ちゃんとお水を飲んでいますか?
null「そもそも唇には、他の皮膚のように汗や皮脂が出る腺がありません。ですから、乾燥する空気からバリアをはるという意味で、リップクリームやワセリンなどを塗ってリップケアをしましょう」と平田先生。
「でもその前に……」と続けます。
「唇には脱水のサインも出ます。だから唇が乾く時は、体内で相当な脱水が起こっている可能性があるんです。上からリップケアをする前に、ふだんからしっかり水分を摂ることも大事です」(以下「」内、平田先生)
人間が1日に必要とする水分は、体重1kgあたり40cc。つまり50kgの人なら2リットルを、食事も込みで摂るのが推奨されています。そのうえで、夏場など汗をたくさんかく時季や、スポーツなどで汗をかく時は、さらにしっかり摂る必要があるそうです。
「水分がきちんと摂れていないと、いくら表面をカバーしても体は乾燥してしまいます。また、水分といっても緑茶やウーロン茶、コーヒーなどカフェインの入ったものはかえって脱水を招くので、お水を飲む習慣をつけましょう。寒い季節は白湯もおすすめですよ」
赤ちゃんから!基本のリップケア3
nullさてここからは、赤ちゃんから大人まで共通する、基本のリップケアを3つご紹介します。
1:よだれや食べこぼしなどを拭き、口周りを清潔にする
まずは荒れないよう予防したり、荒れた場合も悪化させないこと。それには、口周りを清潔に保つことが大切です。
「赤ちゃんの場合は、よだれが出たらこまめに拭くのもリップケアです。また、食べこぼしがついた状態も肌荒れにつながります。食後に、おしぼりやアルコールを含まないウェットティッシュなどで、口周りをやさしくきれいに拭き取りましょう」
大人の場合も、食後に口周りを拭いたり口をゆすいだりする習慣をつけるのもリップケアの一つ。また、歯磨きをした場合も、歯磨き粉が残っていないか確認を。
2:鼻呼吸をする
子どもは何かに夢中になった時や鼻詰まりなどで、口がぽかんと開いてしまうことも。こうした口呼吸状態も、唇の乾燥につながるそうです。
「小さなお子さんは口元の筋肉が発達しきっていないので、どうしても緩んで、ぽかんと開いてしまうんです。見かけたら、声をかけて閉じるように促してあげてください」
平田先生曰く、鼻呼吸をすることで顔の表情も豊かにきれいになるそう。大人も乾燥対策+αを期待して、日ごろから意識するとよさそうです。
3:唇をなめない
カサカサになって荒れた唇が気になって、ついなめてしまうのは大人でもあること。でもこれがかえって悪化を招きます。
「なめてもリップケアにはなりません。リップクリーム、オイル、ワセリンなど、お好きな使いやすいものでよいので、唇をカバーしましょう」
リップクリームはいつ、どの範囲まで塗るべき?
null塗るタイミングは「刺激を感じる前に、いつでも、どこでも塗ってください」と、平田先生。
「とくに唇が弱い、荒れているという方は、食べものでもかゆみや痛みなどの刺激を感じる場合があります。お食事前にきれいな状態の唇に塗っておけば、リップクリームが唇を保護してくれます。食後も、唇をお水などできれいにしてからリップクリームを塗り直してくださいね」
塗る範囲は、少しオーバー気味に。「口角などの切れやすい部分もしっかり塗ってください」とのこと。
また、コロナ禍もあり、マスク生活でリップケアをしなくなった、リップアイテムを使わなくなったという方もいるでしょう。冬場は寒さ対策でマスクをする方も増えますが……?
「マスクは確かに保湿力があり、唇にとってよい環境です。しかし食事などで外した瞬間に乾燥するので、マスクをしていてもリップクリームを塗っておくことをおすすめします」
新しいリップクリームと「うるうる唇生活」を始めよう!
nullリップクリームをなかなか使い切れず、去年買ったものを使っているという方もいるかもしれません。
「基本的に防腐剤が入っているので、2〜3年はもつといわれています。ただやはり、使いかけの部分に雑菌が繁殖してしまいます。これは日焼け止めやチューブタイプの薬などにもいえること。
リップクリームの場合、古いものを使うのなら5mmくらい先端を削ってから使えばよいかもしれません。ただ、変性している可能性もあるので、できれば新しいものを使っていただきたいですね」
日に日に空気がひんやりとして、秋が深まってきました。つまり乾燥の季節はもうきているということ! 今日からさっそくリップケアを始めて、この冬はうるうる唇生活を送りましょう。
【取材協力】
平田雅子先生
東京・目白駅すぐ「私のクリニック目白」理事長兼院長。
東京医科大学付属八王子医療センター皮膚科勤務と並行して、永山皮膚科にて副院長として臨床の第一線に立ち、毎日300名以上の診療にあたった。大学病院皮膚科在籍中に、救命部、病理学教室にて院内研修。また、美容外科、内科、婦人科などでも院外研修を受ける。
「もう少し長くお話をお聴きすれば、お一人おひとりにあった治療や施術ができる」という想いから、完全予約制を採用した「私のクリニック目白」を、2003年に開設。皮膚を通じて全身を診ることも大切に、丁寧なカウンセリングを行っている。
朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote