「気が置けない」の意味は?
「気が置けない」の意味は?「気が置けない」の意味は、遠慮する必要がなく、心から打ち解けることができること。
例えば「気が置けない友人」と言ったときには、気をつかう必要のない親しい友人のことを表します。
動詞の「置く」には多くの意味がありますが、「気が置けない」の「置く」は「間を隔てて、一定の時間と距離を設ける」の意味です。日常会話の中でも「あの人と距離を置く」というふうに使うことがありますよね。
「気が置けない」と打ち消す形で使うことで、距離感のない、隔たりのない親しい関係性を表します。
「気の置けない」という使い方をする場合もあります。
「気が置けない」の使い方の注意点は?よく見かける間違った使い方
「気が置けない」の使い方の注意点は?よく見かける間違った使い方「気が置けない」は「気を許すことができる」の意ですが、逆の意味である「気を許すことができない」と誤って解釈する人が多くなっています。過去に文化庁が行った『国語に関する世論調査』では、47.6%が誤った意味を選択していました。
以下のような使い方は間違いなので、注意しましょう。
【NG使用例】
・気が置けない上司なので、安易に相談をすることができない。
→「気が置けない」は気配りや遠慮の必要がない間柄を表す。NG例文は、文章の前半と後半の内容が矛盾している。気を許せない相手なら「上司に気を遣って、安易に相談をすることができない」、その逆で遠慮のない相手なら「気が置けない上司なので、なんでも相談することができる」など。
「気が置けない」の例文は?
「気が置けない」の例文は?「気が置けない」の例文をご紹介します。
・彼女は昔からの友人なので気が置けない関係だ。
・同じ部署の同僚とは家族ぐるみのつきあいができる気が置けない間柄だ。
・気の置けない同期は、私にとって大切な存在です。
「気が置けない」を言い換えると?類語は?
「気が置けない」を言い換えると?類語は?「気が置けない」の言い換え表現をご紹介します。
(1)「気を許せる」
「気を許せる」は、相手を信用して、心の緊張を解くこと。
【例文】
・彼女は気を許せる特別な存在です。
(2)「肩のこらない」
「肩のこらない」「肩がこらない」は、気楽でくつろげること。
【例文】
・肩のこらない集まりで、心行くまで趣味の話をすることができた。
(3)「昵懇」
“昵懇”(読み方:じっこん)は、親しい関係であること。主に書き言葉の中で使われる熟語です。
【例文】
・あの人とは、昵懇の間柄です。
(4)「懇意」
“懇意”(読み方:こんい)は、親しいこと、仲がよいこと。
【例文】
・入社以来、鈴木と懇意にしています。
(5)「胸襟を開く」
「胸襟(読み方:きょうきん)を開く」は、心をオープンにして、打ち解けること。
【例文】
・今日は、胸襟を開いて話し合いましょう。
「気が置けない」の対義語は?
null「気が置けない」の対の意味を含む言葉をご紹介します。
(1)「他人行儀」
親しい人に対して、そうではないようによそよそしい態度を取ること。
【例文】
・気の置けない友人が、急に他人行儀な態度を取り始めた。
(2)「水臭い」
人と人の距離を置こうとして、よそよそしいこと。
【例文】
・気の置けない同僚だと思っていたのに、そんなに大切なことを言ってくれないなんて、水臭いですよ。
(3)「よそよそしい」
まるで他人同士のように親しみを示さない様子。
【例文】
・いつもは親しみやすい彼が、今日は妙によそよそしい態度だった。
以上、国語講師の吉田裕子さんに「気の置けない」の意味や誤用例を解説していただきました。
距離を置かなくてもよい、親しい関係を表すときに使うので、正しい意味を覚えておきましょう。
取材・文/北川和子
国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。