衝撃を受けた上司の一言
まず私は、「やりたいことを持って社会人になった」タイプではなかったんですね。「やりたいことを模索する」というステージから入りました。
新入社員になったときって、みんなやっぱりがんばりますよね。私もがんばって、頼まれもしないのに改善提案を出したことがあります。そうしたら上司に、「女の子はそこまでがんばらなくていいんだよ、ほどほどでいいんだよ」と言われて、「がーん!」とショックを受けました。「仕事ってそういうものなの? 女の子は腰掛けでいいの?」と、かなりびっくりしました。
そこから自分の中で、問いかけが始まりました。そしてその問いかけを続けた結果、やっぱり自分は今の仕事に向いていないかもしれないとか、もっと自分らしく仕事をするにはどうしたらいいのか、そもそも自分は何者なのかということを、考えるようになりました。
そこからでてきた結論は、自分は我慢をしてやり過ごすことや意義がわからぬことに漠然と時間を費やすことに向いていない、ということでした。多少苦労してでも、何かを創造したり、何か人の役に立つこと、社会に喜んでもらえるようなことをしたい、と。
“志を持って仕事をする”ために必要なこと
私の就職した頃はとてもいい時代だったので、同期のみんなは仕事に遊びに、とても楽しそうでしたが、でも自分は満たされなかった。何かもっとやりたかったし、このままでいいんだろうかとずっと思っていましたね。早い頃から、「ここにずっといるのではなくて、自分が本当にやりたいことをつかまなければいけない、そしてそれを実現したい」と考えていました。
社会人になって、ショックを受けて、そこから芽が出てきたんですね。志を持って仕事をするということの芽生えでした。その後も、いろんなことにぶちあたったり、成長をするシーンがあったりして、その問いがだんだんつながって深まりながら、先へ続いて行きました。
大切なのは、社会人になりたての頃に感じた違和感やショックを見逃さずに、なぜそう感じたのかを考え続けることです。そのステップをふんでこそ、初めて自分の進む道がわかるのだと、私は思っています。
【筆者】河北隆子(かわきた・たかこ)
日本女子経営大学院代表理事、学長。イノベーションアソシエイツ株式会社代表取締役Co-CEO。1960年東京生まれ。総合オフィスサプライヤー企業、外資系人材派遣企業を経て、コンサルタントとして独立し大手自動車会社の販売チャンネル変革プロジェクトのプログラム開発展開のコアパートナーとして活躍。その後、人と組織の持続的な学習成長イノベーションと定着化を得意とするイノベーションアソシエイツ社を創業。2015年1月、働きながら学ぶ女性限定ビジネススクール日本女子経営大学院を開学、現在に至る。生涯学習開発財団認定コーチ、ジョージワシントン大学大学院コース修了GIAL認定シニアアクションラーニングコーチ、日本メンタルヘルス協会心理カウンセラー基礎認定、文科省学校力向上検討委員。企業、教育、自治体他多様な産業において、人と組織に関するリーダーシップ開発、問題解決支援、女性活躍などに従事。人と社会が循環して起こす幸福で共創的な日常のイノベーション創出のために、自由で多様性のあるビジネスに挑戦している。
2015/4/2 BizLady掲載