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「リテラシー」の意味をわかりやすく!使い方の注意点は?【あらためて知りたい頻出ビジネス用語#38】

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“リテラシー”は、本来“読み書きの能力”という意味で使われていました。しかし、現在は別の意味で使われるケースが多くなっています。今回は“リテラシー”の意味や使い方、使用時の注意点をご紹介します。

解説して頂いたのは『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

辞書に載っている「リテラシー」の意味とは?

まず最初に国語辞典に掲載されている“リテラシー”の意味をチェックしてみましょう。


<デジタル大辞泉>
1 読み書き能力。また、与えられた材料から必要な情報を引き出し、活用する能力。応用力。

2 コンピューターについての知識および利用能力。→コンピューターリテラシー

3 情報機器を利用して、膨大な情報の中から必要な情報を抜き出し、活用する能力。→情報リテラシー

日常会話においては「膨大な情報の中から必要な情報を抜き出し、活用する能力」という意味で使われることが多くなっています。

また“ネットリテラシー”“インターネットリテラシー”という言葉もよく聞かれます。『日本大百科全書』(小学館)で意味を参照してみましょう。

*ネットリテラシー<日本大百科全書>
インターネットを正しく使いこなすための知識や能力。インターネットリテラシーともいう。本来、リテラシーliteracyは読み書きの能力のことで、知識や応用力という意味で使われる。ネット上の情報の正確性を読み取り、情報の取捨選択や適切な対応ができること、電子商取引に正しく対処できること、利用料金や時間に配慮できること、プライバシー保護やセキュリティ対策を講じられること、などをさす。

ビジネス用語としてはどんな意味で使われている?

ビジネスシーンにおいて“リテラシー”は「膨大な情報の中から適切な情報を抜き出し、活用する能力」「インターネットを正しく使いこなすための知識や能力」という意味で使われています。

ビジネスシーンでは「リテラシー」はどう使う?

現代のビジネスパーソンにとって、膨大な情報を吟味して必要な情報を選び分け、正確な情報を発信する“リテラシー”は必要な能力の1つ。社員教育の一環として“ITリテラシー教育”を取り入れる企業も増えています。

以下のような連語で社員向け教育・マーケティング・営業などの現場で頻繁に使われています。

情報リテラシー・・・自らの目的に応じ、情報を適切に収集・取捨選択・発信する能力。

ネットリテラシー(インターネット)リテラシー・・・情報を適切に選んだり、トラブルを避けたりしながら、インターネットを使いこなす能力。

コンピュータリテラシー・・・コンピューターを使いこなして、必要な情報を得る能力。

メディアリテラシー・・・新聞・テレビ・インターネットなどのメディアから得る情報をよく見きわめる能力。鵜呑みにせず、比較したり根拠を確かめたりする力。

金融リテラシー・・・金融の知識を活用して、効果的な選択・判断をする能力。

「リテラシー」の使い方の注意点は?

“リテラシー”という言葉は、“識字率”という意味から転じて“ある手段を適切に活用するための知識や能力”のことを指すようになりました。その後、インターネットの普及とともに“ネットリテラシー”などの言葉が生まれ、インターネットやデジタル化などの言葉とセットで使われる例が増えています。

2000年代に入ってから急速に意味が変化していった言葉なので、世代間で“リテラシー”という単語に抱くイメージの違いや認知度の差があるようです。

そのため、“リテラシー”という言葉の解釈に齟齬が生じることがあります。相手がどのような意図を持って使っているのかを考える必要が生じる場面も想定しておきましょう。

「リテラシー」と「コンピテンシー」の違いとは?

音の響きが似ていることから、“リテラシー”と“コンピテンシー”という言葉を混同している方もいるようです。

コンピテンシー”(competency)は、英語では“能力”“成果を生む行動特性”を意味します。

ビジネスシーンにおいては、優秀な人がどんな場面でどんな行動をとっているのか明らかにしたうえで、社内の行動基準や評価基準に活用するという考え方を指すこともあります。

“リテラシー”とは意味が異なっています。2つの単語を用いた例文を見ると、意味の違いがわかるかもしれません。

【例文】

ネットリテラシーは、職場で求められるコンピテンシーの一つとなっている。

「リテラシー」の例文は?

続いて“リテラシー”を用いた例文を通じて使い方をイメージしてみましょう。

・彼はメディアリテラシーに欠けているのが問題だ。

・弊社のベテラン社員は一般的にITリテラシーが低い傾向があります。

・社会人として最低限の金融リテラシーを身につけるべきだ。

ネットリテラシーが重要とよく言われるが、つまるところ、自分で考える力が重要なのだと思う。

・若年期からデジタル機器を使っていても、ネットリテラシーが磨かれるとは断言できない。

「リテラシー」の関連語は?

続いて“リテラシー”と関連して使われる言葉をご紹介します。

(1)「情報モラル」

“情報モラル”とは、「情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度」のこと。

ビジネスシーンにおいては、個人情報の取り扱い、SNSの使用、情報発信において“情報モラル”が重要視されており、社会人に必要なリテラシーの1つとなっています。

【例文】

情報モラルを身に着けていることは、今や社会人の必須条件となっている。

(2)「デジタルデバイド(デジタル・ディバイド)」

インターネットやパソコン等の情報通信技術を利用できる者と利用できない者との間に生じる格差のこと。

【例文】

・リテラシー教育によって、デジタルデバイドを解消しなければいけない。

(3)「情報弱者」

高度情報社会において、デジタル機器や通信機器になじめず、大きな不利益を被る可能性がある人を指します。

た、災害時など、日本語での情報収集ができない外国人、地域に知り合いが少なく情報を十分に得られない人などが、情報弱者になってしまうことも懸念されています。

若い世代では、人を批判・揶揄するときに「情弱(じょうじゃく)」と略して使っている例も見られます。

【例文】

・高いリテラシーを持っていても、大きな災害の発生時には誰もが情報弱者となる可能性がある。

(4)「情報の取捨選択」

“情報リテラシー”と類似した意味を持つ言葉です。

【例文】

・これからは情報の取捨選択の能力を高める必要がある。

 

以上、今回は“リテラシー”の意味や使い方について国語講師の吉田裕子さんに解説して頂きました。

急速なデジタル化に伴い、本来の意味とは別の意味が派生した“リテラシー”という言葉。日本語として定着しつつあるので、言葉の使い方を覚えておきましょう。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。

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