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「稚拙(ちせつ)」の意味と注意すべき使い方【あらためて知りたい頻出ビジネス用語#64】

“稚拙”という言葉はどのような場面で使われているのでしょうか。今回は、“稚拙”という言葉の意味や使い方、注意したいポイントなどをお届けします。

解説していただいたのは『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「稚拙」の意味とは?

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稚拙(ちせつ)”は、未熟でつたないこと。“稚”は“未熟”、“拙”は“下手”の意。

自分のことを謙遜して使うこともありますし、他人のふるまいや能力について批評する際に使われることもあります。

「稚拙」はどんなときに使われている?

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ビジネスシーンにおいては、“稚拙”は、自分のスキルや能力について謙遜するとき、他者を批判するときに用いることがあります。

面と向かって、「あなたは稚拙だ」と直接批判する形で使うことはそれほど多くないでしょう。第三者について論評する際に使うことの多い言葉です。

「稚拙」の使い方の注意点は?

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面と向かって“稚拙”という言葉を使うことはあまりありません。あるとすれば、年齢や経験年数の差など、明らかな上下関係が見られるときのみです。部下や後輩を指導・叱責する際に使うかもしれません。

相手にダメージを与える可能性がある言葉なので、目の前の相手に対して使う際には、細心の配慮が必要です。

「稚拙」の例文は?

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“稚拙”の例文を通じて使い方をイメージしてみましょう。

稚拙ながらレポートを作成しましたのでご確認ください。

稚拙な表現が散見されるので手直しが必要です。

・あまりにも稚拙な彼の仕事ぶりにあきれてしまった。

「稚拙」を言い換えると?類語は?

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続いて“稚拙”の言い換え表現・類語をご紹介します。

(1)「拙劣(せつれつ)」

下手で劣っていること。ビジネスシーンでは謙遜するときに使われることの多い言葉です。

【例文】

拙劣な文章ではございますが、ご一読のほどお願い申し上げます。

(2)「拙い(つたない)」

“拙い”は“巧みではないさま”能力が至らないさま“。

【例文】

・プレゼンテーションには拙い部分も多かったが、発表内容はよかったと思う。

(3)「未熟(みじゅく)」

経験が不十分で、スキルなどが成熟していないこと。類似の言葉には“半人前”などもあります。

【例文】

未熟者ではございますが、お役に立てるように努めます。

(4)「幼稚(ようち)」

考え方や行動などが未熟なこと。“未熟”はこれからの成長の余地も感じさせる言葉ですが、“幼稚”はより子どもっぽさを連想させる言葉です。

【例文】

幼稚なデザインなので、修正が必要です。

(5)「お粗末(おそまつ)」

できがよくないこと。多くは謙遜の気持ちを込めて使う言葉です。

【例文】

お粗末な発表を最後までご清聴頂きありがとうございました。

「稚拙」の対義語は?

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“稚拙”の対義語や、対の意味を含む言葉には以下のような言葉があります。

(1)「達者(たっしゃ)」

物事に熟達していること、上手なこと。

【例文】

・彼は、海外経験が長いので、英語が達者です。

(2)「洗練(せんれん)」

磨きをかけて品格・風格を高めること。相手のスキルをほめたたえる際に使うことの多い言葉です。

【例文】

洗練された話術がお見事です。

(3)「巧み(たくみ)」

できのよいこと。上手なこと。ほめ言葉にも使いますが、以下のようにネガティブな場面でも使われることがあります。

【例文】

・言葉巧みに説得をして、契約書にサインをさせた。

(4)「老巧(ろうこう)」

経験を積んで物事に熟練していること。“老練”などの言葉もあります。

【例文】

・彼は老巧な職人ですが、気難しい一面もあります。

 

今回は、国語講師の吉田裕子さんに“稚拙”という言葉について解説していただきました。

類語・対義語の多い言葉ですので、場面に応じた言葉を使い分けられるようにしておきたいですね。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。

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