経験を活かした転職4パターン
null20代半ば頃までの転職では、企業側は経験よりも「ポテンシャル」を重視することが多く、まったくの未経験でも受け入れられます。しかし、20代後半以降になると、やはり何らかの形で前職の経験を活かすほうが、転職成功率がぐんとアップします。
今回は、今自分が持っている経験の中から、どの経験を、どのように活かすかを考えてみましょう。
経験を活かした転職の方向性は大きく分けて次の4パターンに分類できます
(1)同業界・同職種に転職……これまでの経験をそのまま活かす
(2)同業界・異職種に転職……業界の知識・経験を活かす
(3)異業界・同職種に転職……職種(営業・事務・企画など)の知識・経験を活かす
(4)異業界・異職種に転職……前職で身に付けた「汎用スキル」を活かす
それぞれについてみていきましょう。
(1)「同業界・同職種」
私は多くの転職希望者の方々にお会いしてきましたが、一番多いのは、この同業界・同業種で、かつ給与や待遇アップが図れる企業、あるいは自分が目指す方向性と会社が目指す方向性が一致する企業を探すパターンです。
このケースでは、前の会社よりも規模の小さな会社に目を向けることで、成功率が高まります。同業種の大手企業の仕組みやノウハウを取り入れたいとする中小企業のニーズがあるためです。
(2)「同業界・異職種」
例えば、販売職や営業職で実績を挙げてきた人が、同業他社に「販促企画」「営業企画」「マーケティング」などの職種で転職したり、IT企業のエンジニアだった人が同業他社にコンサルタントとして転職したりするパターンです。
「他の職種に興味がある。でも、今の会社の人事制度では職種転換ができない」などの不満がある場合は、この方向を目指してみましょう。「職種未経験でも、業界の専門知識を持っていれば可」とする求人もあります。
(3)「異業界・同職種」
実はもっとも求人の選択肢が多い道です。特に、経理や人事など管理部門のスペシャリストは、異業界への転職はよくあること。仕事の内容やレベルはほとんど変わらなくても、給与水準が低い業界から高い業界(金融・IT・医療など)に移るだけで大幅に年収がアップすることもあります。
また、販売・営業・マーケティングなども、業種や取り扱い商材がまったく別のものに変わったとしても、「対象顧客」「販売手法」などが近ければ、これまでの経験を評価され、即戦力として迎えられる可能性は十分あります。
(4)「異業界・異職種」
これは「これまでの経験がどう活かせるの?」と疑問に思うかもしれません。具体的な事例を挙げてみましょう。
「異業界・異職種」に転職してこれまでの経験を活かすには…
nullIT業界のシステムエンジニアから、組織コンサルティング会社のコンサルタントに転職したAさん
Aさんは、クライアントの課題に対するヒアリング力、課題分析力、プレゼンテーション力、折衝力が評価されて採用されました。つまり、幅広い職種で活かせる「汎用的スキル」を磨いておくと、業種の枠を越えやすくなります。
アパレルショップの店長から、ネット企業の営業職に転職したBさん
転職先のネット企業の主力商品は、小売店向けのWebシステム。Bさんは店舗運営の知識・経験を持っていることで、顧客となる小売店の課題分析・提案ができると期待されて採用されました。このように、自分が身を置いていた業種を「顧客」とする商品・サービスを持っている異業種の会社で、前職の知識が活かせることもあります。
AさんとBさんの経験の活かし方はほんの一例。自分の知識やスキルが思いがけない企業で価値を発揮することもありますので、「自分には縁がない業種」と決めつけるのはもったいないことです。「面白そう」と思う会社を見つけたら、自分の経験が「応用」できそうなポジションを探ってみてはいかがでしょうか。
構成/青木典子