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「ずば抜けて秀逸」がNGの理由は?「秀逸」の意味と使い方を解説【あらためて知りたい頻出ビジネス用語#78】

“秀逸”は、さまざまな場面で耳にする言葉ですよね。ほめ言葉の中に登場することが多いのですが、使わないほうがいい場面もあるのをご存じでしょうか。

今回は“秀逸”の意味や使い方の注意点を『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんに解説していただきました。

「秀逸」の意味とは?

「秀逸」の意味とは?

秀逸(しゅういつ)” は、他に抜きんでてすぐれていること。

“秀”は抜きんでていること、“逸”は並外れていることを意味し、似た意味をもつ漢字の組み合わせで構成されている熟語です。

「秀逸」はどんなときに使うといい?目上の相手に使える?

「秀逸」はどんなときに使うといい?目上の相手に使える?

ビジネスシーンにおいては、作品の出来栄え、製品の性能、アイディア、スキルなどを評する際に使われています。

詩歌や文学などのコンテストなどにおいては、すぐれた作品に“秀逸”という賞が与えられることもあります。

基本的には、自分と同程度の地位の相手、部下・後輩、第三者に関連するものを指して使うことの多い言葉です。優劣を判断する際に使われているので目上の相手に対して使うと、文脈によってはやや失礼な印象を与えることがあるため、注意しましょう。

私生活においては、商品の品質などを評する際に“秀逸”という言葉が使われることもあります。

「秀逸」の使い方の注意点は?よく見かける間違った使い方

「秀逸」の使い方の注意点は?よく見かける間違った使い方

“秀逸”の使い方の注意点は以下の3つです。

(1)人柄には使わない

“秀逸”は、作品やアイディア、物などを客観的に見て優劣を判別する場面で使われることが多い言葉です。人柄や客観的に評価するのが難しい能力に対して使うことはほとんどありません。

【要注意例文】

・彼は秀逸な性格だ。

→秀逸は、比較対象と比べて抜きんでてすぐれているさま。人格など、客観的に評価するのが難しい事柄には使わない。

(2)目上の相手に対して使うときには要注意

“秀逸”はある基準に基づいて価値判断をする言葉です。目上の相手に対して使うと、やや失礼な印象を与えることがあります。

【要注意例文】

・部長の英語の発音って、秀逸だと思いますよ。

→批評をする際に使う言葉なので、目上の相手に使うと違和感を与えることもある。例文の場合には、別の言葉に置き換えるか、何がすぐれているのか具体的に表したほうがよい。

(3)「ずば抜けて秀逸」「抜きんでて秀逸」などの表現に注意

“秀逸”一語に“ずば抜けて”の意味があります。あまり気にならない人も多いと思いますが、例文のような形ですと、かなり大げさな表現になってしまいます。

【要注意例文】

・貴社の提案はずば抜けて秀逸でした。

→”秀逸“に“ずば抜けて”の意味が含まれているので、“秀逸”だけでよい。

「秀逸」の例文は?

「秀逸」の例文は?

“秀逸”を使った例文を通じて使い方をイメージしていきましょう。

・その案はとても秀逸だと評判です。

秀逸なプレゼンだったので全員一致で賛同の声があがった。

・この前の資料は秀逸だった。

「秀逸」を言い換えると?類語は?

「秀逸」を言い換えると?類語は?

“秀逸”と類似した意味を持つ言葉をご紹介します。

(1)「抜群(ばつぐん)」

多くのものの中で、抜きんでていること。日常会話でも幅広く使われています。

【例文】

・彼女の説明は抜群に分かりやすかった。

(2)「傑出(けっしゅつ)」

他からとびぬけていること。ある分野において秀でた能力をほめたたえるときにも使われています。

【例文】

・彼は、技術者として傑出している。

(3)「卓越(たくえつ)」

抜きんでて優れていること。

【例文】

・彼女は、卓越した知識を持っている。

「秀逸」の対義語は?

「秀逸」の対義語は?

“秀逸”と対の意味を含む言葉をご紹介します。

(1)「平凡(へいぼん)」

特にすぐれたところがなく、ごくふつうであること。

【例文】

平凡な発案ばかりで残念だった。

(2)「凡庸(ぼんよう)」

すぐれたところのない平凡であるさま。作品やスキルの程度を評する際に使うことがあります。

【例文】

・この作品は凡庸だが、味わいがある。

 

今回は国語講師の吉田裕子さんに“秀逸”と言う言葉について解説していただきました。

私生活においては特に優れた商品や作品をほめたたえる際に使うことが多くなっています。スペシャルな意味を持つ言葉ですので、正しい意味を覚えておきましょう。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。

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