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「お局になったほうがラク」でんぱ組.incの夢眠ねむが語る!年を取ることの魅力

お局にはなりたくない! そんな思いは、働く女性なら誰しもが感じたことがあるでしょう。でも働き続ける限り、先輩になるのは避けられません。女性としてちやほやされたいわけではないけれど、“おばさん扱い”はつらいですよね。また、嫌みを言ってくる上司がいたり、ライバル心を燃やしてくる同僚がいたりと、働くうえで人間関係の悩みはキリがありません。一般のOLでもそうなのだから、人気商売である“女性アイドル業界”は、もっとシビアなのでは……? そんな疑問を今回、でんぱ組.incのメンバー・夢眠ねむさんにぶつけてみました。多摩美術大学を卒業した夢眠さんは、アイドルであり美術家。“アイドルの教科書”として発売された新刊『まろやかな狂気』(マーキーインコーポレイティド)も話題になっています。10代前半でデビューする女性も多いアイドル業界において、夢眠さんのように20代から活動をはじめ、メジャーシーンで活躍するのは異例のこと。そんな夢眠さんが思う「年をとる」ことの魅力とは? 嫌なことを言われたときの対処法や人間関係についても語っていただきました。

お局になったほうがラク!?

――「お局やおばさんになりたくない!」という思いを、多くの働く女性が抱えています。アイドルの世界だと、もっと厳しいのでは……と想像しますが、いかがでしょうか。

夢眠ねむ(以下、夢眠):18歳の子がステージで「おばさん」と呼ばれているのを聞いて、顔面真っ青……みたいなこともあります(笑)。

でも、私はお局になったほうが楽だと思うんです。新刊の『まろやかな狂気』のなかでも、“私はおばあちゃん化してる”なんてことが書いてあるくらい。もしかすると、アイドルは絶対に“女”として見られる仕事だからできることかもしれません。OLさんだと、「彼氏のお母さんになりたくない」みたいな悩みも生じますもんね。

アイドルって、松田聖子さんのように長年活躍されている方もいるけれど、基本的には死ぬまでやる仕事ではないじゃないですか。リミットがあるので、世代交代をしなくてはいけないなという考えが頭にあります。OLさんで言うと、「寿退社が決まった状態で、自分が辞めるために引き継ぎの人を育てている」という感覚かもしれません。

――なるほど。

夢眠:あと、「若さ」を持っていると、フラットにジャッジされると思うんです。でも年をとったら、個々人が持っている“プラスアルファ”がダイレクトに届くようになる。絶世の美女じゃなくてもモテるお姉さんとか、いるじゃないですか。その領域で勝負できるのはアツいと思います。

——そう考えると、年をとることも怖くなくなりそうです。

夢眠:アイドルをやっていると、若い子が好きな男性ばかりではないし、好みもさまざまだなと感じます。ルックスについても、たとえば「男性は髪が長いほうが好き」などのアンケート結果が出ていても、それは“アンケートに答えるタイプの男性”がそうだ、というだけなんですよね。私は髪も短いし高身長だしよく喋るけど、そこを気に入ってくれるファンがいる。ニッチな層もいっぱいいるんです。ひねくれた人に好かれているのかもしれないけれど(笑)。

心ない批判は「関係ない」で切り捨てる

——上司や同僚、後輩に嫌なことを落ち込んだことがある働く女性は少なくありません。BizLadyの過去記事「“ババアはいらない”発言も…!職場ハラスメントの実例と対処法」でも、「もっと若い女性社員ならいいのに」と言われたという経験を紹介しています。アイドルは「アンチ」という、執拗なバッシングを繰り返す人もいますが、夢眠さんはどう感じますか。

夢眠:「ブス」とか「おばさん」とか、心ない言葉をかけてくる人はいますね。そういう人がいるのは悲しいことですが、シビアな話として「CDの売上には関係ない」と思うようにしています。それにアイドルは、100%褒めてくれるファンという存在がいるので、支えられていますね。アイドルは“与える存在”ですが、ファンに与えられていることも、たくさんあるんです。

あと、私たちは容姿でお金をもらっている部分もあるから、逆に大丈夫なのかも。傷つくのって「仕事に関係のないこと」だから、だったりするじゃないですか?

——OLだと、たとえば「タイピングが遅い」と言われても「たしかに遅いかも」と受け止められるけど、上司におばさん呼ばわりされたら「仕事に関係ないし、この人に言われる筋合いないよ」とイラつく、というような?

夢眠:そうそう。私たちの場合、ダンスが下手だと言われたら「じゃあ上手くなろう」と考えられる。でも、マジのトーンで「人間性がヤバいよ」と言われたら落ち込む、みたいな(笑)。

必ずしも“中心的存在”になる必要はない

——30歳近くなると、後輩や部下ができる人もいます。チームで働くなかで、中心的な存在として仕事を回さなければ、というプレッシャーを感じている女性も多いと思います。アイドルには“センター”という役割がありますよね。どういう人がセンターになるのでしょう。

夢眠:そのグループの“骨の髄”的なカリスマを持っているひと、アイドルになるために生まれてきたような人がなったほうがいいんじゃないかな、と思います。

——でんぱ組.incのセンターである、“みりんちゃん”こと古川未鈴さんも、ライブステージなどで「私はアイドルしかできない」と公言されていますね。

夢眠:そうですね。メディア露出がいちばん多くて、一般的な認知度が高いのはもがちゃん(最上もが)だけど、“アイドルとして”という視点で見ると、みりんちゃんは信頼できるセンターなんです。普段は地味なんだけど、ステージでは輝いている。

でも、誰しもがセンター的な輝きを持っていないといけないかというと、そうではないと思うんですよ。たとえば、私やえいたそ(成瀬瑛美)は、暗い会議のときに「ところで!」と空気を変えることができる。チームには、ムードメーカーも必要じゃないですか。企画会議をしているとしたら、企画を立案するタイプではないけれど、現実的な意見を言える、とか。いろんなポジションがあるし、「中心に立つ人にならなくちゃ!」と必要以上に気負う必要はないんじゃないかな。

いつもべったり仲良しでいる必要はない

――6人の人間関係について伺いたいと思います。グループだと、仲良し信仰がありますよね。でんぱ組は海外公演もありますし、一緒にいる時間が長くて、ほどよいバランス感覚を保つのが難しいと思いますが、いかがですか。

夢眠:でんぱ組.incは“みんな大人で、かつオタクだから成立している”ところがあると思います。「みんなには空き時間にやりたいことがある」とわかっているから、無駄に話しかけようとしないんですよね。で、仕事ですとなったら、集まって話し合う。仲は悪くないけど、「絶対にみんなでご飯行こうね!」というべったりした付き合いではありません。

——理想的な関係に思えますね。ただ、さっぱりした関係を築いていると、「仲悪いの?」なんて疑われてしまうことが、アイドルでも一般社会でもあると思います。

夢眠:そういう声は、実際ありますね。たとえば私はもがちゃんを苗字で「最上」と呼ぶのですが、それだけで不仲を疑われたりする。昔からずっと最上と呼んでいるし、もがちゃん本人も気に入ってくれているのに(笑)。

仕事なのだから、必要以上に毎日べたべたしなくてもいいんじゃないでしょうか。たとえばOLさんの場合、みんなで絶対ランチに行く、と決めてしまわなくてもいいんじゃないかな。仲を疑ってくる人もいるけど、一方で“仲良しアピールしんどい派”の人もいるから、外野の声は気にしなくていいと思います。

2016/12/10 BizLady掲載

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