マインド:「思い出し怒り」をしている自分に気づく
null数日前に起きたことを思い出してイライラすることはありませんか。怒りの性質はポータブル。わたしたちは、職場で感じたイライラをその場で出さずガマンして、そのまま自宅に持ち帰ることができます。そして家族に当たり散らすこともできてしまいます。
また、怒りは空間だけでなく、時間をも飛び越えて持ち運びできてしまいます。つまり、過去に起きたできごとを頭の中で蒸し返して「思い出し怒り」してしまうのです。
けれども、よく考えてみてください。目の前にイヤな人はいないのにイライラしていたら、もったいない! 自分がイライラしていることに気づいたら「今、自分をイライラさせているのはあの人じゃない。自分自身だ」と気づきましょう。そして、カーテンを開けて窓から見える空を眺めてみましょう。
浮かぶ雲を眺め、カフェオレの入ったマグカップのあたたかみを手のひらで感じます。あなたをイライラさせているのは相手でもなく、できごとでもなく、頭の中で思い出すあなたの「思考」なのです。それに気がつくと「今ここ」に心を戻すことができますよ。

食事:カルシウムで骨を丈夫に
nullよく「イライラする人はカルシウム不足だ」といわれますが、実は科学的根拠はありません。たしかに、カルシウムには脳神経の興奮を抑える働きがあるので、カルシウムが不足するとイライラする説がまことしやかにいわれます。
実際は、カルシウムが不足すると骨から少しずつカルシウムが溶け出し、血液中に放出、調節される仕組みになっています。ですから、血液中のカルシウム濃度は一定に保たれ、極端に不足することはないのです。
とはいえ、骨のカルシウムを溶かしてばかりいたら、骨粗しょう症になってしまいますよね。特に、女性は閉経すると骨粗しょう症のリスクが高まります。女性ホルモンであるエストロゲンは、骨の形成を促進する働きがあるため、エストロゲンの分泌量が急に減ると、骨を形成するスピードが遅くなってしまうのです。骨は新陳代謝して日々生まれ変わっています。そのときに、骨を作り出すより溶け出すペースが速くなると、骨がスカスカになってしまうのです。
イライラ予防というよりも、骨粗しょう症予防として、十分なカルシウムやビタミンDをとり、日光を浴びることを心がけましょう。

運動:元気がないときこそ「口角を上げる」
null元気がないとき、落ち込んだときこそ、口角を上げてみましょう。
楽しいとき、うれしくなって口角が上がるのはもちろんですが、口角が上がる、つまり「笑うと楽しくなる」ということも実際あるのです。口角を上げて笑顔のカタチを作ることで、「幸せホルモン」セロトニンや、β‐エンドルフィンの分泌が促されることが知られています。
さぁ、口角を上げてニコッと笑顔を作りましょう。
わたしは、講演の講師をつとめる際にも、緊張をほぐすルーティンワークとして、この方法を利用しています。

まとめ
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このワークを試してみて!
自分をいたわるセルフケア
マインド:「思い出し怒り」をしている自分に気づく
食事:カルシウムで骨を丈夫に
運動:元気がないときこそ「口角を上げる」
思い出して怒ったりしないで、ムカムカイライラしたら心地良い景色やあたたかい飲み物を飲むなどしてリラックスを。カルシウムは特に女性は摂取していきたいもの。イライラ対策にもぜひ。元気が出ないときは口角を上げて、幸せホルモンを分泌させちゃいましょう。どれも簡単にできること、ぜひ健やかなマインドのためにも実践してみて!

高井祐子さん。
高井祐子(たかい・ゆうこ)
神戸心理療法センター代表。公認心理師。臨床心理士。
主に認知行動療法、マインドフルネスを用いて個人心理療法を行う。20年以上のカウンセリング実績を持ち、のべ1万5千人の診療に携わる。2020年よりオンラインカウンセリングを始め、国内のみならず海外からの相談にも対応、グローバルに活動している。「穏やかフルネスナビゲーター」としてメールマガジンの配信やオンラインプログラムの提供などにも精力的に取り組んでいる。
著書に、『認知行動療法で「なりたい自分」になる スッキリマインドのためのセルフケアワーク』(創元社)、『「自分の感情」の整えかた・切り替えかた モヤモヤがスッキリ!に変わる85のセルフケア』(大和出版)〈メンタル本大賞®︎2023最優秀賞、特別賞をダブル受賞〉、『ラクに生きるための「心の地図」―セルフケアのメソッド100―』(ナツメ社)がある。