大切なものです。私もホッとしたい時や仕事で一息つきたいときは、間食をとることが多いです。今回解説した内容をふまえ、間食と上手に付き合って楽しんでくださいね。

【参考文献】

・飯田薫子、寺本あい「一生役立つ きちんとわかる栄養学」西東社(2019)
・厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「お菓子や間食の取り入れ方」https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-03-002(閲覧日:2025年10月20日)
・農林水産省:「食事バランスガイドについて」
https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/index.html(閲覧日:2025年10月20日)
・農林水産省 子どもの食育「食事やおやつのとり方は、ひとつではありません」https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/oneday/idea1.html(閲覧日:2025年10月20日)
・農林水産省 子どもの食育「おやつの意味を知りましょう」https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/oneday/idea2.html(閲覧日:2025年10月20日)
・厚生労働省「『日本人の食事摂取基準(2025年版)』策定検討会報告書」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html(閲覧日:2025年10月20日)

宮崎 奈津季 
宮崎 奈津季 

管理栄養士・薬膳コーディネーター。介護食品メーカーで営業を2年間従事した後、フリーランスの管理栄養士に。料理動画撮影やレシピ開発、商品開発、ダイエットアプリの監修、栄養価計算などの経験あり。 現在は、特定保健指導、記事執筆・監修をメインに活動中。

HP:https://www.mnatsuki.com/

X:https://twitter.com/NatsukiMiyazak1

※「崎」は正式には立つ崎(たつさき)です

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