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「起承転結」の使い方あってる?注意が必要なシーンは【あらためて知りたい頻出ビジネス用語#67】

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“起承転結”はもともと漢詩の構成法を表す言葉。ビジネスシーンでは、本来の意味とは少々異なる意味でも使われています。

解説していただいたのは『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「起承転結」の意味とは?

“起承転結”は、漢詩の構成法の1つ。以下のような構成をいいます。

起・・・導入

承・・・前の句を受け進む

転・・・転換

結・・・まとめ

詩句のほか、物語の構成について語るとき、“起承転結”という言葉が使われます。

さらに、現代の日本語では、本来の“起承転結”の意味から転じて、物事の組み立てや順序物事の全体構想という意味でも広く使われるようになっています。

ビジネスシーンでは「起承転結」はどんな場面で使う?

ビジネスシーンにおいては、物事の一連の流れや“まとまり”について言及するときに使うのが一般的です。

例えば、プレゼンテーションの進め方、プロジェクトの進行などを論ずる際に「起承転結を意識する」という使い方をする場面があります。この場合、話し手は四段階の厳密な“起承転結”を意味しているわけではなく、「まとまりをつける」「流れを意識する」「メリハリがある構成にする」といった意図をもって使っているケースがほとんどです。

一方、クリエイティブな仕事の領域では、制作物の構成方法について言及する際に、四段階の“起承転結”の意味で使われる現場もあるでしょう。

「起承転結」の注意点は?

ビジネスシーンでは「起承転結」が適さない場面もある?

先述したように“起承転結”は、詩句の構成方法のほかに、物事の組み立てやまとまりという意味で使われています。

異なる2つの意味があるために、受け手に誤解を与えるケースも想定されます。

例えば、後輩や部下などにビジネス文書の作成を指南する場合には“起承転結”という言葉の使用は避けたほうがよいでしょう。結論を早めに伝えることがよいとされるビジネス文書は、“起承転結”の四段構成とは相反しているからです。

【例文】
・ビジネスメールは、起承転結を意識することが大切です。

→ビジネスメールは、“簡潔に”“結論を最初に”が大切。“まとまり”の大切さを説く場合には、別の表現を用いる

「起承転結」の例文は?

“起承転結”の例文を通じて使い方をイメージしていきましょう。

起承転結よりも、結論を先に報告してください。

・事の起承転結はさておき、結果を簡潔にご報告いたします。

・このドラマは1話ごとに起承転結があるから、途中からでも見やすい。

・彼のプレゼンテーションは、起承転結がないので、何が言いたいのかわからない。

「起承転結」の関連語や類語は?

“起承転結”には同義語はありませんが、類似のニュアンスを持つ言葉としては、以下のような言葉があげられます。

(1)「序論・本論・結論」

論文などの構成方法です。導入部の“序論”、中心となる“本論”、導き出された判断を示す“結論”で構成された文章のこと。

【例文】

・今回の研修のレポートは、序論・本論・結論の3つのパートで構成して提出してください。

(2)「ストーリー展開」

物語の進み方について言及する際に使う言葉です。筋立ての面白さを表す際に使われています。

【例文】

・ありきたりなストーリー展開だったが、俳優陣の演技は素晴らしかった。

(3)「ロードマップ」

ビジネスシーンで使われている“ロードマップ”は、プロジェクトの全体的な工程を示したもの。物事の全体の構想について語るときに使われる言葉です。全体構想を意味する言葉には“グランドデザイン”という言葉もあります。

【例文】

・このプロジェクトのロードマップを把握しておいてください。

 

今回は“起承転結”という言葉についてお届けしました。

「もう少し起承転結を意識して」という指摘を受けたときには、厳密な起承転結の形を求められているのか、まとまりを意識すればいいのか、イメージをすり合わせる必要があることもあります。心に留めておきましょう。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。

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