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つらーい「便秘」を食生活でなんとかしたい!改善のためにできる「腸活のキホン」【管理栄養士監修】

特に女性では悩んでいる人も多い「便秘」。便秘イコール食物繊維、とすぐに浮かびますが、食物繊維にも種類があり、さらに食物繊維と組み合わせて食べるとより良い食品などもあります。腸の健康は、全身の健康や美容にもしっかりつながっています! 腸活の基本について学んでいきましょう!

あなたも実は「便秘」といえる状態かも?

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こんにちは、管理栄養士の宮崎 奈津季です。

人には言えずに悩んでいる人も多い「便秘」。腸の健康は全身の健康に直結するので、できるだけ良い状態を保ちたいものです。今回はそのための食生活などについて解説していきます!

「便秘」の定義って?

「慢性便秘症診療ガイドライン2017」で、「便秘」とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。また症状が6カ月前からあり、最近3カ月間は便秘症といえると診断されると「慢性便秘症」に分類されます。

ひとことで「便秘」といっても、人によりさまざまな種類や症状があります。また、便秘の裏に、その原因となる病気が隠れていることも。それぞれの症状や便の様子を見ながら適切に治療することが重要になります。

慢性的な便秘の原因としては、便の材料となる食事(とくに食物繊維や水分)の不足、便を運ぶ大腸の機能異常、便意を感じる感覚や便を排出する力が下がっているなどが考えられます。

便秘になると、腸内細菌の悪玉菌が増えて腹痛などの症状を引き起こすことがあり、自覚症状があるのは女性の方が多いです。

便秘の治療は生活習慣の改善から

慢性便秘症の治療は、保存的治療と外科的治療があります。外科的治療はいわゆるメスなどを用いて行う手術のこと。保存的治療は手術はせずに食事や運動、薬などで改善させる方法です。ここでは食習慣を含む生活習慣の改善についてお話しします。

便秘の解消に役立つ食生活

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やっぱりまずは食物繊維?

食物繊維をとることは、便秘の改善に効果が期待できるといわれています。食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、それぞれ作用が異なるのがポイントです。

「水溶性食物繊維」は、その名の通り水に溶け、ゼリーのようになる性質があります。このおかげで、一緒に食べたものが腸内をゆっくり移動するようになり、血糖値の上昇もゆるやかになります。またコレステロールの吸収を抑えて体の外に出す働きもあります。

一方、不溶性食物繊維は腸を刺激して蠕動運動を活発にしたり、便のかさを増やしたりする働きがあります。これにより、便秘の改善や腸内環境を整えることにつながっています。

腸内環境改善のカギ「シンバイオティクス」

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便秘を改善するには、プレバイオティクスやプロバイオティクスを含む食事をとることも効果的であるという報告があります。

「プレバイオティクス」とは善玉菌のえさとなる食品のこと。胃や小腸で分解・吸収されずに大腸まで届くのが特長です。オリゴ糖や食物繊維が主で、野菜や豆類、果物に含まれています。

「プロバイオティクス」とは、乳酸菌やビフィズス菌といった、生きた微生物のことです。ヨーグルトやキムチ、納豆、みそなどの発酵食品に含まれており、これらの食品を日常的に継続して摂取することで、腸内フローラの改善につながるといわれます。

また、プレバイオティクスとプロバイオティクスをバランス良くとったり、両方の働きを持つ食品をとることを「シンバイオティクス」といいます。シンバイオティクスが腸内環境を整え、便秘の改善に有効であるという報告もあります。

きのこ(プレバイオティクス)×みそ(プロバイオティクス)
果物(プレバイオティクス)×ヨーグルト(プロバイオティクス)

食べるものを選ぶときには、プレバイオティクスとプロバイオティクスの相乗効果が期待できる組み合わせを意識してみるのはいかがでしょうか。

食べ物以外にも水分・運動習慣も大切!

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快便であることは、私たちが快適な日々を送るための基本的条件のひとつ。そのためには食事の改善はもちろんですが、水分をとることや適度な運動も有効といわれています。

あまり水分をとっていないという方は、まずは、コップ1杯分から水分量を増やしてみましょう。

運動するのがなかなか難しい……という場合でも、まずは自分が1日どのくらい歩いているのか、スマホについている歩数計を確認するところから始めてみましょう! 目標歩数を決めるのもおすすめです。

【参照】

・厚生労働省「2022(令和4年)国民生活基礎調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/index.html(閲覧日:2024年10月18日)
・厚生労働省 e-ヘルスネット「便秘と食習慣」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-010.html(閲覧日:2024年10月18日)
・飯田薫子、寺本あい「一生役立つ きちんとわかる栄養学」西東社(2019)
・眞部紀明,春馬賢「慢性便秘症診療ガイドライン2017」日本内科学会雑誌 第109巻第2号p254-259
・日本消化管学会「便通異常症診療ガイドライン2023」南江堂(2023)

宮崎 奈津季 
宮崎 奈津季 

管理栄養士・薬膳コーディネーター。介護食品メーカーで営業を2年間従事した後、フリーランスの管理栄養士に。料理動画撮影やレシピ開発、商品開発、ダイエットアプリの監修、栄養価計算などの経験あり。 現在は、特定保健指導、記事執筆・監修をメインに活動中。

HP:https://www.mnatsuki.com/

X:https://twitter.com/NatsukiMiyazak1

※「崎」は正式には立つ崎(たつさき)です

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