フリーランスとして独立した後、会社の立ち上げを経て、2014年の9月に日本女子経営大学院を設立することになりました。女性リーダーが育ちにくい環境にある日本社会の中で、女性の持つ潜在力や可能性を開花させ、しなやかな女性リーダーを日本に養成・輩出することが学校設立の目的でした。
日本において、政府による女性活躍推進の流れが、しかるべく大きなうねりとなってきたことは言うまでもありません。男女雇用機会均等法が施行されて約30年ですが、無意識無関心が当たり前のジェンダーギャップが少しずつ顕在化されてきました。
そんな中で企業も、これまでの延長線のやり方では煮詰まり感を感じ、ダイバーシティ(多様性)こそ、イノベーションには必要であることをかなり理解してきています。人もまた、多様な人材がイキイキと働くこと、男女拘わらず自分を使って意欲をもって仕事をすること、そもそも人として、生き方、働き方、真の幸福とは何かが問われる時代となってきました。
女性の活躍については、けっして女性だけの問題でなく、社会全体の問題であり、女性も男性もその当事者であるという理解が確実に広がっています。知らぬ間に縛られていた古い雛形と、そのぎくしゃく感に気がつき、共有認識ができつつあります。世界が、政府が、企業が、そして女性側も、男性側も、人としての生き方を含め、やっと日本も準備ができてきたのだと思います。
“働く女性のため”のビジネススクール
働きながら学ぶ女性のためのビジネススクール、日本女子経営大学院第1期生は、企業派遣25名、個人申込み25名で全50名でした。20代~50代まで、そしてリーダー候補から部長レベルまでの幅があります。独身も既婚も母親も夫々で、多様な業種、業界の、企業人や起業家の意欲ある女性たちが集まり、学んでいます。
受講生のみなさんは、ビジネスの最前線で活躍されている、超多忙な方々ですが、悩みながらつまずきながらも、確実に力をつけているようです。そもそも働く女性として、ワークライフバランスに悩む受講生でもありますが、日常の仕事と家庭を何とかマネジメントしつつも新しい世界が広がり、充実しているようですね。
また、この大学院の大きな特徴として、メンターサポートという制度があります。女性エグゼクティブリーダー(企業、起業家)と、ビジネスの第一線で活躍し現場経験の豊富な女性ミドルリーダー(企業、起業家)が、電話会議システムを活用し、受講生とのメンタリングを継続実施しています。
具体的な目標の再設定や多様な悩みがちょうど出てくる頃ですので、効果的に機能していく訳ですね。トピックスとしては、アメリカ大使館から新聞の掲載記事をご覧になったようで、お電話を頂きまして学校視察にいらっしゃいました。
自分のために学ぶ時間を!
すべての働く女性にとって、自分のために学ぶ時間は必要です。サードプレイスと言いますが、「仕事の場所」「家庭の場所」だけでなく、第三の「学びの場所」があると、人生のバランスはとても良くなると思います。
私は人が成熟して幸せになっていくためには、学びが大事だとずっと思っています。女性は、学ぶことが大好きであり、自分の為に自由に学ぶ時代になりました。そのことが、家族の為に、会社の為に、世界の誰かの為に役に立つことに繋がります。自分の可能性を勝手に限定せずにもっと大切にしてほしいと思います。学ぶことは、社会を未来を創ることそのものです。学びたい意欲がある女性は「誰でも学べる場所」をずっと欲していたと思いますね。
そんな場として、 日本女子経営大学院がひとつの解になるなら、心から嬉しいと思います。
【筆者】河北隆子(かわきた・たかこ)
日本女子経営大学院代表理事、学長。イノベーションアソシエイツ株式会社代表取締役Co-CEO。1960年東京生まれ。総合オフィスサプライヤー企業、外資系人材派遣企業を経て、コンサルタントとして独立し大手自動車会社の販売チャンネル変革プロジェクトのプログラム開発展開のコアパートナーとして活躍。その後、人と組織の持続的な学習成長イノベーションと定着化を得意とするイノベーションアソシエイツ社を創業。2015年1月、働きながら学ぶ女性限定ビジネススクール日本女子経営大学院を開学、現在に至る。生涯学習開発財団認定コーチ、ジョージワシントン大学大学院コース修了GIAL認定シニアアクションラーニングコーチ、日本メンタルヘルス協会心理カウンセラー基礎認定、文科省学校力向上検討委員。企業、教育、自治体他多様な産業において、人と組織に関するリーダーシップ開発、問題解決支援、女性活躍などに従事。人と社会が循環して起こす幸福で共創的な日常のイノベーション創出のために、自由で多様性のあるビジネスに挑戦している。
2015/6/11 BizLady掲載