子ども向け文房具はものすごく進化しています!
null2017年から2021年まで、「月刊ビッグコミックスピリッツ」で連載された、文房具漫画『きまじめ姫と文房具王子』(全5巻)。
大学講師の主人公・かの子は、転勤先で文房具マニアの同僚講師・蜂谷と研究室をシェアすることに。2人は反発しながらも、交流を深め、大学の“文房具研究会”の顧問をすることに。毎回“文房具”をキーアイテムに、かの子と蜂谷と文具研のメンバーが繰り広げるストーリーが話題を呼びました。
実は、第2巻では子ども向けの文房具を取り上げたエピソードがあります。作者の藤原嗚呼子さんによると「子ども文具の回のときに、今はどんなものを皆使っているのか調べていたら、自分の子ども時代には無かった文具がたくさんあることに驚きました」とのこと。
確かに子ども向けのみならず文房具をとりまくテクノロジーの進化、性能の向上など、あきらかに昭和~平成初期とはかなり違います。
「重たいランドセルが少しでも軽くなるようにと、軽量化された紙で作られたノートだったり、危なくないよう尖りすぎない鉛筆削りだったり、今は子どもを優しく見守るような文具が多くある一方、プリントを親に忘れずに渡すことができるよう工夫をしたファイルや、洗って落ちる墨汁など、ママの目線に立った便利な文具も数多くあってすごいなと思います」(以下「」内、藤原嗚呼子さん)
子育て世代のkufuraママたちに、おすすめの文房具5選
null昨今の文房具界隈は“文具女子博”などのイベントにも代表されるように趣味性も高く、種類も豊富で、どれも魅力的。そんな中から、kufura読者同様に子育て世代でもある藤原さんに、ママたちにおすすめの文房具を教えていただきました。
(1)マッチベイシックカラー3原色セット(株式会社まっち)
「漫画でも紹介した水彩絵の具です。
3原色とブラック、ホワイトの5色セットで、混色することで好みの色を作る絵の具です。
色彩の理論を絵の具で実際に体験でき、色彩感覚を育むのにとても良い絵の具。
『まっち絵の具』は、有害化学物質等は一切不使用なので 小さな子どもにも安心」
(2)からっぽペン×ink-café シリーズ(呉竹)
「文字通りインクの入っていないペンに、ink-café で好きな色を作って入れて、オリジナルのペンを作るというものです。
私も子どもとのおうち遊びで何回もやりました。親子一緒になって遊べます」
(3)洗濯で落ちる墨液180ml(サクラクレパス)
「絶対こぼすので……色んなメーカーから出てますが、これは必須だと思います」
(4)レトロ日記 ダイカットミニレターセットクリームソーダ(古川紙工)
「お土産を渡したり物の貸し借りで、なにか一言添えたいときに。ママ友へ、一筆箋だと固い感じになるので。このシリーズはかわいくて大好きです」
(5)育児(ベビー)ダイアリー マークス ポニー 日付フリー<A5>(マークス)
「子育て期間って通り過ぎるとあっという間ですよね。はじめて歩いたとき、はじめて喋ったとき、小さな子育ての喜びもその時は鮮明でも、日ごとにあやふやに薄れていってしまいます。こんな風にダイアリーとして残しておくといい思い出の記録になると思います」
藤原さんご自身もお子さんを育てているお母さんでもあります。今回のセレクト基準は、どこにあるのでしょうか?
「どれだけ便利になっても手はかかってしまうのが子育てだと思います。
そこで、上で紹介させていただいた『育児(ベビー)ダイアリー マークス ポニー 日付フリー<A5>』(マークス)や『レトロ日記 ダイカットミニレターセットクリームソーダ』(古川紙工)のような文具を使えば、ママ自身忙しいながらも楽しんで育児ができるんじゃないかなと思いました。
また『マッチベイシックカラー3原色セット』(株式会社まっち)のように、子どもの成長を促す知育文具や『からっぽペン×ink-café 』シリーズ(呉竹)など、一緒に遊べる文具もおすすめしたいです」
文房具って、おもしろい!
nullとても文房具に対する知識の深い藤原さんですが、やはり子どもの頃からお好きだったようです。
「文具自体は子どもの頃から好きで、消しゴムや便せんを集めていました。文具のしくみや歴史に興味を持ちはじめたのは、大人になってから。海外に移住した知人が日本に里帰りした際に、食料などと一緒に必ず文具も買って帰ると話してたことがきっかけです。
海外でも文具はコンビニのようなところで買えるみたいなのですが、そういう所に置いているものは大抵粗悪なものが多いらしく、途中でインクが出なくなるボールペンや乱丁になっているノートなど当たり前にあるみたいで、日本の文具がいかに優れているかを海外に住んではじめて痛感したと言っていました。
もちろん海外にも品質の良いものはお金を払えばいくらでもあると思いますが、日本の文具は低価格でも高品質ですよね。
学生が日常的に使うルーズリーフですら書き心地の好みに合わせて紙の種類が選べたり、教科に合わせた罫線がひかれているものがあったり……と、細部にこだわって作られているものも多いです。
店頭を見ると、自分が子どもの頃に無かったようなアイディア文具もあり、知らぬ間に日々進化している。日常にありふれて気づかなかったけど“文具って実は面白いんだな”と思いました。
そして、私自身がそういう興味を持ったように、文具を研究対象としているような大学の先生が居たら面白いだろうなと思ったんです」
そうして出来上がったのが『きまじめ姫と文房具王子』です。実際に漫画を世に出してから、文房具に対しての気持ちの変化はあったのでしょうか?
「先ほどお話したように日本の文具ってどう考えてもコストに見合わないようなハイスペックな機能をもっているわけですが、それを生み出す裏には、文具の企業のあくなき挑戦や熱い思いがぎっしり詰まっていて、もう、それ自体がドラマだと思いました。だからお話はそういった話が中心になったような気がします。
連載をしている間も面白い文具が次から次へと発売されて、追いかけるのが楽しくもあり大変でした。
ちょうど、デジタルとアナログの狭間のような時期で、私にとっての“文具の在り方”みたいなのも立ち止まって考えさせられる時期だったので、あの時期に描けてよかったなと思っています」
最近のお気に入り文房具は…?
nullちなみに藤原さん、最近のお気に入り文房具は?
「漫画を描いていたときに資料として買った大量の文具を消費すべく、最近は新たな文具をあまり買えてなくて、最近の……と呼べるものがありません。
以前から持っているペリカンの万年筆を引き続き愛用しています。
それと、デザインフィルのミドリ『ダンボールカッター』はコロナ禍以降、通販を利用することが増えたのでかなりお世話になってます!」
ミドリ「ダンボールカッター」は段ボールを開ける作業に便利な小さなカッター。背面にマグネットがついているため、冷蔵庫やドアなどに貼っておくこともできて日常使いがしやすいとkufuraでも人気のアイテムです。さすがお目が高い!
藤原さんの文房具愛がつまった『きまじめ姫と文房具王子』はオンラインで試し読みもできるので、文房具の世界にご興味を持たれた方はチェックしてみてくださいね。
【取材協力】
藤原嗚呼子(ふじわらああこ)
2006年『どこへ。どこへも。』が、第21回 MANGA OPEN(講談社)かわぐちかいじ賞を受賞。2008年に第65回新人コミック大賞(小学館)で「アフター・ザ・ドリーム」が佳作を受賞。月刊『ビッグコミックスピリッツ』にて連載した『きまじめ姫と文房具王子』で、文房具漫画というジャンルを切り開いた。京都在住。
『きまじめ姫と文房具王子』第1巻
まじめな大学講師・かの子が研究室をシェアするはめになった相手は、文房具マニアの大学講師・蜂谷。同じ部屋で顔を合わせるうちに、かの子も文具研の顧問になるなど、文房具との距離が近づいていく。と、同時に蜂谷との恋愛のようなものにもご注目を。全5巻。
『きまじめ姫と文房具王子』の第1話試し読みはこちらから