「おかげさま」の意味は
null“おかげさま”の“おかげ”はもともと神仏の加護の意。そこから転じて人の力を借りてうまくいったことに対する感謝を表す言葉として使われています。
「おかげさま」はどんなときに使う?例文は?目上にも使える?
null“おかげさま”は、感謝を示す際に使います。
お世話になった相手にはもちろん、直接的にお世話になっていなっていない相手にも使われています。ビジネスシーンにおいては以下のような場面が想定されます。
例文も合わせてご紹介します。
(1) お世話になった相手にお礼をいうとき
まずは、直接お世話になった相手、サポートしてくれた相手に対しての感謝の気持ちをこめて使うケースです。
【例文】
・おかげさまで、期日までに納品できました。その節はありがとうございました。
・私の出張中、顧客対応をしていただきありがとうございました。おかげさまで業務が円滑に進んでいます。
(2)良い報告をするとき
物事がうまくいったときに、周囲の人たちのサポートや、温かく見守ってくれたことへの感謝の気持ちをこめて用います。直接お世話になっていない相手に対しても使われています。謙虚な姿勢を示しながら周囲を立てることのできる表現です。
【例文】
・おかげさまでプロジェクトが成功いたしました。
・おかげさまで当社も創業から10周年を迎えることができました。
(3)ほめられたとき
相手からほめられたとき、“おかげさま”を使うことで自分や自分の属する組織の力を誇示することなく、周囲の人たちをたてて謙虚な姿勢を示すことができます。
【例文】
A:御社の商品、よく売れているようですね。
B:おかげさまで、ご好評を頂いております。
”おかげさま“という表現は、目上の相手に対しても使うことができます。
「おかげさま」は私生活ではどう使う?
null“おかげさま”は、プライベートにおいても良い報告をするときや、家族の節目を迎えたときなどに使われています。
【例文】
・おかげさまで先日息子が小学校を卒業いたしました。
・おかげさまで母は退院することができました。
「おかげさま」の使い方の注意点は?
nullしばしば、“おかげさま”と“おかげ”を混同しているケースが見受けられます。“~のおかげさまで”とは言いませんのでご注意ください。
【NG例文】
・皆様のおかげさまで、ここまでやってくることができました。
→“~のおかげさま”とは言わない。この場合は“皆様のおかげで”など。
「おかげさま」を言い換えると?
null続いて、“おかげさま”の言い換え表現をご紹介します。
(1)「お力添え」
“力添え”は、力を添えて助けること。 “お力添え”の“お力”は、相手の力のことを指し、”助けてもらうこと”を意味します。
【例文】
・日頃からお力添えをいただき、誠にありがとうございます。
(2)「ありがたいことに」
“ありがたいことに”は、物事がうまくいっていることを述べるときの前置きの言葉として使われています。 “おかげさま”と同様に、直接お世話になっていない相手に対しても使うことができます。
【例文】
・ありがたいことに、新商品の売り上げが好調です。
・ありがたいことに、息子も大学に進学しました。
(3)「~のたまもの」
“たまもの”は、人から受けた恩恵の結果のこと。スピーチや挨拶状の中では、“ご協力のたまもの”“ご支援のたまもの”という表現を使って大勢の相手に対して感謝の意を伝えるために使われています。
【例文】
・これも皆さまがたのご支援のたまものだと、厚く御礼申し上げます。
・今回のプロジェクトが成功したのは、ひとえに皆様のご協力のたまものです。
今回は、“おかげさま”の意味や使い方について国語講師の吉田裕子さんに解説していただきました。
ビジネスシーンや私生活でよく使われている言葉ですので、使い方を覚えておくと役立つはずです。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。