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「頭打ち」を使ってはいけないシーンとは?意味と使い方、注意点を解説

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“頭打ち”は、数値の推移を表す際に聞かれる言葉です。具体的にはどのような状態を表し、どんな場面で使われているのでしょうか。

【あらためて知りたい頻出ビジネス用語#81】では、“頭打ち”という言葉について、『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんに解説していただきます。

「頭打ち」の意味とは?

“頭打ち”とは、それまで向上・進歩・上昇を続けてきたものが、ある一定の水準になり、それ以上、上がらなくなっている状態のことを表します。

もともとは相場用語で、上がり続けていた相場がそれ以上、上がらなくなることを表す言葉でしたが、現在は広い場面で使われるようになっています。

「頭打ち」はどんなシーンで使う?

ビジネスシーンにおいては、数字の分析をする際に“頭打ち”という言葉が使われています。

株式相場、売上額、需要、生産量などの数値が限界に達して、それ以上、上がらなくなっている状態を表す際に使います。

数字だけでなく、品質や能力などの抽象的な事柄に対して使われることもあります。

「頭打ち」の使い方の注意点は?よく見かける間違った使い方は?

“頭打ち”は、客観的に情報分析をする際に用いる言葉です。

そのため、人に対して使う際には注意が必要です。

例えば、グループメンバーの業績の傾向や、距離感のある第三者について批評する際には使うことがあるかもしれませんが、身近な相手の資質を評するために面と向かって“頭打ち”という言葉を使うことはほとんどありません

【要注意例文】

・あなたは、新人の頃はがんばっていたのに、成長が頭打ちになっていますよ。

→つまり「成長していない」という意味となる。客観的な分析として妥当だとしても、目の前の相手に向かって直接使う表現としては失礼であったり傷付けてしまったりして不適切な場合もある。「思うようにいっていないのではないですか」など配慮した言い方を考える。

「頭打ち」の例文は?

“頭打ち”を使った例文を通じて使い方をイメージしてみましょう。

・このジャンルの市場規模は近い将来、頭打ち状態になるだろう。

・市場成長率は頭打ち傾向にある。

・新商品の販売数は早くも頭打ちになっています。

・資源高でのインフレ懸念が株価の頭打ち要因となっている。

「頭打ち」を言い換えると?類語は?

続いて“頭打ち”の類似の意味を持つ表現をご紹介します。

(1)「横ばい」

数値があまり変動しない状態で推移すること。“頭打ち”は上昇傾向にあったものの、ある時点から上がらない停滞状態を意味しますが、“横ばい”は特にそうした状況に限定されず、変化のない状態を幅広く表します。

【例文】

・新卒の就職率は頭打ち後、横ばい状態を続けています。

(2)「足踏み」

立ち止まってその場で歩く動作をすることを表す言葉ですが、物事が進展せずに停滞する様子を表す際にも使われています。

【例文】

・ここ数年間の景気は足踏み状態だ。

(3)「飽和」

最大限度まで満たされ、それ以上増えないこと。

【例文】

・このエリアでは美容院が飽和状態になっている。

(4)「伸びが鈍化する」

一時期あった勢いが鈍くなること。類似の表現に“伸び悩む”“失速する”といった言葉もあります。

【例文】

・昨年度と比較して売上額の伸びが鈍化しています。

・輸出額が伸び悩んでいる

「頭打ち」の対義語は?

“頭打ち”の対の意味を含む言葉をご紹介します。

(1)「弾み(はずみ)がつく」

勢いづくこと。“頭打ち”はこれ以上伸びないことを表すのに対し、「弾みがつく」はこれから活発になる様子を表します。

【例文】

・これまでも一定の人気を保っていましたが、SNS上で話題となったことで売り上げに弾みがついています。

(2)「鰻登り(うなぎのぼり)」

とどまることなく上昇していくことを表します。

【例文】

・新商品のヒットにより、今期の業績はうなぎのぼりです。

(3)「破竹(はちく)の勢い」

とどめがたい勢いがあること。企業の業績が急激に伸びて活気づいているさまを表す際に使われています。

【例文】

・業界の常識を覆したA社は破竹の勢いで成長中だ。

(4)「底を打つ」

“頭打ち”の対の意味を持つ言葉として、勢いがつく様子を表す言葉を3つご紹介しましたが、“頭打ち”と関連して“底打ち”という言葉も覚えておきましょう。“底を打つ”は、相場が下がりそれ以上下がらない状態になることです。数字が下がりきった状態を表します。こちらは主に株価や物価に使われます。

【例文】

・下落の続いた相場はようやく底を打った

 

今回は国語講師の吉田裕子さんに“頭打ち”という言葉について解説して頂きました。

会議や打ち合わせでしばしば登場する言葉ですので、意味を覚えておきましょう。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。

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