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「当方」の意味と使い方は?「弊社」「小生」「小職」との違いも解説【あらためて知りたい頻出ビジネス用語#62】

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“当方”はどのような場面で使われる言葉なのでしょうか。今回は“当方”の意味や使い方、類義語・対義語をご紹介します。

“当方”の意味を解説していただいたのは『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「当方」の意味とは?

当方(とうほう)”は“こちら“自分のほう”の意。

単に話し手の側を指す言葉であり、謙譲語(へりくだって相手に敬意を示す語)ではありません。

「当方」はどんな場面で使う?社内の相手にも使える?

ビジネスシーンにおいては、“私たち”“こちら”“うちの会社”などの言葉を使うような場面において “当方”という言葉が使われています。やや硬い響きのある熟語で、メールや打ち合わせなど、少々あらたまった場面で使われるのが一般的です。

自分、自分が属する組織、自分と同じ組織に属している第三者などを指して使われます。

【例文】

当方は2人で訪問する予定です。

主に社外の相手に使われる言葉ではありますが、社内でも、部署などを超えたやり取りの中で、以下のような形で使うこともありえます。

【例文】

・本件につきましては当方でいったん引き取り、状況確認後、製造部にご報告します。

「当方」の使い方の注意点は? よく見かける間違った使い方

先述したように、“当方”は謙譲語ではありません。社外の相手に対してへりくだった言い方をする必要がある場面では“弊社”“小社”“私共”などの言葉を使用します。

【要注意表現】

・初めまして。当方は、精密機器を取り扱うA産業です。

→“当方”には謙譲のニュアンスが含まれていないため、“弊社”を使った方が良い場面もある。

「当方」の例文は?

“当方”の例文を通じて使い方をイメージしてみましょう。

当方としましてはご意見を重く受け止め善処いたします。

・後ほど当方からご連絡をいたします。

当方にて協議後、ご報告させて頂きます。

当方との理解に齟齬があるようです。

「小職」「小生」「当方」の意味の違いは?使い分けは?

“小職”“小生”“当方”の意味を混同しやすいため、それぞれの言葉の意味や使い方を確認しておきましょう。

【小職】

“小職”は、官職についている人が自分のことを謙遜して言う語です。一般企業に勤める人は“私”“僕”の代わりに“小職”を使うことはありません。

【小生】

“小生”は、男性が自分をへりくだっていう語。自分と同等か、目下の人に対して使う男性の一人称です。

【当方】

一人称の代名詞ではなく、複数の人を指す場合も、話者が属する組織を指す場合もあります。“私たち”“こちら”を使うような場面で“当方”を使います。謙遜のニュアンスは含まれていません。

「当方」を言い換えると?類語は?

続いて“当方”の類語や言い換え表現をご紹介します。

(1)「私共」(わたくしども)

自分、または自分が属する企業・組織などをへりくだっていう語。“手前共”という言葉もあります。

【例文】

私共の意見としては、先に申し上げた通りです。

(2)「弊社」(へいしゃ)

自分が属している会社をへりくだっていう言葉。

【例文】

弊社としてはご指摘を重く受け止め対応してまいります。

(3)「当社」(とうしゃ)

“この会社”のこと。社内外で、自分の会社のことを指して“当社”という言葉を使うことがあります。ホームページやプレスリリースなどを通じて社外に情報を発信する際には、“弊社”ではなく“当社”という言葉が使われています。

【例文】

当社は創業30周年を迎えました。

(4)「小社」

自分が属している会社をへりくだっていう言葉です。書き言葉で使われています。

【例文】

・乱丁本、落丁本は小社までご送付ください。

(5)「当職」

“この職業”“この職務”のこと。特定の資格が必要な“士業”と呼ばれるような職種においては自分のことを指す言葉として“当職”が使われることもあります。

【例文】

・書類は当職までご提出ください

「当方」の対義語は?

「先方」

“当方”の対義語は“先方”です。 当方が“こちら側”であるのに対して、先方は“相手方”のこと。ただし、相手に向かって直接“先方”とは言わず、第三者に対して使う言葉です。

【例文】

先方の意見も聞いたうえで回答いたします。

 

今回は国語講師の吉田裕子さんに“当方”の意味や使い方を解説していただきました。

ビジネスシーンでは使用頻度が高い言葉ですので、意味を覚えておくと役立つのではないでしょうか。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。

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