“女性が輝く会社”の秘訣
最初の職場を結婚退職して次の仕事を探しているときに、「河北さんは“人の仕事”が向いていると思うよ」と言われて紹介を受け、外資系人材派遣企業へ入社しました。“キャリアを活かした女性の新しい働き方”という選択肢を、最初にアメリカから持ち込んだ会社です。私は未だ何をやりたいのかを見つけられていなかったので「これはいろんな仕事が経験できそうだ、その中から進む道を見つけて行けばいい」と思いました。
ここではトレーナーチームに入って人材育成に携わっていくのですが、人材開発のトレーニングをすべて受けると共に、数ある職種の仕事経験が義務付けられていました。それはとても魅力的でしたね。
その会社はアメリカの企業で、欧米的なモチベーションマネージメントやミッション経営を刷り込まれました。がんばって評価されたら自立的に働けてどんどん上に行ける、というような、その時代の日本にはまだなかったような仕事観を学びました。
多岐にわたる仕事をさせてもらって、見えてきたもの、得たものはたくさんあります。また女性であることの強みも感じました。キャリアを育み、主体性を引き出し、キラキラ輝かせ、女性の新しい働き方を提案する仕事ともいえました。意欲や自己成長が、数字や成果にもつながっていく。女性の活躍を時代も後押ししてくれました。その分体力的にはきつかったですよ。仕事の厳しさも、喜びも、両方味わいました。
“嫉み”をひっくり返すとっておきのルール
実はこの時期、はじめて、“妬まれる”“足を引っ張られる”ような経験をしたんです。それで、どうしたらいいんだろう、と考えた時に、出てきた答えは“圧倒的に勝つ”というものでした。
つまり自分の役割をまっすぐに全うし、“圧倒的に期待を超える結果を出す”ということです。今から思えばそれしか選択肢がなかったのだと思いますが、ネガティブな状況をポジティブに変えるためには、それが一番近道に思えました。
そして、その信念に基づいて仕事をしていった結果、みんなに認めてもらえ、喜んでもらえ、そして妬んで足を引っ張っていたような方も、協力・応援してくれる側に一気に変わる、という経験をしました。それは大きな成功体験として、今でも私の大事な財産になっています。
そこで私が気づいたルールは、“嫌なことをされたときに仕返しをしない”ということ。同じ場所に降りるのではなく、自分がただ前進する、そしてちゃんと大人になって消化して次に進む、というような乗り越え方をしてきました。そうしたら、それ以降、足を引っ張られたようなことは一度もないですね。
もちろん、その後も崖っぷちは何度もあって、そのたびに成長させられてきたと思っています。次回はそのことについてお伝えしたいと思います。
【筆者】河北隆子(かわきた・たかこ)
日本女子経営大学院代表理事、学長。イノベーションアソシエイツ株式会社代表取締役Co-CEO。1960年東京生まれ。総合オフィスサプライヤー企業、外資系人材派遣企業を経て、コンサルタントとして独立し大手自動車会社の販売チャンネル変革プロジェクトのプログラム開発展開のコアパートナーとして活躍。その後、人と組織の持続的な学習成長イノベーションと定着化を得意とするイノベーションアソシエイツ社を創業。2015年1月、働きながら学ぶ女性限定ビジネススクール日本女子経営大学院を開学、現在に至る。生涯学習開発財団認定コーチ、ジョージワシントン大学大学院コース修了GIAL認定シニアアクションラーニングコーチ、日本メンタルヘルス協会心理カウンセラー基礎認定、文科省学校力向上検討委員。企業、教育、自治体他多様な産業において、人と組織に関するリーダーシップ開発、問題解決支援、女性活躍などに従事。人と社会が循環して起こす幸福で共創的な日常のイノベーション創出のために、自由で多様性のあるビジネスに挑戦している。
2015/4/12 BizLady掲載