「起承転結」の意味とは?
「起承転結」の意味とは?“起承転結”は、漢詩の構成法の1つ。以下のような構成をいいます。
起・・・導入
承・・・前の句を受け進む
転・・・転換
結・・・まとめ
詩句のほか、物語の構成について語るとき、“起承転結”
さらに、現代の日本語では、本来の“起承転結”
ビジネスシーンでは「起承転結」はどんな場面で使う?
ビジネスシーンでは「起承転結」はどんな場面で使う?ビジネスシーンにおいては、物事の一連の流れや“まとまり”について言及するときに使うのが一般的です。
例えば、プレゼンテーションの進め方、プロジェクトの進行などを論ずる際に「起承転結を意識する」という使い方をする場面があります。この場合、話し手は四段階の厳密な“起承転結”を意味しているわけではなく、「まとまりをつける」「流れを意識する」「メリハリがある構成にする」といった意図をもって使っているケースがほとんどです。
一方、クリエイティブな仕事の領域では、制作物の構成方法について言及する際に、四段階の“起承転結”の意味で使われる現場もあるでしょう。
「起承転結」の注意点は?
「起承転結」の注意点は?ビジネスシーンでは「起承転結」が適さない場面もある?
先述したように“起承転結”は、詩句の構成方法のほかに、物事の組み立てやまとまりという意味で使われています。
異なる2つの意味があるために、受け手に誤解を与えるケースも想定されます。
例えば、後輩や部下などにビジネス文書の作成を指南する場合には“起承転結”という言葉の使用は避けたほうがよいでしょう。結論を早めに伝えることがよいとされるビジネス文書は、“起承転結”の四段構成とは相反しているからです。
【例文】
・ビジネスメールは、起承転結を意識することが大切です。
→ビジネスメールは、“簡潔に”“結論を最初に”が大切。“まとまり”の大切さを説く場合には、別の表現を用いる。
「起承転結」の例文は?
「起承転結」の例文は?“起承転結”の例文を通じて使い方をイメージしていきましょう。
・起承転結よりも、結論を先に報告してください。
・事の起承転結はさておき、結果を簡潔にご報告いたします。
・このドラマは1話ごとに起承転結があるから、途中からでも見やすい。
・彼のプレゼンテーションは、起承転結がないので、何が言いたいのかわからない。
「起承転結」の関連語や類語は?
「起承転結」の関連語や類語は?“起承転結”には同義語はありませんが、類似のニュアンスを持つ言葉としては、以下のような言葉があげられます。
(1)「序論・本論・結論」
論文などの構成方法です。導入部の“序論”、中心となる“本論”、導き出された判断を示す“結論”で構成された文章のこと。
【例文】
・今回の研修のレポートは、序論・本論・結論の3つのパートで構成して提出してください。
(2)「ストーリー展開」
物語の進み方について言及する際に使う言葉です。筋立ての面白さを表す際に使われています。
【例文】
・ありきたりなストーリー展開だったが、俳優陣の演技は素晴らしかった。
(3)「ロードマップ」
ビジネスシーンで使われている“ロードマップ”は、プロジェクトの全体的な工程を示したもの。物事の全体の構想について語るときに使われる言葉です。全体構想を意味する言葉には“グランドデザイン”という言葉もあります。
【例文】
・このプロジェクトのロードマップを把握しておいてください。
今回は“起承転結”という言葉についてお届けしました。
「もう少し起承転結を意識して」という指摘を受けたときには、
取材・文/北川和子
国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。